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(2)LINE-3地形歪み除去画像
 図31は、LINE-3の地形歪み除去画像と除去前の音響画像である。地形図と比較した図を図32に示した。LINE-2と同様、ターゲット1については、ターゲット上の箱の形状を明瞭に復元している。しかしながら、ターゲット3については、同じくLINE-2と同様、ターゲット上に設置した箱の形状を認識することはできない。ターゲット2はLINE-2に比べて、測線の方向がターゲットの上面の箱と平行しており、上面の箱の設置方向を画像から読み取ることができるが、その移動変位を読み取ることはできない。
 
図31. LINE-3の地形歪み除去後の画像と除去前の画像
左:除去後の画像(放射量補正済)、右:除去前の画像(放射量補正未実施)
LINE-3(データ収録装置)
 収録レンジ=25 m
 
図32. LINE-3の地形歪み除去後の画像(放射量補正済み)と地形図
LINE-3(データ収録装置)
 収録レンジ=25 m
 
 ピングNO.620と840の地形断面図及び各音響画像データの水平移動量を図33と図34に示す。各ピングNO.の位置を図32の地形図に示す。
 図33は、ターゲット1を捉えたピングNO.620の地形断面図及音響画像データの水平移動量である。送受波器直下水深よりも、ターゲット1上面までの斜距離が短いため、これを仮想海底面として斜距離補正すると、図33(b)に示すように、ターゲット1は送受波器直下へ移動し、左舷側には海水層のデータが含まれる。図33(a)の赤い線で示した斜距離補正ポイント(仮想海底面)は、斜距離画像上の海底面にほぼ一致しており、斜距離補正時の誤差は認められない。
 斜距離補正後の図33(b)のターゲット1には、ターゲット上の2列の箱が表れている。この2列の箱を捉えた音響画像データの水平移動を幾何学的に表すと、図33(c)の仮想海底面上の音響画像データの長さとなり、図33(b)の地形歪み補正前の画像とほぼ一致する。図32の地形歪み除去画像には、斜距離補正の原理上、直下近傍の箱が縮まって描画されており、外側になるにつれてその影響が小さくなるため、2列目の箱の大きさには変化が見られない。
 図33(d)、(e)は、地形歪み補正における各音響画像データの水平移動量である。ターゲット1を捉えた右舷側は、仮想海底面がターゲット上面と底面との中間に位置するため、地形歪み補正により、仮想海底面よりも上の音響画像データは送受波器とは反対方向へ、逆に仮想海底面よりも下の音響画像データは、送受波器側へ移動する。
 一方、左舷側の最初のデータは、地形歪みにより、直下から約3.5m離れた点に移動するが、歪みによる影響は探査幅の外側になるにつれて小さくなる。地形歪みの補正により全ての音響画像データは、実海底面が仮想海底面よりも低いため、送受波器側へ移動する。その移動量は直下近傍の音響画像データの方が大きく、外側になるにつれて減少する。







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