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25.6 業務内容
●主な業務は船舶及び海洋プロジェクト関係設備の建造。
●建造実績のある船種は、
VLCC、15万Tトン/11.5万T/11.8万T・シャトルタンカー、11万T/9.8万T・プロダクトタンカー、6万T・タンカー
5,618TEUコンテナ船、1.2万T・コンテナ船
15万T/3.5万T・バラ積み船、5.2万T大ハッチ船、
2.5万T・油水補給船
海洋プロジェクトでの海底ボーリング用プラットフォーム等。
●その他
船舶及び海洋作業船用の設備・部品の設計、製造、据え付け、修理
陸上用の機械・電子設備・部品の設計、製造、据え付け、修理
高層建築物、橋梁等の鉄鋼構造物の製作・加工
運輸、ホテルサービス、労務、技術、ビジネス、品質検査等のコンサル業務
ノルウェー、デンマーク、イングランド、ベルギー、イタリア、ギリシャ、イラン、パキスタン、香港、日本、アメリカ、チリ等への輸出実績あり
 
25.7 受注・建造実績
表25-7: 主要受注・建造実績
受注日 種類・用途 DWT 船主・ユーザー 竣工日/
予定日
船名 その他
1999年7月 浮体式生・貯蔵・積出船(FPSO) 16万 中国海洋石油有限公司 2001年7月 “渤海世紀号”  
1999年8月 超大型タンカー(VLCC) 30万 イラン国家タンカー公司 2002年8月 “IRAN ELVAR” 船級協会DNV
333.5m×58m×31m
1999年8月 超大型タンカー(VLCC) 30万 イラン国家タンカー公司 2002年12月 “IRAN DAYLAM” 同上
1999年8月 超大型タンカー(VLCC) 30万 イラン国家タンカー公司 2003年6月   同上
1999年8月 超大型タンカー(VLCC) 30万 イラン国家タンカー公司 2003年6月   同上
1999年8月 超大型タンカー(VLCC) 30万 イラン国家タンカー公司 2004年6月   同上
1999年9月 タンカー 6.8万 COSCO 2000年10月 “玄武湖”号  
1999年9月 タンカー 6.8万 COSCO 2000年12月 “班公湖”号  
2000年4月 浮体式生・貯蔵・積出船(FPSO) 15万 中国海洋石油有限公司 2001年2月 文昌13-1  
2000年4月 浮体式生・貯蔵・積出船(FPSO) 15万 中国海洋石油有限公司 2001年11月 南海奮進  
  海底ボーリング用プラット・ホーム   中国海洋石油有限公司 2000年8月 南海四号  
2000年6月 スーパーパナマックス型コンテナ船 5618TEU 中国海運(集団)総公司 2002年12月   船級協会CCS
2000年6月 スーパーパナマックス型コンテナ船 5618TEU 中国海運(集団)総公司 2003年6月   船級協会CCS
2000年6月 スーパーパナマックス型コンテナ船 5618TEU 中国海運(集団)総公司 2003年12月   船級協会CCS
2000年6月 スーパーパナマックス型コンテナ船 5618TEU 中国海運(集団)総公司 2004年6月   船級協会CCS
2000年10月 プロダクトタンカー 11万 ノルウェーDSD公司 2000年6月    
2000年11月 プロダクトタンカー 11万 デンマークA.PMoller-Maerskグループ 2001年5月 Maersk-Pointer  
2000年11月 プロダクトタンカー 11万 デンマークA.PMoller-Maerskグループ 2001年4月 Maersk-Pointer  
2001年12月 プロダクトタンカー 11万 ノルウェーDSD社 2002年6月 “STAVANGER NAVION”  
2001年9月 浮体式生・貯蔵・積出船(FPSO) 20万 イギリスBrown & Root
エネルギー社
    下請け
2001年12月 プロダクトタンカー 11万 デンマークA.PMoller-Maerskグループ 2002年6月    
2002年1月 プロダクトタンカー 11万 デンマークA.PMoller-Maerskグループ 2002年8月    
2002年1月 30万tドック拡張工事   中国葛洲堤水電力集団有限公司      
2002年2月 20万t belanak
FPSO
20万 アメリカ大陸石油会社 2002年12月   2002年4月9日起工
2002年6月 プロダクトオイルタンカー 11万 中国海運(集団)総公司 2005年4月    
2002年7月 プロダクトオイルタンカー 11万 中国海運(集団)総公司 2003年9月   2003年3月起工予定
船級協会CCS
2002年7月 プロダクトオイルタンカー 11万 中国海運(集団)総公司 2003年12月   船級協会CCS
出所:上海科学技術情報研究所市場調査研究部
 
25.8 経営・財務状況
25.8.1 出資者
 
表25-8: 主要出資者及び出資率
(2001年12月31日現在)
出資者 出資率
中国船舶重工集団公司 42.55%
国家開発銀行 22.8%
中国信達資産管理公司 16.05%
中国華融資産管理公司 10.69%
中国東方資産管理公司 7.9%
出所:国家工商行政管理局
 
