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分野3-関連する支援の活動
序論
 “21世紀における輸送の連鎖“に関係するR&D課題を導入するとき、それらのR&D課題を実施するための手法に対応して関連する横断的分野における研究開発が並行的に発展させられるならば、R&P課題の効率/費用効果は十分満たされたものになるであろう。横断的分野として:
●総ての関係者の教育と訓練ツール
●情報と通信技術(Information & Communication Technologies(ICT))
 
3.1 教育と訓練の手段
3.1.1 設計
 設計−建造段階に関連する支援環境の質を向上するため、3つの主な分野が研究されなければならない:
●教育と訓練方法
●設計管理
●複雑な海上構造物を建造する作業の組織と考え方
 
教育と訓練
 産業のサイズと構造における変化、および新技術と製品の導入は、総ての業務分野の人員についての採用および関連する訓練の要件の標準レベルの強化を必要とする。同時に、世界的な、情報とデータのやり取りを支援するため、浮上しつつあるシステムと標準の影響は、その内容と教授の様式の両方に関する、訓練プログラムに重要な影響を持つであろう。仮想現実(VR)を包含するITC、マルチメディア(MM)およびネットワーキング(WWW)における進歩は、新しい訓練の手法となるため、利用されなければならない。このことは訓練および職員能力開発活動に重要な利益をもたらすであろう。そしてこれらの利益は中小企業(SME's)に特に重要となるであろう。また、船級協会はこの分野において主要な役目を果たさなければならないであろう。
 これらの戦略的目的を満たすため、次の課題がなされなければならない:
●訓練との絡みでVRおよびMMの現行の利用の見直し。各種産業に渡り、設計に絡むこれらの技術の使用を検討する必要があるであろう。海事分野におけるこれら技術の応用の可能な効用を明らかにする。
●似た訓練用件を持つSEM'sのクラスターのあり場所を明確にし、共用と移転を容易にするための欧州ワイドの支援ネットワークを確立する。
●現行の戦略研究プログラムの分析を行い、そして現在海事産業に利用されていない設計の技能と知識を要するような新たな技術、製品その他を確立する。明確にされたギャップを埋めるため、適切な訓練プログラムを開発する。
 
設計工程の管理
 市場先導製品開発、設計簡素化および危機管理等が、ビジネスの商取引の目的にいかに影響を与えうるかと言う相対的認識を設計者が欠いているということが問題となる。
 世界的ビジネスを背景にして、上記の件を考慮して効果的に設計が遂行できる管理開発工程により、設計者のエンジアリング知識を拡大することが必要である。
 エンジニアリング知識は次の事項について発展されるべきである:
●顧客のビジネスにおける競争圧力の研究を含む産業市場調査および製品開発の技術、船舶の運航生涯の間の主なコスト要因、および保守と廃船処理の課題。
●プロジェクト管理工程
 同時エンジニアリング実践が効果的に行なわれているかについて特に留意しなければならない。また、重要な装置供給者と装置の最終使用者とが如何に協働しているかについてのレベルについても注意が払われなければならない。これに関係する研究課題は、異なる関係者間の相互結合を容易にするICTツールの導入により支援されるであろう。
 
組織
 海事製品において成功した業者は、本質的に製品主導あるいは技術先導から、市場および顧客先導へと軸足を移している。海事市場の連鎖の上流に遡り影響する範囲を拡大しているのである。
 設計情報の構造および内容の重要性。データの再使用と交換性。船主/運航者間で異なる目的に沿って分けられた設計活動。設計代理会社と装置業者および船級協会それぞれに関係する設計過程における危機を制御し減少すること、および全体の計画管理。このような課題は総て、船舶設計工程および船舶の運航の組織に影響を持つものである。
 これゆえに、次の課題について作業することが必要である:
●上記の変化を達成するために必要な仕様を明らかにすること。これには、新しいビジネス目的を満たすために、組織的整備あるいは真の組織変更を要するであろう。海事請負業者の経営者は、必要とされる変化のスケール、およびそれを成し遂げることのできる手段を理解することが重要である。
●設計者と総ての段階の職員に対して、ビジネス過程分析の原理を如何に応用するかについて訓練案を開発する。これは、企業の全般的ビジネス過程の活動に絡んで設定され、効果的訓練プログラムを支援する最も適切な組織を確立するためである。
●最も適切な組織を定義するために、造船の組織の構造を研究する。船舶の設計過程を他の主要なビジネスの過程と十分に統合するため、必要とされる関係の人的資源を明らかにするため、造船の組織の構造を研究する。
●現在の企業構造および訓練方法の見直しをする。これは、訓練およびその結果として生じる船舶設計の方法あるいは工程の発展を支援するため現在使われている組織を明確にするためである。これをあり得るべき将来の要件と比較し、方法を明らかにする。この方法は、企業により将来の活動を支援するため最も適切な組織を明らかにするために、使用されるものである。
 
