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(2)実験方法
1)小型試験水槽に模型を浮かべ、模型内に上述したそれぞれの混合油水比の混合油水をポンプで注入した。
2)模型内の油分は事前調査で求めた最大油分深さの80%の深さ(160mm厚さ)に達した時点で油回収用ポンプを運転し、油分の回収を開始した。回収された油分は大型ポリバケツ容器に貯蔵し、油水の静置分離を観察した。
 模型への混合油水の注入と油分の回収状況の模式図を図V-3.3に示す。
 なお、回収用ポンプの吸口は、水面下5cmの位置に設置した。
3)油回収ポンプの作動は、油層厚160mmで油回収を開始し、模型内の油分が少なくなり油分の回収ができなくなった時点で一旦回収用ポンプを停止する間欠運転とした。
4)油分回収量は40lになるまで2)と3)の作業を繰り返し行い、この間の混合油水の注入量及び油分の回収量を計測した。
5)回収した油分を5分間静置した後、油水分離状況を観測した。
 上述した容積(l)と模型内の高さ位置の関係を図V-3.4に示す。
 
図V-3.3 混合油水の注入と油分回収の模式図(静水中)
 
図V-3.4 油層厚さとスカート下部深さ(灯油)
 
(3)実験結果
 実験結果を表V-3.4及び図V-3.5に、実験の状況写真を写真V-3.3〜5に示す。
1)混合油水の注入と油分回収(40l)に要した各油水比における混合油水の注入時間及び注入量は、油水比の油分が高くなるほど注入時間及び注入量とも減少する。当然のことながら、混合油水の油分比が高いほど、開放型油水分離装置内に溜まる量が多くなり、短時間で油回収の作業が可能となる。
2)混合油水が油水分離装置内に注入されると直ちに油分と水分が分離して良好な状態が観察された。このことは、灯油の比重が約0.79と水の比重1.0に比べて比重差が大きいこと、灯油はムース化しないこと等が挙げられる。
 実海域では海水比重約1.03に対して原油やC重油等がムース化していると比重が重くなることで比重差が少なくなり、比重分離の時間が長くなることが挙げられる。
3)比重分離した油分中には、ほとんど水分が混入していないことが観察された。
 
表V-3.4 油水流入実験結果(静水中)
油水比 2:8 3:7 4:6 5:5
(1)混合油水注入時間 84分17秒
(5057秒)
61分45秒
(3705秒)
39分13秒
(2353秒)
26分20秒
(1580秒)
(2)混合油水注入量(l) 320 240 160 110
(3)混合油水注入量(l/h) 228 233 245 251
油分回収量(l) 40 40 40 40
(1)図V-3.3に示した開放型油水分離装置内に混合油水を注入した時間
(2) (1)項の時間内に注入した油水量
(3) (2)項の油水注入量を(1)項の注入時間で割った時間あたりの注入油水量
 
図V-3.5 油水比と混合油水注入時間(静水中)
 
写真V-3.3 油水流入実験の状況(静水中)
 
写真V-3.4 混合油水の注入及び油分の回収状況(静水中)
 
写真V-3.5 油水分離の状況(静水中)







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