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国際海事情報シリーズ76 タイ国におけるフェリー網整備に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


3. 事業の目的
3-1 短期的事業目的
 本事業の短期的な目的は下記のとおり。
 
a. タイ国の生活物資、貨物輸送システムへのRO-ROフェリーネットワークの導入。
b. RO-ROフェリーネットワークを導入する事による輸送コストの低減。
c. タイ国で大多数を占める道路輸送の一部を担い、以って国内輸送システムの効率化を図る。
d. 特にバンコク及びその近辺において住民及び環境に深刻な悪影響を与えている道路輸送に起因する大気汚染、騒音、振動等々の公害を改善する。
e. 輸送モードを道路から海上へシフトする事によりバンコクの深刻な渋滞を改善する。
 
3-2 長期的事業目的
 RO-RO船の運航によるモーダルシフトの導入および短期的事業目的の達成の結果、事業は下記の分野に貢献するものである。
 
a. モーダルシフト導入によりタイ国産業の生産性改善を図る。
b. 海上の高速道路としてRO-ROフェリーネットワークを構築することにより、地域間の経済格差を軽減する。
c. 特にバンコクおよびその周辺での公害及び深刻な渋滞を軽減する。
d. 輸送モードを道路から海上へシフトすることにより貴重なエネルギーを節約する。
 
4. 事業の必要性
4-1 国家開発計画
4-1-1 国家経済及び社会開発計画
(1)第8次国家経済社会開発計画
・タイ南部の西側及び東側の深水に港を開発し、アンダマン海とタイ湾を結ぶ貨物輸送システムを整備し、南部地域の繁栄に寄与する。
・西部臨海部を対象とした、水道、道路、電気、及び港を含むインフラ基盤に関する業務計画の立案。
・船舶、航空及び道路をつなぐ輸送ネットワーク、特に船舶輸送網と東部の主要な港をつなぐ輸送ネットワークを築くため、今後開発の見込まれる臨海部の港を整備する。
・輸送能力を拡大し、タイ国籍の商船の数を増やすことにより、海運業の発展を図る。また、民間部門の参入を促進し、人材育成を図る。
 
(2)第9次国家経済社会開発計画
・投資済みのインフラストラクチャーの活用に重点を置き、主要国際貿易港等の競争力拡大に効果の見込まれる設備に関しては資金の追加投入を行う。
・輸送システム、コミュニケーション、電気通信、及び公益事業におけるインフラ基盤の効率及び質の強化に努める。これは、特に電気通信網や空港、主要港及び海運業の生産性やサービスを改善し、水準を国際基準に合わせるとともに、タイの生産部門やサービス部門の成長を支援するものである。
 
4-1-2 輸送に関するマスタープラン
 輸送に関するマスタープランでは以下の優先項目が特定されている。
・輸送システムの安全強化
・輸送による環境汚染の滅少
・効率的な複合一貫輸送システムの開発
・運航業者の費用と負担を軽減するため各輸送形態における競争の促進
・旅客及び貨物双方の大量輸送への注力と支援
・政府機関の輸送分野に果たす役割の効率化・調整
・各輸送形態間における公正な競争を刺激し独占を根純するための税金及び関税の設定
・タイの運輸システムと近隣諸国との連携。タイが域内における経済及び運輸業の中心地となるための支援
・適切な国土利用を促進するための積極的な輸送網の開発
 
4-2 分野別開発計画
4-2-1 海運開発マスタープラン
(1)構想声明
 タイの沿岸輸送政策は、国会によって承認された海運促進委員会事務局の海運開発マスタープラン1999-2006に記されている。
 海運発展構想の概念は以下のとおり。
(1)海運産業を、タイにおける将来の海上輸送を支えられるだけの有効かつ充分なレベルまで発展させる。
(2)国際貿易を促進し支援するために、輸入・輸出に際し適正価格で信頼できる輸送を提供する。
(3)国際的競争力を持ち、国内及び地域経済成長に適切で、国防及び国内の安全と利益を支えるために、国内商船隊の効率性を高めるとともに船腹量の増大を進展させる。
(4)より良い海上輸送を行うために効率的かつ充分なドック外サービス及び複合輸送システムを促進する。
(5)タイの港湾に寄港する船舶に効率的に寄与するため、適切な港湾設備を確保する。
(6)海運業を支援するために船舶修理及び造船産業を発展させる。
(7)国内海運産業の促進及び支援、外国船舶への就職機会の提供、海上安全に関する基準の引き上げ、海上及び海洋汚染の防止を目的とした国内海運産業に充分な船員及びその他海事従事者向けの国際標準の教育及び訓練を確保する。
(8)沿岸航行による海外輸送の補助及び国内輸送における海運比率の増加を促進する。
(9)海運産業に関係する公的機関の効率性及び構造を改善する。
 
4-2-2 沿岸海運開発政策
 海運政策の基礎となる構想声明は、前記のとおりである。沿岸海運に関しては、本マスタープランにおいて構想声明について以下の開発政策とともに詳しく述べている。
 
 他の国内輸送手段と比較して、エネルギー消費が低く環境への影響が最少である沿岸輸送の発展支援及び促進。これは国際海上輸送を支える国内輸送の代替手段である。
 
 この政策は、沿岸輸送へのモーダルシフトを奨励する方策を展開し導入するための明確な権限を与えている。
 
(1)開発目標
 本マスタープランでは沿岸海運の目標を、第8次国家経済社会開発計画(NESDP: National Economic and Social Development Plan)(1996〜2001年)の期間では沿岸海運比率を国内貨物の5%超を維持し、第9次NESDPの終了時(2006年)までに5.7%まで伸ばすこととしている。
 
