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国際海事情報シリーズ76 タイ国におけるフェリー網整備に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


6. 事業の基本計画
6-1 技術的妥当性
(1)船の種類
 RO-RO船は下記の2つの基本カテゴリに分類できる。
■貨客船
■貨物専用船
 
● 貨客船
 貨客船は日本やヨーロッパでごく一般的に使用されている。これらの船舶は全く異なる以下の2つの市場で運航している。
・貨物市場は一般に荷物を積載したトラックをそのまま運搬、運転手は乗客として運んでいる。
・旅客市場の場合、一般乗客の他、自動車で旅行中の乗客を自家用車と共に運んでいる。
 こうした船舶は道路輸送が代替手段とならない場合や、全て道路で輸送した場合の運送時間が海上輸送と比較して非常に長い場合にその長所を発揮する。自家用車を利用する旅行者で全ての行程が道路で移動可能であり、フェリーターミナルまでの時間や待ち時間を含めるとフェリーも車も移動時間があまり変わらないといった場合には、フェリー利用者の数を増やすことは通常困難である。
 タイにおいて、乗客及び自家用車を対象としたRO-RO船によるフェリーサービスへの需要は本事業計画では詳述していない。しかしながら、自家用車所有者が、こうした船舶を使用することにより旅行時間を減少できる可能性は、ほとんどないといってよい。
 しかし、本事業計画では、貨物需要に加えて旅客、特にバンコクの交通渋滞を回避したい乗客も潜在市場として考慮する。
 
● 貨物専用船
 一方、貨物専用RO-RO船は、貨物と旅客のうち、貨物市場に特化している。貨物専用船にもいくつかの運航方法がある。
・フォークリフトあるいは同様の機材を使用して船上に貨物を運ぶ場合
 Wallenius Wilhemsen社運航の水深が十分ある航路のRO-RO船などの場合、この方法を使用する。自走可能な貨物以外の貨物は全てフォークリフトあるいは他の吊り上げ装置を用いて船上に荷揚、荷積され、必要に応じ固縛される。この方法は、車輪付きの自走貨物とは一緒に運送されないという点において、他の貨物専用RO-RO船と異なっている。
 通常、この方法は長距離の国際航路に最も適している。荷物の積み下ろしや荷揚げは他の種類のRO-RO船と比較して時間がかかるため、迅速な荷積みや荷揚げが重要となる短距離の国内航路においては、不利である。
 
・専門設備を使用して貨物を船上に運ぶ場合
 この場合、貨物は通常コンテナに詰められるかユニット化されている。船が到着するまで、コンテナ及びパレットは、フェリーターミナルの専門の輸送設備の上に積み重ねられる。輸送用設備はその後、ターミナルトラクターによって船上に運ばれる。この手法は、オーストラリアのバス海峡における輸送などで利用されている。
 専門設備を使用して貨物を船上に運ぶ場合、荷積み及び荷揚げ速度が向上する。トラックを船に積載する場合と比較して(下記参照)、道路トレーラー、及びトラックやドライバー(オペレーション方法による)の使用に関連した固定費を節約できるという利点がある。しかし、これには、港のターミナルで一度荷物を輸送用設備の上に積み重ね、また船に積み込むといった二重の手間や専門輸送設備にかかる費用など、新たなコストが必要となってくる。また、貨物をユニット化して港のターミナルに保管する必要があるため、トラックを積載する場合のような柔軟性がない。現在タイでは、RO-RO船で輸送を代替することが可能な貨物の多くが、バラ積みのままトラックによって運ばれており、この点は特に重要な点であろう。
 
・トレーラーやトラックに貨物を積載したまま船で運ぶ場合
 この種の船を使って輸送する場合、貨物はトレーラーやトラックに積載されたまま運搬されることとなる。
 これには次の2つの方法の内いずれか1つが使用されると思われる。
 
−セミトレーラー(通常18輪)トラックの場合、トレーラーはターミナルの中でトラクターから取り外され、その後ターミナルトラクターで船まで(貨物を積載したまま)運搬される。この方法の場合、長い航海の間、費用のかかる道路設備を使用せずに済むという利点があり、海上における輸送が長い場合に最も適している。
−トラック(通常のトラック、あるいはトラックとトレーラーの組み合わせのいずれか)を直接船の上まで運転して積み込む。この方法は、トラック(及びドライバー)の費用の方が輸送にかかる総コストに占める割合が小さく、空のトラックと運転手の回送費用を加えた費用と比較して安くなる場合、すなわち陸上輸送距離と海上輸送距離を比較して海上輸送の距離の方が短い場合に適している。この場合、通常のトラックを含む様々なタイプのトラックを積載できるという利点がある。
 
 これらの2つの方法は相互相容れないものではなく、実際にはタイのRO-RO船は今後、分離された分離型トレーラーや通常のトラック、および完全なトレーラーの複数のタイプを輸送することになるだろう。
 
(2)船のサイズ
 タイの国内貿易に適したRO-RO船の大きさについては様々な意見がある。前回の調査である「タイ国におけるモーダルシフトに伴う新規造船需要に関する調査報告書」(2001年6月発行)では、1,000〜3,000載貨重量トン級RO-RO船の将来的な可能性が示唆された。運輸省の依頼を受けてGolden Plan社がまとめた「2001年度沿岸輸送システム促進に関する調査報告書」では、2,000載貨重量トン(1,800GRT)から5,000載貨重量トン(4,500GRT)級のRO-RO船を使用する可能性について考察が行われた。
 この事業計画で対象となった全ての航路を検討の結果、3形式のRO-RO船即ち、1,000DWT、2,000DWT及び4,000DWTの船が最も競争力があるという結論に達した。
 
