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(2)観測結果
1)観測期間中の気象・海象条件
 観測期間中の気象・海象条件のうち、図2.2.7に水深7m地点でWavehunterによって計測された水位変動から計算した有義波高Hs、周期Ts、波向の時系列を示す。また図2.2.8に潜堤開口部水深約3m地点に設置したADCPで計測された海底から1.7mの位置におけるN-S方向およびE-W方向流速を、図2.2.9に陸上部で計測された風向・風速の時系列を示す。
 
図2.2.7 水深7m地点での観測期間中の入射波浪諸元
 
図2.2.8 潜堤開口部背後のADCPで計測された観測期間中の流速時系列
 
図2.2.9 観測期間中の風速と風向
 
 まず、図2.2.7より、観測期間中有義波高が1mを超えた期間は、7月4日午前中と7日の正午前後の2回あり、周期はいずれも6s前後、波向はNW〜NNWであった。図2.2.8に示す開口部背後のADCPで計測された流速は、有義波が増大する7月4日未明から西向きの沿岸流が発生し、その後沖向きの弱い離岸方向流速が計測されている。図2.2.9に示す風速は高波浪の観測された7月4日は、強風のため欠測しているが、風速8m/s以上の東よりの風が連吹していた。
 なお、観測期間中の天気については、表2.2.1に示すとおりであった。
 
表2.2.1 観測期間中の天気
  7/2 7/3 7/4 7/5 7/6 7/7 7/8
雨後時々曇 曇後時々雨 大雨 曇一時雨 曇一時晴
晴後一時曇 曇一時雨 曇一時雨 雨時々曇 雨時々曇 曇後雨 曇一時雨
 
2)極浅海域で計測された水位変動と流速
 極浅海域での水位変動および流速の測定位置は、図2.2.1に示すように7月2日〜5日と7月6日〜9日で変化させた。この理由は、前者の期間は対象海域で顕著な離岸流の発生が目視されなかったことから、昨年度の実測結果を参考に、比較的発生する確率が高いと思われる位置に計測器を設置したが、後者の期間では、典型的な地形性離岸流の発生が目視されたことから、その発生位置に計測器を設置し直したことによる。
 7月2日〜5日の間に流速計で顕著な沖方向流れが観測されたのは、7月3日0時24分ころの1回のみであった。図2.2.10にそのときの水深0.9m地点で電磁流速計によって計測された流速の時系列を示す。図中-raw及び-lowは、それぞれ、生の時系列と、周波数0.05hz以上の高周波数成分(周期20s以下の短周期成分)をカットオフした時系列である。
 また、N-S方向成分は、ほぼ汀線に直角方向(N方向が正)、E-W方向成分は、沿岸方向流速(E方向が正)となる。
 
図2.2.10 極浅海域で測定された流速(7月3日0時〜)
(a)N-S方向成分
 
(b)E-W方向成分
 
 図2.2.10より、何の前触れもなく突如流速0.5m/s程度の沖向き流れが出現し、5分間程度継続した。この時の入射波浪は、図2.2.7より高々0.5m程度であった。また、いずれの流速においても、顕著な低周波数変動は現れていないこともわかる。







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