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3)観測内容
 本研究では、(1)離岸流をどのように探査し、そして、(2)離岸流の特性を明らかにするためにどのような観測を行うべきか、について検証する必要があった。探査法や観測法が最終的にマニュアル化(普遍化)されれば、各管区の担当部局および海岸管理者による観測・調査が体系化されるはずである。そこで、青島海岸では、以下のような項目を対象に調査を行った(図2.3.4〜2.3.11参照)。
(1)観測箇所の選定
(ヘリコプターによる離岸流探査(6月5日)、現地踏査(6月11日)による最終確認)
(2)流れの計測
・ADCP観測(離岸流の鉛直分布構造)
・フロート実験(GPSつき、無し)、染料(シーマーカー)実験
・赤外線ビデオカメラ、デジタルビデオカメラによる流況・水温観測
(3)波の計測
・波高計(Wave Hunter94、Wave HunterΣ・DL-2,3Dスキャナー)
・地形計測
トランシット、3Dスキャナー(3次元レーザー地形測量器)、DGPS
小型GPSによる干潮時および満潮時の汀線測量
・広報用資料収集
(4)観測風景の写真撮影、ビデオカメラによる染料拡散の動画記録等
 
図2.3.4 鹿児島航空基地所属ヘリコプター
 
図2.3.5 HGPSフロート
 
図2.3.6 使用した染料(シーマーカー)
 
図2.3.7  赤外線ビデオカメラ
(NEC三栄(株)TH7100)
 
図2.3.8 WaveHunter94, Σ, DL-2, ADCP
 
図2.3.9 3Dスキャナー
 
図2.3.10 DGPS
 
図2.3.11 流況記録用デジタルビデオカメラ
 
4)計測機器の設置(配置)状況
 離岸流特性を明らかにする上で、観測機器が離岸流域、向岸流域、そして沿岸流域に適切に配置される必要がある。設置にあたっては、現地観測以前の上空探査・現地踏査により各種計測機器の基本的な配置を設定しておいたが、海象条件が時々刻々変化することを考慮して、観測責任者が設置直前の流況を確かめ、適宜修正しながら機器設置箇所を最終的に決定した。
 
図2.3.12 計測機器の配置状況
 
図2.3.13 
干潮時・満潮時汀線および浜崖位置と離岸流の発生箇所(矢印は概略の機器設置箇所)
 
 計測器設置後に少なくとも一回はフロートや染料を用いて、計測器の位置で離岸流ないしは向岸流が生じているかダブルチェックする必要がある。青島海岸においては、この様な手順を踏んで計測機器の設置箇所の有効性を確認した。図2.3.13に、このことを確認するために、計測機器の設置箇所と離岸流発生位置、そして、汀線形状の概略を示す。







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