(3)喫水
 平均的に、RO-RO船の喫水に関する条件は、他の一般貨物船ほど深さを要求されない。これは、船舶のサイズが小さい為と、水深の浅い国内港でも運航に問題がないよう特別に設計されているためでもある。世界のRO-RO船の設計喫水値の分布を表6-1に示す。
 
表6-1: 世界のRO-RO船の設計喫水値の分布
喫水(m) RO-RO貨物船隻数 RO-RO客船隻数
60 166
0 2.99 163 539
3.00 3.49 44 287
3.50 3.99 50 238
4.00 4.49 67 176
4.50 4.99 78 174
5.00 5.49 76 138
5.50 5.99 79 193
6.00 6.49 113 146
6.50 6.99 141 100
7.00 7.49 79 19
7.50 7.99 36 7
8.00 8.49 25 3
8.50 8.99 19 1
9.00 9.49 30 4
9.50 9.99 30 1
10.00 10.49 1 -
10.50 10.99 15 1
11.00 11.49 24 -
11.5 11.99 4 -
出典:ISL, 2000年度船舶輸送統計年鑑
 
 実際に、タイのRO-RO船隊の殆どが国内の貿易に適して運航し、小型船に分類されており、その73%の船舶の設計喫水は4m以下であることが分かっている。
 タイ国内貿易に供されるRO-RO船の導入の可能性がある県には、この喫水の船が入港することができる港湾設備をもつところもある。クロントイ(バンコク)、レムチャバン、およびマブタプットの各国際貿易港は、それぞれバンコク、チョンブリ、及びラヨーンの港として機能している。またソンクラーには、国際貿易に使用されている大深水港がある。チュンポーンとスラータニーには現在、適当な港湾設備が存在しない。タイの主要な港湾施設の情報は付録に示す。
 チュンポーンとスラータニーには現在、適当な港湾設備は存在しないが3.5mの水深を持つ石油ターミナルがチュンポーンにある。この場所にRO-RO船向けの設備を建設すれば、最大およそ2,000載貨重量トン数の船の入港が可能なはずである。これより良い方法はチュンポーンの輸送手段として、プラチュアブキリカン県の南に位置するバンサファンにある既存の民間港湾を使用することであろう。この港湾設備に隣接した工場で生産される鉄鋼コイルの輸送にRO-RO船を使用することで、潜在的な需要が見込め、これは特に注目に値する。
 スラータニーでは、主な港湾設備はタピ川に位置している。「沿岸輸送システムの開発に関する調査報告書」によると、入港に際しては水深が3m〜5mしかなく、約1,500GT以下の船舶しか入港できない。この地域において更なる港湾開発が行われなければ、入港可能なRO-RO船の大きさは前項で触れた範囲内のものに限られることになる。
 
(4)特徴
 現在、RO-RO船専用のバースを持つタイの港は極めて少ない。従って、運航上の柔軟性を確保するため、RO-RO船は複数のランプを備えていることが重要である。また、厳しい気象条件の下でも、曳船の補助なしで入港する能力を備える事も又重要である。
 
(5)結論
■タイでは、貨物のみを搭載したトラックをそのまま船に積載する方法が、最も適している。フィージビリティースタディはこの手法が今後使われるという仮定に基づいて行っている。
■これまでの調査では、タイの沿岸航路には1,000から4,000載貨重量トンのRO-RO船が最も適していることを示唆している。
■いくつかの航路、特にスラータニー発着の航路の場合、港湾施設の制約により、入港できる船舶は小型のものに限られる可能性がある。
■船舶は、複数のランプを備え、バウスラスターやスターンスラスターのような適切な操舵装置が取り付けられていなければならない。
 
6-2 要員の確保
 本事業の実施機関であるタイ海運公社は、船舶の運航を止めて久しく、RO-O船の運航及び維持に必要な要員、乗組員及び他の必要な管理部門の人間を雇用する必要がある。
 雇用に必要な人的資源は船舶の運航及び維持において十分な知識を有した要員を抱える、経験のある海運会社等との共同運営を通して、タイ国内及び国際海運市場で調達が可能である。
 更に、事業の実施期間中にタイ海運公社の要員及び乗組員が日本等の海運先進国において船舶の運航及び維持の為に十分な訓練が受けられるよう、訓練プログラムが用意されている。
 
6-3 建造方法
 RO-RO船は船の品質、信頼性及び効率性を担保する為に、RO-RO船または同等の船舶の建造に十分な経験を持つ造船所にて建造されるべきである。
 RO-RO船または同等の船舶の建造経験のない造船所が入札に参加する場合は、建造工事の品質を保証する為に、その造船所は確認された同意書により経験のある造船所の支援を受けなければならない。
 入札は国際競争入札で実施するが、妥当な場合にはタイ政府またはJBICの融資を受ける場合にはJBICの調達ガイドラインに沿って事前承認を得た後、経験のある造船所との随意契約によることができる。







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