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(11)線状加熱自動鋼板曲げシステムの実船適用
―システムの概要と適用実績―
丹後義彦、石山隆庸、小林順(IHIMU)、
永原章二(宇宙船)、長島智樹(IEM)
 
 船殻外板の形状情報から、加熱位置と加熱条件と加熱前の平板形状(=展開形状)を同時算出するソフトおよび加熱を実行するためのハードを開発し実船の曲げ加工を行ってきた。
 一般の線状加熱が、加熱と確認を繰り返す試行錯誤作業なのに対して、著者らの方法は1回の加熱によって実用上許容範囲内の精度で目的形状が得られる。さらに目的形状と展開形状と加熱方案が理論的に結びついているため加工精度上特に重要な面内寸法についても高精度で一致する。
 
 
(12)動揺環境における車いすのユーザビリティ評価に関する研究(第2報)
―旅客船における車いすの運動シミュレーション―
有馬正和、細田龍介(大阪府立大)
 
 本研究の目的は、動揺環境で車いすを安全かつ快適に使用するために考慮すべき問題点を見出し、それを解決するための方策を探ることである。第2報では、動揺環境における車いすの挙動を明らかにするために力学モデルの構築を試みた。シミュレーションによって、傾斜床面や動揺環境に置かれた車いすの挙動を調べた。また、予め設定されたコースを走行するのに要する駆動力の推定を行った。さらに、人体を想定したテストダミーの重心位置が変化したときの影響について検討を行った。
 
車いすの力学的モデリング 
 
福地信義(九州大学)、田村由佳(ABS)、
小山清文(ユニバーサル造船)
 
 ヒューマン・エラーに起因する船舶の衝突事故を対象として、緊張ストレス環境下における心理情報処理の推移過程を考慮した事故生起の可能性について解析した。これには、まず非常時の内的反応としての緊張による判断・行動能力の低下および思考遮断(パニック)の生起を表現するために、緊急時の心理情報処理プロセスを模した数理モデルを構築した。これにより外的刺激としての危機度により、操船者の熟練度に応じた緊張ストレスの発現と対応能力の関係を調べた。また、過去に発生した衝突事故の分析により緊張感の指標を設定し、要因分析により得た基本事象の生起確率からフォルトツリー解析による事故の発生確率を算出することにより、事故防止のための支援項目について考えた。
 
操船者の能力に応じた緊張度の時間変化と
思考遮断(パニック)の生起







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