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論文概要
論文集194号掲載論文概要
 
(1)マルチブロックNS/RaNS法によるアメリカ杯レース艇用風下帆走セールシステム周りの流場解析
田原裕介(大阪府大)、林豪(トヨタ自動車)
 
 本研究は、近年著者らの研究グループで開発されたマルチブロック計算格子対応型ナビエスークス/レイノルズ平均ナビエスークスソルバー、FLOWPACKVer.2001aを用いた、アメリカ杯レース艇用風下帆走セール周りの流場解析に関するものである。今回は特にメインセール・スピンネーカー構成を対象とする。それらのフライングシェープと帆走設定状態には、ニッポンチャレンジ・アメリカ杯2000技術委員会が実際に計測したデータを用いた。本論文では、まず計算手法の概要と基礎形状を対象とした精度評価の結果を述べ、続いて上述した風下帆走セール周りの剥離流場の詳細な検討だけでなく、メインセール・スピンネーカーの流体力学的相互干渉や、セールシステムの配置変化が推力・横力に与える影響などについても詳細に議論する。
 
 
(2)海洋における砂輸送に関する研究
―(第1報)振動流中における砂粒子の挙動に関する実験―
菅貞博、馬場信弘、桂樹哲雄、橋本大生、
北浦堅一、岸光男(大阪府大)
 
 平行な平板で囲まれた矩形断面の水路において、正弦的に振動する流れの中におかれた砂山が移動、変形していく非定常な流場について、可視化実験を行い、画像の輝度から砂粒子の濃度分布を求めた。その結果、この周期的な外部振動流に対して、砂粒子もまたその半周期を基本とする周期的な運動を行うことが示された。砂粒子が、加速する外部流によって流動化され、斜面を駆け上がり、流れとともに砂山の頂点から離脱し、乱泥流となって斜面を下り、放出された渦の回転運動によって巻き上げられる、このような砂粒子の流動化、移動、運搬、沈降、堆積の過程において、外部流によってその集合状態を変える砂粒子の挙動を捉えることができた。
 
振動流中の砂山まわりの流れの可視化写真(上)
と砂粒子の質量濃度の等値線図(下)
 
馬場信弘、桂樹哲雄、菅貞博、北浦堅一(大阪府大)
 
 水門を用いた小型水槽における実験と、ナビエ・ストークス方程式の有限体積解に基づいた計算によって、放射状に広がる重力流を再現した。非対称な流体交換から、中央の正方形領域から開放された重い流体は軸対称に広がり、円状に広がった先端部に質量集中が生じ、その後に成層化された流体が続く。放射状に広がる重力流は一定速度で進行する初期段階のあと、先端部の移動距離が時間の1/2乗に比例する第2段階と、時間の1/5乗あるいはそれより小さいべき乗に比例する粘性段階が現れる。この重力流の発達段階に応じて、先端部の形状と内部構造が変化し、重力流による流体混合に影響を与えることが明らかになった。
 
広がる重力流の可視化写真
 
岩下英嗣(広島大学)、田中聡嗣(ダイハツ)、
末永昌照、土井康明(広島大学)
 
 前翼式WISESが平水面上および固定波板上を飛行する場合を模擬した水槽試験ならびにポテンシャル理論による数値計算を行い、前翼・主翼間の空力干渉や波浪中空力特性に関して探究した。更に進行波面上を飛行する場合に作用する非定常空力について理論推定を行い、WISESの波浪上安定飛行に及ぼす影響について考察を行った。
 
平水面上を飛行する前翼式WISESの前翼・主翼間空力干渉
(αf=4degs.,h/c=0.1)
 
 
進行波面上を飛行する主翼に働く非定常圧力の計算結果
(h/c=0.15,α=4degs.,λ/c=2.0)







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