(2)沿岸海運開発戦略
 本マスタープランに記された沿岸海運開発戦略では、港湾の開発及び沿岸航行船舶の開発という2つの領域に焦点を当てている。
 
(3)港湾開発
 港湾の開発戦略は以下のとおりである。
・既存の港湾インフラストラクチャーの最大限の開発
・新港の開発による観光業の促進と、レムチャバン港への貨物のフィーダーサービスを提供する
・採掘権者による石油産業供給基地としてのソンクラー港の新施設開発促進
 
(4)沿岸航行船舶の開発
 沿岸航行船舶の開発戦略は以下のとおりである。
・国内貨物輸送の沿岸輸送比率を増加させるために、バンコク〜南部地域間及びレムチャバン〜北南部地域間の定期船サービスの発展を促進する。
・レムチャバン港からのコンテナ貨物の輸出促進のために、レムチャバン〜北南部地域間のRO-ROフェリーサービスへの民間分野からの投資を促進する。
・旅客船分野へ民間からの投資を促進する。
・タイ沿岸輸送業者に対して、タイ湾での沖合石油・ガス採掘及び生産権者向けに、供給基地と沖合施設間の供給品、原材料、備品の運搬などのサービスを提供するよう促進する。
 
4-2-3 沿岸海運に関する方策
(1)財政及び資金調達
 海運開発マスタープランでは、沿岸海運を促進するために2つの財政的な奨励策について言及している。
・外航海運事業者に対する措置と同様の方式による沿岸船舶乗組員への収入税の減額
・外航海運事業者及び沿岸船舶事業者の低金利融資の適用
 
(2)海運開発マスタープラン、その他の支援
・海運業に従事しているタイ国籍および外国籍双方の投資家が得た配当に対する所得税の免除
・外国人がより多くの海運業者の株式を所有することを許可するための投資規制の自由化
・外国海輸業者がタイに海運関連事業を設立し、長期投資及びタイでの効果的な事業管理とともに管理事務所を設置することを条件として、タイの海輸業者と同様の方法で免税を受けることの許可
 
 これらの方策がすべて適切に国内の海運分野に適用された場合、船舶の更新と沿岸海運の技術革新を促すことになろう。
 
(3)港湾手数料及び施設
(1)港湾手数料
 港湾手数料は、一部の沿岸海運サービスの発展を阻害する要因となる。タイの港湾を商業ベースで運営し、提供する施設に対するコストを回収することは妥当であるが、しかし、港湾施設は固定費が高く、また限界原価が低いことが特徴であり、港がコスト回収の目的を達成するための方法はかなり柔軟に対応できる。
 沿岸海運に有利となるよう港湾手数料を差別化することは以下の理由により妥当性を説明できる。
・沿岸海運は道路輸送との厳しい競争に直面しており、そのため沿岸海運サービスに対する需要は国際海運サービスに対する需要よりも増減幅が大きい。
・沿岸海運サービスは、国際海運サービスよりも小規模な船舶を使用しており、それほど高価な施設を必要としない。従って、沿岸海運向けのみに使われるサービスのコストは低い。
・沿岸海運を利用することによる大きな他分野への裨益もある。これらの裨益効果も、手数料設定に加味されるべきである。
 
 タイの民間港湾事業者による港湾使用料は、海運促進委員会事務局により見直しされている。同見直しは沿岸海運事業者の使用料を最適に設定されるよう活用できるはずである。
 
(2)港湾施設
 RO-RO船及びバージの運航業者はともに、全輸送モードの中で沿岸海運がシェアを上げるために重要な役割を果たすと考えられる。どちらの海運形態もこれまでの港湾計画では優先度があまり高くなかった。将来の港湾計画ではRO-RO船専用バース及びバージの適切な投錨地を確保するべきである。
 
(3)書類
 トラック輸送の書類は最小限であるのに対し、沿岸海運の場合は国際海運と同様の税関書式を含めた必要書類条件を満足しなければならない。多くの沿岸航路では、そのような書類の必要性は疑問である。必要書類の簡素化は、沿岸海運を魅力的な選択肢とする要因の1つとなろう。
 
(4)バージ登録
 現在のバージ登録については、港湾局に幅広い自由裁量を与えており、バージ業界への新規参入の障害となっている。バージ業界は大幅な技術改良の余地があり、バージ事業を向上するためには全ての障害を取り除くことが重要である。外洋でのバージ運航は、合法的かつ通常の沿岸海運とみなされるべきであり、他の沿岸輸送と同様に取り扱われるべきである。これには投資支援及び外国企業参入の自由化促進に関連した条項も含まれる。
 
(5)複合一貫輸送
 港の後背地とのリンケージに関する海運開発マスタープランでの推薦案の実行は、タイにおけるモーダルシフトに大きく貢献する可能性がある。これらは優先的に行われるべきである。
 
(6)その他の方策
 貨物輸送の道路輸送から沿岸海運への移行を促進するために支援となる他の方策には以下のものが含まれる。
・政府及び産業フォーラムを通じ、短距離海上輸送の潜在的な環境、安全、経済面での利点に対する周知
・沿岸海運に対する研究開発の援助
・沿岸海運促進における、近隣諸国との地域的な協力の涵養
・現在、港、海運業者及びその他の関係者で使用している、または開発中の各種港湾情報システムの統合の涵養







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