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資料1
 
トラベル・フィードバック・プログラム TFP(Travel Feedback Program)について
東京工業大学大学院理工学研究科
交通社会心理学研究室・助教授 藤井 聡
 
◆TFP(トラベル・フィードバック・プログラム)とは?
・自らの交通行動を振り返ることによって、環境や健康に配慮した「かしこいクルマの使い方」を考えるためのプログラム。
・児童を対象とした学校教育型のTFP、一般の世帯を対象とした住民対象型のTFPの二種類が開発されている。
 
◆学校教育型のTFPの狙いは?
子どもの主体性を尊重した参加型学習プログラムを用いて、
「交通問題(交通渋滞、大気汚染など)」と「地球環境問題」をテーマに、
自分自身の行動がこれらの社会問題に影響することに気づくことによって、
生活の中の身近な問題から、地域社会や国際社会の問題への理解をうながし、
環境にやさしい行動が自分にもできた、という達成感を得ることを通して、
社会問題に配慮し、主体的に行動できる人間を育むことを目的としています。
「公共的問題を題材とした学校教育プログラムについての基礎的考察、藤井聡、2002」より構成
 
◆TFPの開発の経緯は?
・90年代中盤ごろにヨーロッパで開発された。
(イギリス、オーストラリア、ドイツで実用されている)
・日本では、1999年から札幌市で導入。2002年度まで実施されている。
・学校教育型のTFPは海外でも開発されていたが、特に日本の札幌市の取り組みで発展した。
・2002年度には、大阪府和泉市でも実施。
 
◆TFPの概要は?(「かしこいクルマの使い方プログラムへの参加依頼」参照)
・基本的に以下の3段階。
(1)環境問題と一人ひとりの交通行動の関係についての授業
←世帯の皆さんの交通行動の調査(一回目)
(2)世帯からの交通に伴うCO2排出量を算出/その減らし方について皆で考える授業
←世帯の皆さんの交通行動の調査(二回目)
(3)どれだけCO2が減ったのか?これからの交通について皆で話し合う。
・2002年度札幌市のTFP: 3回〜5回程度の授業で実施(社会科/総合的な学習の時間)
・2002年度和泉市のTFP: 二学期、三学期の総合的な学習の時間で実施
 
(参考文献)
藤井聡:公共的問題を題材とした学校教育プログラムについての基礎的考察、土木計画学研究・論文集、2003。
谷口綾子、藤井聡、原文宏、高野伸栄、加賀屋誠一:TDMの心理的方略としてのTFP(トラベル・フィードバック・プログラム)−実務的課題と展望−、土木学会論文集、2003。
 
[TFP参考資料/東京工業大学・藤井 聡]
 
平成14年9月13日
保護者各位
かしこいクルマの使い方プログラムへの参加依頼
 
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて、小学校の授業の一環としまして標記プログラムを下記の要領により実施したく存じます。つきましては、ご多忙中大変恐縮ではございますが、保護者のみなさまにも参加いただきたく、お願い申し上げます。
敬具
 
 
1. プログラムの目的
 
 子どもの主体性を尊重した参加型学習プログラムを用いて、「交通問題(交通渋滞、大気汚染など)」と「地球環境問題」をテーマに、自分自身の行動がこれらの社会問題に影響することに気づくことによって、生活の中の身近な問題から、地域社会や国際社会の問題への理解をうながし、環境にやさしい行動が自分にもできた、という達成感を得ることを通して、社会問題に配慮し、主体的に行動できる人間を育むことを目的としています。
公共的問題を題材とした“総合的な学習の時間”の是非について
(土木計画学研究発表会講演集、藤井聡、2002)より構成
 
2. プログラムの背景
 自動車は私たちの生活に欠かせない道具です。遠くに早く行ける、重い荷物を積んで運べる、など私たちの生活を豊かに快適にしてくれます。しかし交通渋滞や交通事故、排気ガスによる大気汚染など、自動車が原因となる様々なマイナス面が問題となってきました。
 快適な生活を大きく変えずに自動車の問題を減らすために、私たち1人1人は何をしたらよいのでしょう?私たちは以下のように考えています。
 
 
 
 
 一つか二つだけ小さなことでよいので、いままでの生活を変えてみませんか?
 私たちみんなが少しずつ変われば、それは大きな変化となるでしょう。
・自分たちの自動車の使い方を見直してみる
・小さな変化を起こす方法を考える
 深刻な交通渋滞は社会経済活動を停滞させ、自動車による排気ガスを増加させます。
 
[このプログラムによって見込まれる効果]
(1)児童と保護者が自らの交通行動を振り返り、家族で話し合って自動車の使い方を見直す参加型のプログラムです。
(2)自動車という身近な存在から地域社会、国際社会における問題への理解をうながすことができます。・・・" Think globally, Act locally. "
(3)自らの交通行動が、社会に与える影響(交通渋滞、大気汚染、地球環境問題)を理解することにより、社会問題に配慮する行動と意識を育むことを目標としています。
 
3. プログラムの概要
 プログラムは小学校での授業を中心に進めていきます。その中で、保護者の方々にご参加いただくのは、以下の(1)〜(4)の項目となります(順序が変わる場合があります。)。
 
(1)ご家族一人ひとりに交通行動についてのアンケートにご協力頂きます(アンケート1)。
(2)アンケート1の結果をみなさんに返却し、学校の授業や家庭で、「かしこいクルマの使い方」を考えていただきます。(交通日記や行動プランの作成などを行っていただきます。)
(3)上記(2)のご検討を通じて、「何が、どのように変わったか」を把握するため、再度同様のアンケート調査にご協力頂きます(アンケート2)。
(4)アンケート1とアンケート2で交通行動がどう変わったかをこちらで分析し、あなたの世帯の交通行動をとりまとめて送付いたします。それぞれのご家庭で環境問題・交通問題を考えるきっかけとして使っていただければと思います。
 
4. 調査日程予定
(1)第1回アンケート 2002年9月下旬
(2)「かしこいクルマの使い方」の検討 2002年10月
(3)第2回アンケート 2002年10月下旬
 
 







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