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総説
老年医学における脆弱化(Frailty)と筋肉減少症(Sarcopenia)
活力の低下と廃疾は予防できるか*1
道場信孝*2 日野原重明*3
 
はじめに
 
 高齢化社会における医療の目標は何であろうか。寿命の延長は必ずしも社会的需要ではなく, リハビリテーションの父ラスクの師ピアゾーの言葉にあるように, 『命に時間を与えるのではなく, 時間に命を与える』ことが重要なことはいうまでもない。老年をよく生きるためにはsuccessful agingの考えが示すように疾病の影響を最小限に, 心身の機能を活発に, そして, 社会的関わりを最大限に維持することが必須である。したがって, 寿命の延長が罹病者の増大を招くという罹病拡大のシナリオではなく, 罹病者が減少する罹病圧縮のシナリオが望ましく, 今日, わが国の現状が漸次そのような方向で変わっていく様が示唆されている1)。しかし, その際に罹病を従来のような疾病の概念のみで捉えることは問題の解決を遅らせるのみで, 急速に高齢化したわが国の医療のあり方には適さない。先に筆者らが提案したごとく, 加齢に伴って生じる機能低下は既存の疾病概念とは異なった実在, すなわちfrailty, あるいは, vulnerabilityとして捉えることが必要であり, そこでは既存の疾病は併存病(comorbidity)として理解され, 脆弱化した心身(内的要因)に更なる打撃を与える外的要因として位置づけられる2)
 このようなシナリオを想定するならば, 結果として老人病は広い意味で今日の生活習慣病の延長線上にあるとしても, それらとは異質な病態として理解することがより合理的な対応を可能にするはずであり, そのような切り口から今後の医療政策も練り直さなければならないと思われる。
 わが国の高齢化は世界でも類のない速度で進行し, この問題の解決には有史以来モデルが存在しない。筆者らが推進している新老人運動は, いわゆるsuccessful agingにある老年者の実在を社会全体として認識する上で大きなインパクトとなったが3), 既存の疾病とは異なり, そして, 加齢とともに進行する心身の脆弱化(frailty, vulnerability)に目を向け, その実在にコンセンサスを得ることが, 老人問題解決へのより確実な道筋を開くものと考え, 以下に, 脆弱化(frailty), 筋肉減少症(sarcopenia), 食思不振, 活力不全(failure to thrive), そして, それらの予防の可能性について述べる。
 
脆弱化(Frailty)の考え方の意義
 
 北米においてはfrailtyとvulnerabilityとはほぼ同義に用いられているが, すでに筆者らが先に紹介したようにFriedら(2001)は老人のfrailtyにPhenotypeとしてのエビデンスを与えようと試みているし4), Wengerら(2001)はvulnerable elderに対するケアの評価指針を提案している5)。現時点では, PubMedでfrailtyやvulnerabilityと老人をキーワードに検索すれば, それぞれ300以上, そして, 1,000以上の文献が得られるくらいにこれらの表現は一般化した概念である。Frailtyがこれほどに注目される理由は, これが転倒や, 骨折の主要な原因となり, その結果これら老人のQOLが著しく障害されるのみならず, 家族や友人, そして, 隣人などの援助者の負担を著しく大きくし, 膨大な医療費の増加を伴う社会的損失につながるためである。
 20歳から70歳に至る経過で筋肉量は30%失われ, それによって代謝は低下し, 脂肪量が増え, 有酸素能, そして, 骨密度は減少する。これら一連の症候群はsarcopeniaと呼ばれ, そのために老人の生理機能は退行し, 関節の可動性, 歩行, 姿勢の制御, 平衡性は障害され, そして, 筋力, 歩行速度, 持久力は低下する6)。これらの他にも視力や聴力の障害が漸次進行し, 認知の障害も加わって老人は正常で活力にあふれた生活を営むことができなくなる。したがって, frailtyは加齢とともに生じる一連の心身の不調, あるいは, 機能の低下であり, 多くの老人にとって共通の健康障害であることから, これらを臨床的実在として評価し, そして, それを予防することが社会的需要となってきている。
 これらの関係をまとめると, 加齢といった内因性の影響は心身の予備力を低下させ, 加齢による身体活動の低下や食欲不振による筋肉減少症, 更には疾病といった外因性の影響(comorbidity)による身体活動の低下は活力の不全を伴って筋肉減少症を助長し, そして, frailtyを招来する。このような全体像の捉え方は, 生物科学的に見てやや実像を単純化しすぎていると思われるが, 現時点で老人の問題を扱う際, 大きな支障にはならないと考える。
 以上のごとく老人の心身上の問題点が現在ようやく明らかにされつつあり, そして, それらに対する介入の仕方やその効果が多くの研究によって明らかにされてきているにもかかわらず, わが国では疫学的にも臨床的にも老人の評価がこれらの目的にかなった方向で行われていないことは問題である。今後, より効果的なアウトカムをもたらす評価や介入の方法が, 費用/効果比を含めて早急に研究される必要がある。
 
図 筋肉減少症の病態生理(文献7より引用)
 
