日本財団 図書館


特別展
糸満漁民の展開と港川
〜海人の歴史と文化〜
 
会期/2003年8月1日(金)〜9月30日(火)
会場/具志頭村立歴史民俗資料館
住所:901-0512沖縄県具志頭村字具志頭352 電話:098-835-7500 FAX: 098-835-7501
主催/具志頭村立歴史民俗資料館/(社)沖縄海事広報協会
共催/港川漁業協同組合/(財)日本海事広報協会
協力/読谷村立歴史民俗資料館
 
表紙写真:坂井和夫
 
 
はじめに
 港川を歩いていると、どこからとなく「糸満言葉」が聞こえてきます。周囲が新正月で華やかな雰囲気に包まれているとき、港川ではいつもと変わらぬ日常の時間が流れ、旧正月は一変してハレの日となります。ある糸満出身の人は、港川は糸満よりも糸満らしい所だと言っています。港川は具志頭村内の唯一の漁村であり、糸満漁民が移住して形成した最も古く、規模の大きな「分村」の1つです。糸満の多くの「分村」が明治中頃から活発化した大型の追込み網漁の躍進に伴って形成されていったのに対して、港川集落は1800年代中頃(首里王府時代)にすでに形成されていました。首里王府時代には百姓の移住が禁止されていたので、糸満漁民が例外的な存在であったことがわかります。
 これまでの沖縄の歴史・民俗研究は、シマ(村落)に関する膨大な知識を蓄積してきました。しかし、研究対象となってきたのは、圧倒的に農村が多く、漁村に関する研究はあまり多くありません。しかし、一方では「海人(ウミンチュ)Tシャツ」が普及したり、漫画に描かれたりして、「海人」という言葉は全国的に知られるようになりました。つまり、海人のイメージが先行している感があります。海に囲まれた沖縄文化地域の地理的特性を考えると、漁民や漁村の歴史・民俗に関する基礎的研究を今後さらに積み上げていく必要性を感じます。
 このような状況の中で、具志頭村立歴史民俗資料館では、「糸満漁民の展開:海人の歴史と文化」をテーマに特別展を開催しました。本特別展は、海人の過去と現在の姿を描くことを目的として、糸満の漁民の展開を一方で明らかにしながら、漁村港川の歴史・技術・文化をテーマに、港川という地域の特質の表現を試みています。
玉城 毅







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION