調査項目 |
がい装なし電線 |
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電線布設時の配慮、その他 |
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1.1 がい装なし電線は外被材料(ビニルシース)が柔らかく強度も弱いので損傷を受ける可能性が高い。これを避けるための配慮 |
a 貫通金物の面取り入念に。 |
b ドラムからの電線の引出しの際慎重に。 |
c 外部から損傷を受けない場所は非金属バンドで固定。 |
d 金属バンドの締め付けが過剰とならないように注意。 |
e 溶接等の火花に曝されることが無いよう工事手順の連絡を密にする。 |
f バンド掛け時バンドが電線にくい込まないよう注意。 |
g 電線布設の際電路部材のエッジ部等にこすり傷を付けないよう注意。 |
h 布設中電線の”ばらけ”をシージングワイヤー等で |
仮固縛(引っ掛け等での損傷防止) |
1.2 布設時、大きな張力掛けないための配慮 |
a 電線の曲がり部分には人員を配置し、状況を見ながら張力増加を防止。 |
b 電線貫通部は送る側、受け取る側に分かれて展張。 |
c 配線用ローラを多用。 |
d ウインチ等で布設する場合は張力制御を行う。(大型船ではがい装電線でも必要) |
e 布設の際、導体7kg/mm2以上の張力を掛けない。 |
f 電路の屈曲の多い所は布設作業を分割し目的場所まで一貫作業をしない。 |
1.3 電線の養生/保護の材料 |
a ビニルシート(防滴、防水養生) |
b ダイロメックス(火気養生布) |
c カーボンクロス、防炎マット(火気養生) |
1.4 電線の支持/固定間隔 船舶設備規程(第256条の3項);ケーブルの支持間隔及び固定間隔の規程では、がい装なし電線はがい装電線より50mm狭く間隔をとることが決められている |
一般にはがい装電線の間隔を適用している。 |
(がい装有り/なし共通)。 |
1.5 電線バンドの材料 |
a 一般にはがい装電線と同じ |
b ビニル被覆付きSUS |
c ビニル被覆付き鉄 |
d 非金属性バンド |
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がい装なし電線の電装工事の利点 |
a 電線が軽量・小型で電路幅が狭くて済む。 |
b 電線の湾曲が容易。 |
c 電線の端末処理が容易。 |
d がい装のアース工事が不要。 |
f 結線の際、むき込みが容易。 |
g ゴミが少ない。 |
h 電線が錆びない。 |
i 作業効率が良い。 |
j 軽量の為、現場での運搬が楽。 |
k 照明配線等に使用する配線材料が軽量化出来る。 |
i 電線価格ががい装電線より安い。 |
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がい装なし電線の電装工事の問題点 |
a 電線布設時の外被の損傷。 |
b 工事中の溶接火による焼損を受け易い。 |
c 電線表面に傷が付き易い。 |
e 保護覆いに手間が掛かる。 |
f 電線バンドを締めすぎての心線の短絡。 |
g ケーブルの上に後からケーブルを布設する際に摩擦によりシースを摩滅させることがある。 |
h 同じくバンド掛けの後、追加電線を布設する時、バンドのエッジでシースに傷が付くとことがある。 |
i がい装がない為の、電波障害が多くなる。 |
j 器具のグランドの大きさ。 |
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使用電線の一例 |
a ノンハロゲン耐延焼性軽量 FA-TCO; 海上保安庁船には全て使用。 |
b JISC-3410-99 耐延焼性 FA-TPY; SOLAS適用船及び延命修繕船に使用。 |
c JISC-3410-99 耐炎性 TPY; 漁取船等非SOLAS適用船に使用 |
d 防衛庁規格のがい装なし電線;掃海艇等に使用 |
e HELKAMAハロゲンフリー電線;欧州で建造される船舶には多用 |
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シールド線はがい装なし電線が規格されていない(JISC-3410) その場合の使用電線 |
3410のがい装付シールド電線を使用;MPYCS等 |