25.8.2 売上げ
 
図25-3: 近年の売上額の推移
(単位:万元)
出所:国家工商行政管理局
 
25.9 関連企業
表25-9: 主要関連企業の名称及び会社概要
関係 関連企業 会社概要
出資者 中国船舶重工集団公司(CSIC) 国務院の承認により設立された大型国有造船企業集団。
国家重点企業として中央政府が管理。(「北方集団」とも呼ばれる)
出資者 国家開発銀行 1994年3月、国務院の承認により成立。
資本金500億元、100%政府出資の政策銀行。
主要業務:
 基礎施設、基礎・中堅産業の設備投資等支援。
 国家・地域発展のための政策の支援(融資・外貨手当等)
3大政策銀行の中では最大規模。中国人民銀行とともに中央省庁と同格の扱いを受けている金融機関。
出資者 中国信達資産管理公司 1999年4月20日、中国人民銀行の承認により北京で成立。
中国初の金融資産管理会社。
主要業務:国有企業の不良債権の買収、管理、処理。
出資者 中国華融資産管理公司 1999年10月19日、国務院の承認により北京で成立。
資本金100億元、100%国家出資の国有金融企業。
主要業務:中国工商銀行関係企業の不良債権の買収、管理、処理。
出資者 中国東方資産管理公司 1999年10月15日、国務院、中国人民銀行が承認して北京で成立。
資本金100億元(人民元60億元、外貨5億USドル)
100%国家出資の国有金融企業。
主要業務:中国銀行関係企業の不良債権の買収、管理、処理。
出所:上海科学技術情報研究所市場調査研究部
 
25.10 政府との関係
●大連新船重工は中央直轄の国家級軍事工業企業であり,中国国防科工委の指導を受けている。従って、中央政府との関係は比較的緊密。遼寧省、大連市の地方政府とは基本的に無関係。
●優遇政策の点では、近年の「政府と企業の分離」という政策、軍用製品の製造に関係する原材料の調達及び人材派遣で優遇がある程度。設備投資・調達も基本的に自社資金で実施。大連新船重工は純粋の軍事工場ではないことから、軍事面での政府の優遇政策は、限られているが、同時に政府の干渉も少ない。
●大連新船重工の前董事、前副総経理董強氏は、現在は中国船舶重工集団公司(CSIC)の党組成員、副総経理。同氏は大連工学院卒業後、大連造船厂技術員、職場技術組副組長、大連造船新厂職場技術組副組長、組長、職場副主任、生産処副処長、職場主任、工場長助理、副工場長等を歴任。2000年8月には大連新船重工の董事、副総経理に就任。2002年3月から現職。大連新船重工出身の董強氏が中央で果たす役割は大きいと思われる。
●2000年8月8日に江澤民総書記事務室延安主任が大連市委書記薄煕来に電話をかけ「江総書記が大連造船新廠成立10周年及び超大型タンカー(VLCC)の起工を祝う」と伝えた。2000年8月18日の記念式典には、国防科工委副主席張洪、遼寧省副省長陳政高、大連市委書記薄煕来及び九大軍工集団公司幹部が出席する等、指導者の訪問も多い。
 
25.11 今後
25.11.1 最近のトピック
1)2002年11月11日 中国最大の塗装工場が完成。(国債による資金を利用)
2)2002年10月10日 非船舶事業部の米国SBM社向け一点係留システム竣工。
3)中国最大の5,618TEUコンテナ船“新大連”号進水中国海運集団公司発注、全長279.6m×型幅40.3m、航海速力26kt。
4)2002年8月18日 中国初のVLCC完成・引き渡し。
5)2002年5月5日 中国海運発展株式有限公司と11万DWTのプロダクトタンカーの建造契約締結。
6)2002年1月18日 ドックの延長工事のプロジェクト契約書に正式にサイン、投資額がRMB1.68億元。中国葛洲ダム水利水電集団有限公司が建設工事を請負い、工事予定期間は2002年1月8日から2003年7月18日まで(18ヶ月)
 
25.11.2 事業計画
 大連新船重工有限責任公司の“15”計画は以下のとおり。
●30万Tドックの延長プロジェクトによる建造設備更新
●設備更新と技術向上により、年生産能力を150万DWTに
●VLCC、5618TEUコンテナ、20万DWT・FPSO等の商品開発
●LNG船、V-MAX型VLCC、鉄道フェリー、大型半潜水式ボーリング・プラットフォームの市場開発
 
25.12 その他
●設計レベル
船舶研究所の中に船舶設計研究所と工芸計画の2つ主要技術部門あり。船舶設計研究所技術者は280人。
業務:船舶技術の開発・研究、TRIBON等を応用して、30万T以下の船舶を設計
部門:船舶の設計・研究、電子計算機による応用研究、塗装、化学工業、溶接試験等
 
●日系企業・外国企業との提携
造船技術で特定の海外企業との技術提携はなく、基本的に自社技術で開発製造設備はNKKの平面ブロック建造ライン、高精度門型切断機、光電レーサー切断機等を海外から設備を導入
1995年 フランスGTTを招請し、技術交流を始める
1999年2月 三菱重工業とLNG船のスチームタービンについて技術交流
2000年11月 韓国に代表団を派遣して、LNG船の溶接技術・材料を学習
 
 近年、特にLNG船について積極的に海外と技術交流、Kvaernerグループ、フィンランドMassa造船所からMOSS型のLNG船の技術導入及びタンカ製品の調達等について、非排他的な性質の協議書を締結、フランスGTTとメンブレンの特許許可契約。フランス・アトランテック造船所とメンブレン型LNG船の技術導入について非排他的な性質の協議書(入札、技術商談、設計、設備調達、建造等各段階での提携の方式を規定)を締結。







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