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(3)実験結果
 実験結果を表V-2.4に示す。
 混合油水の油水比と注入量との関係を図V-2.8に示す。
 
表V-2.4 油水流入実験結果(静水中)
油水比 0:10(水のみ) 2:8 3:7 4:6 5:5
混合油水注入時間   28分25秒 27分04秒 29分36秒 25分57秒
混合油水注入量(l)   242 195 140 75
混合油水注入量(l/h) 600 511 432 284 173
水のみの注入量に対する注入量の比(%) 100 85 72 47 29
 
図V-2.8 混合油水の油水比と注入量との関係
 
1)油水の注入量は油分の混合比が高くなるほど、混合油水の粘度が高くなり、ポンプの吸、吐出部及びホース等の抵抗が大きくなり、注入量が低下する。
 例えば混合油水の油水比5:5と、水のみの流量と比較すると油水比5:5の注入量は29%に低下する。
2) デカンティングホースから排出された分離水と模型に注入した混合油水との油分を比較した結果、デカンティングホースから排出された分離水には油分が含まれていないことが観察された。このことにより閉鎖型仮貯蔵タンク模型内における油水分離は良好であることが分かった。
 ただし、本試験に使用した油は、比重が軽くムース化しない灯油であることから、比重分離が良いことが挙げられる。
 模型袋部に混合油水注入中の状況を写真V-2.6〜9に示す。
3)仮貯蔵タンクは、水試験結果から54.2l(比重1.0として54.2kg)の容積となることが分かった。図V-2.7の模式図は、仮貯蔵タンク内の混合油水量が54.2kgであればデカンティングホースからの水分の排出はないが、この重量を上回ると水分等が排出することになる。
 このことは、回収した油分の比重が水槽水と同じであると模型袋部内は油分で満杯となるが、油分の比重が水槽水より軽いと模式図に示す状況となる。更に混合油水を注入すると袋部内に蓄えられる最大重量は54.2kgであることから、下部からの水分が排出されるとともに油分が上昇し浮体上部から溢流することが考えられる。
 溢流に関しては次年度に油の比重を種々変化して静水中における溢流模型実験を、また、波浪中におけるスロッシング等動揺試験を調査する予定である。
 
写真V-2.6 油水流入実験の状況(静水中)
 
写真V-2.7 混合油水の袋部注入の状況(1)(静水中)
 
写真V-2.8 混合油水の袋部注入の状況(2)(静水中)
 
写真V-2.9 混合油水の注入後の状況(静水中)







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