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(7)き裂伝播解析に基づく疲労設計法に関する研究(その3)
―任意海域における疲労強度線図―
寺井幸司、冨田康光、橋本聖史、大沢直樹、
王業宏(大阪大学)
 
 著者らは前々報で嵐モデルを用いた新しい疲労設計法を提案しているが、必ずしも世界中の任意の海域において嵐モデルを構築するために必要な情報が揃っているとは限らない。そこで、前報で提案した任意海域における嵐モデル構築法の有効性を北太平洋とインド洋で確認するとともに、初期設計及び余寿命評価に用いることのできる疲労強度線図を作成した。さらに、船体検査において発見すべき表面き裂長さを決定し、余寿命評価に役立てるため、様々な初期き裂発生状況で複数き裂伝播解析を行なう必要があることを示した。
 
疲労強度線図
(実線がインド洋、破線が北太平洋)
 
榎並啓太郎(物材研)、吉成仁志(海技研)、菅満春(東大)
 
 本報では、靭性の良好なTMCP鋼板を供試材として、0%、10%、30%圧縮予歪及び10%引張予歪の4条件で円周切欠丸棒引張試験を実施し、予歪が鋼材の延性破壊発生特性に及ぼす影響を調査した。その結果、上記の予歪み条件で延性破壊発生特性は劣化しないことを明らかにした。また、局所へき開の発生が予歪による延性低下の主要因となることを確認した。
 
各予歪材における延性破壊発生特性
 
寺崎俊夫(九州工大)、山口寛一(九州工大大学院)、
野本敏治(東大)、北村貴典(九州工大)
 
 ぎょう鉄技能者が暗黙知として使用している角変形(折れ)と横収縮(絞り)の加熱条件をレーザフォーミングの実験と微分幾何学の理論を使用して検討した。フレーム曲りを与えるために使用される折れには板幅方向の曲率半径は影響を与えないこと、椀形加工で使用される三角焼きで得られる絞りは図に示すように、線状加熱長さを板幅の0.35倍から0.4倍にして、加熱速度を3段階以上に変化させなければならないことなど暗黙知を技術化した。
 
横収縮分布に及ぼす加熱速度の変化回数の影響
 
寺崎俊夫(九州工大)、水上優(ユニバーサル造船)、
中谷光良、大澤守彦(日立造船)
 
 本研究ではまず三角焼きによる絞り実験を行って加熱方法を調査し、絞りの実験値が推定できる数値解析手法を確立した。次に数値解析を用いて絞り量に及ぼす板幅方向の曲率半径、水冷の有無、加熱長さ影響を検討した。その結果、板幅方向の曲率半径は絞り量にほとんど影響がなく、加熱点後方の水冷方法は、絞りを効率的に与える方法であることかわかった。加熱速度を変化させて板幅端部での入熱を大きくすれば、絞り量は大きくなり、一つの目安として入熱パラメータに比例する。また加熱長さが板幅の0.3倍から0.4倍であれば、最も大きな絞り量が得られることがわかった。
 
絞り量と入熱パラメーターの関係







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