V-2-3 波浪中における油水流出入の調査
小型試験水槽に浮かべた模型に混合油水を注入し、人工的に波浪を発生させて、模型内部での混合油水の分離の状況及び模型内の混合油水の挙動等について調査を行った。
1 油水流入実験(波浪中)
(1)実験条件等
実験場所、油種、混合油水の作成等は静水中実験と同じである。気象条件等は次のとおりである。
1)天候 晴れ時々曇り
2)風向・風速 北の風 風速2m/s
3)外気温 13℃
4)水温 9℃
5)油水混合比 5:5
(2)実験要領
1)小型試験水槽に模型を浮かべ、デカンティングホースを閉鎖した状態で表V-2.3に示した実験条件に基づき、模型内部に混合油水を100%W.Lまで注入した。
2)造波木板を手動で前後約10cmの幅で動かし、実験水槽内に波を発生させた。
3)混合油水は模型の喫水線(100%W.L)を少し上回る高さに注入し、デカンティングホースを開放した。
4)デカンティングホースを開放後約7分間混合油水を注入して、この間の模型内の混合油水の挙動、油水分離の状況を、また、経過時間及び注入量を計測した。
模型内部への混合油水の注入及び排出の状況の模式図を図V-2.9に示す。
図V-2.9 混合油水の注入及び排出状況(波浪中)
(3)実験結果
油水混合比5:5で行った実験の結果を表V-2.5に、波浪中の実験状況を写真V-2.10に示す。
模型袋部の油面が100%W.Lを少し上回る高さになった時点で、デカンティングホースを開放した。開放後の模型袋部の混合油水の挙動を見ると、比重の低い灯油は注入後直ちに分離、浮上し、油面は模型のフロート内部を上昇し続けた。また、造波木板を手動で前後約10cmの幅で動かし波を発生させたが、波浪の影響により油分がフロートを越えて水槽内に溢流した。
なお、水分の排出等は静水中と同じ状況であった。
以上により、波浪中の油分の溢流を防ぐ方法として、浮体部の直径を大きくすること、また、スロッシングの挙動を把握してその対策を検討する必要がある。
表V-2.5 油水流入実験結果(波浪中)
混合油水注入時間 |
100%W.Lまで |
6分34秒 |
100%W.L以降終了まで |
6分25秒 |
合計 |
12分59秒 |
混合油水注入量 |
110l |
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写真V-2.10 波浪中の実験状況
V-3 開放型簡易油水分離装置模型による油水分離の調査
V-3-1 模型の作製
開放型簡易油水分離装置模型は、円形フロート内部に垂直にスカートを取り付け、その下部に重錘(チェーン)を装着した模型を製作した。同模型の油水収容容積は、閉鎖型仮貯蔵タンク模型と同等になるよう設計した。
開放型簡易油水分離装置模型の仕様を表V-3.1に、外観を写真V-3.1abに、製作図を図V-3.1に示す。
表V-3.1 開放型簡易油水分離装置模型仕様
外形寸法 |
外径760mm×内径600mm×H530mm (フロート部+スカート長さ+チェーン) |
フロート直径 |
φ80mm |
全容積 |
150l |
重量 |
1.25kg(チェーン:0.5kg含む) |
主要材質 |
塩化ビニール |
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図V-3.1 開放型簡易油水分離装置模型
写真V-3.1a 開放型簡易油水分離装置 模型(上面)
写真V-3.1b 開放型簡易油水分離装置 模型(側面)
V-3-2 静水中における油水流出入の調査
小型試験水槽に浮かべた模型に混合油水を注入し、混合油水の分離状況及び分離された油分の回収状況について調査した。
また、本実験の実施に先立ち、混合油水注入用ホースの位置及び模型の形状保持に関する調査を実施した。
なお、模型内への油水注入には、前項と同じ電池式電動灯油ポンプ(能力:10l/min)を使用した。
1 混合油水注入用ホースの位置調査
(1)調査要領
1)模型のスカート部に、計測用の10l目盛りを付けた。
2)実験水槽に模型を浮かべ、注入用ホースを水面上5cm、水面0cm、水面下5cmの位置になるよう注入用ホースの出口部をフロート表面にテープで固定した。調査条件を表V-3.2に示す。
表V-3.2 調査条件
番号 |
注入用ホース出口部の高さ |
1 |
水面上 5cm |
2 |
水面 0cm |
3 |
水面下 5cm |
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3)模型内に油水比5:5の混合油水をポンプで1分間注入し、その間の模型の振動及び模型内の水の挙動について調査した。
なお、注入の際には、注入用ポンプの吸入部に適宜空気を挿入してホース等に振動を発生するようにした。
4)模型の振動が最も小さくなるホース設置位置を調査した。
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