3.1.2 運航
乗員採用と経歴計画
 船主にとり、資格のある乗員の採用は世界的に重要な挑戦である。人手不足は緊急になっており、同様な展開が陸上での乗員の機能についても明らかになっている。極東における主な労働力供給国において、上級船員の需要は供給よりさらに早く増加しつつある。そして船主は替わりうる労働者供給国を探さなければならない。中国および元東欧の国が興味あるように見える。
 たとえばフィリッピンおよびインドからの供給の欠乏を補う代わりとなる国を開発するには、いかなる場合でも、時間が掛かるであろう。この状況に十分なる注意を払う必要がある。この問題については、関連する関係者にとり、付加的な研究を含み、付加的な努力が必要である。
 目的は欧州の船員の数を増加することである。そして必要とされる開発課題は次に明示される:
●海事教育および訓練案の合理化。[現行のEUプロジェクトMETHARはこの分野における更なる研究を提案するであろうと期待されており、そしてR&Dの詳細化はMETHARプロジェクトの終了を待って行なわれなければならない。]
●どの機能が船舶運航のために必要であるかについての基本的研究、およびこれらの機能を安全に遂行するのに必要な知識
●船上および陸上側HR管理の強化
●人を引き付ける仕事の考え方/概念の強化
 
遠隔教育
 コンピュータに基礎を置く訓練(CBT)システムが商業ベースで利用可能である、これらは主に双方向ビデオの使用によっている。これらのシステムは最近の情報および通信技術の可能性を採用している。それゆえ、研究プログラムは、船上での使用に適した遠隔教育CBTシステムを狙った遠隔教育システムについて始められなければならない。それは改定されたSTCW条約に適合し、かつ船員に親和性がありそして船員の能力の船上評価に適したもので無ければならない。
●船上の組織、教師とのコンタクト、自分の仕事との関係、これらを含んで船上で使用される遠隔教育システムを持つためにどのような条件が満足されるべきであるか徹底的に研究する。
●現在の技術のすべての可能性を採用する遠隔教育システムの仕様を開発する(陸上教育チームとの協働を確立することにより達成される)。
●当局により認められる船員能力の正規評価のために、手続きが開発されなければならない。
●新乗組員の容易な熟知のため、改定STCW条約に沿った、システムを開発する。
●仮想現実による訓練/熟知の概念を開発する。
●船舶が公海上にある時、使用される船上訓練のためのシミュレーターとして、統合化された船舶制御システム(ISCS)を利用することを可能とする技術の開発、および試行を行う。(港湾への航海、ECDIS、荷揚げと荷降ろし行程、緊急事態、その他)そのような研究は、考え方の正当性と有効性の実船レベルの実証を行うために船主と密接な協働が行なわれなければならない。
●PSC検査官の訓練案が、欧州におけるサブスタンダード船との戦いに対し、信頼性および効率性を向上するため適切に研究されなければならない。
 
多角的文化的運用
 船上運用における多角的文化の分野における研究が開始された。[ウェールズ大学における船員国際研究センターにおいて]この問題は幾分かの緊急性を持っており、その重要性が要求されているが、現在走っているプロジェクトが完結され、そして成果が利用されるまで、更なる研究は開始されるべきではない。







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