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5)1995年
 
写真4-5 1995年の木更津地区(国土地理院データを加工)
 
(1)東京湾横断道路 アクアラインの建設
 東京湾横断道路のアクアラインは、沿岸域の交通網のあり方の重要な事例である。東京湾の開発計画の変遷(図4-1〜4-5)に示すように、木更津は東京湾岸交通のジャンクションとして位置づけられてきた。横断道路は木更津側の約半分が橋梁、川崎側がトンネルとなっている。
 アクアラインはバブル経済崩壊に伴う社会基盤の見直しで、社会的評価がさまざまである。通行車数が予想以上にすくないこと、通行料の割高感、建設・維持経費の回収の見通しが不透明なこと、などである。木更津にとっては、交通網の整備によって大都市との時間距離が短縮された結果の「ストロー効果」により、住民の買い物地や行楽が対岸の東京・横浜に流れる現象による商業施設の空洞化や地域経済の停滞に帰結している。一方、羽田空港まで1時間以内などの新たな地の利も生まれた。また、房総半島全体にとっては、住民の東京方面への移動は便利になったが、観光的には車での日帰りエリアになり、宿泊客の減少などが問題になっている。
 横断道路は、海域に対しては常時の振動、潮流の変化、夜間の照明による生態系への影響が心配されているが、公的には影響がほとんどないことになっている。
 
木更津周辺の埋立計画の変遷
図4-1 ネオトウキョウプラン
 
 昭和34(1959) 年に産業計画会議による湾奥の人工島と周辺地域を結ぶ道路計画の構想。東京湾全体で99,200haの埋立の計画(海岸を39,700ha、湾中央部の海域を人工島として59,500ha)。目的は、首都東京の人口増加と都市機能のアンバランスによる交通・住宅問題、生活環境破壊、コスト高などの解決。将来の発展への準備。木更津周辺は全面的に埋立が計画された。







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