筋肉減少症(sarcopenia)の病態生理
 
 sarcopeniaはfrailtyのなかでも重要なキーワードであるが, その病態生理は現在どのように理解されているであろうか。今日, sarcopeniaが単一の原因で生じるものではないことは明らかであり, その本態のすべてが解明されているわけではないが, Roubenoff(2000)によれば中枢神経系, 筋線維や筋細胞自体の内因性要因, 体液性因子, そして, 生活習慣などの諸要因が複雑に関わっており, さながら高血圧におけるモザイク説に近似する概念である(7)。以下にそれぞれの要因の関連を述べる。
 
1. 中枢神経系(CNS)
 まず第一に, 脊髄からα運動ニューロンが失われていくことがsarcopeniaの特徴であり, この点で疾病や悪液質による終末期の変化とは本質的に異なる8)。高齢者では若年成人より運動ニューロンが大きく, 加齢を生き延びた運動ニューロンや筋繊維が脱落した機能を代償している。しかし, これらの運動ニューロンの機能は効率の点で劣り, したがって, 疲労しやすく, また, 振戦の原因にもなる。そして, 神経細胞の死は筋肉の萎縮を生じsarcopeniaを来すが, もちろん, 初めのイベントが筋肉にあり, その結果として運動ニューロンの死を生じる可能性も除外できない。このような状態で運動訓練をすると, 最初に見られる反応は収縮力の増大であり, この時期には筋肉量に変化のないことからCNSの変化が第一義的であり, おそらくCNSは訓練によって神経発射頻度を増して反応する筋繊維の数を増加させるものと思われ, 更に, cross education effectやイメージトレーニングの効果を見てもCNSの関わりが重要な役割と意味をもつことは明らかである9)
 
2. 筋収縮と筋細胞の生物学
 筋肉自体にはどのような変化が生じているであろうか。筋肉量の変化と機能とは必ずしも同義でないことは, 蛋白同化作用のある薬物で筋肉量を増しても, 収縮力の増大を伴わないことから, 両者は解離し得るものである。したがって, 筋肉の変化は形態(量)と機能(質)の両面から評価しなければならない。
 老人の単一筋繊維に関する研究では収縮力(質の変化)と同時に筋繊維の数も減少(量の変化)することが知られており, また, それらに対して成長ホルモンの影響はほとんどないと考えられている。
 myosin重鎖(MHC)の構成を若年者と高年者, そして, 訓練群と非訓練群とで比較した研究では, 非訓練の若年者においてtypeIIaとtypeIIbのMHC発現が同等に見られるが, 老人の場合でもこれと同様の所見が認められ, これらは非活動の状況で生じる現象と考えられる10)。しかし, 老人の場合にはtypeIとtypeIIa MHCの同時発現やtypeI MHCの発現を示す結果もあり, なお見解の一致をみない。筋力トレーニングの効果を検討した研究では, 訓練された老人では若年者と同様にtypeIよりtypeII MHCの発現が多いことから, 骨格筋では加齢の変化が筋力トレーニングによって変えられる可能性が示唆されている。
 しかし今日に至るまで, 単一筋繊維の研究からは筋の疲労や萎縮を説明する結果は得られていない。今後は, 筋繊維の機能と構造, そして, 生化学的構成について相互の関連を加齢や訓練効果について系統的に研究する必要がある。
 
3. 体液性因子
 筋肉の量や機能に影響する多くのホルモンやサイトカインの中で成長ホルモン(GH), テストステロン, エストロジェンのような同化ホルモンは加齢とともに減少するので, これらが筋萎縮やsarcopeniaに関連する可能性がある11)。特に閉経前後の筋肉減少と脂肪の増大にはエストロジェンが関与し, 更に, エストロジェンとテストステロンは異化作用を有するサイトカインを抑制すると考えられているが, GHについては先にも述べたように主要な役割はないとされている。免疫系の活性化は筋肉からアミノ酸を放出するIL-1, TNF, IL-6炎症性サイトカインの産生を高めるが, このような状況は急性疾患やリウマチ性関節炎, HIVなどの慢性炎症で見られる12)。加齢による免疫系の老化は, 自己免疫機能を低下させ, 潜在性の炎症状態をきたし, それによって生じるサイトカインが筋肉の異化を強め, sarcopeniaにつながる可能性が示唆されている。
 
4. 生活習慣の要因
 sarcopeniaが廃用性に生じることは明らかで, 活動性の低下が筋萎縮を急速にきたすことは良く知られている。しかし, 高齢で運動を継続しているスポーツマンにもsarcopeniaは見られるので, 廃用のみでこの現象を説明することはできないし, また, sarcopeniaが運動で完全に回復することはない。しかし, 加齢とともに運動量が減ることは確かなので, 運動の足りない生活がsarcopeniaと脂肪の蓄積を助長することは疑いない。
 
加齢と食欲低下
 
 老人の食欲の変化が注目されるようになったのは比較的最近のことで, 加齢とともに食欲の低下する現象は生理的変化と考えられ, MorleyとSilver(1988)はこれをAnorexia of Agingと呼んでいる13)。一般に加齢とともに食物摂取が低下し, 老人では長期間食物摂取を制限すると, 減った体重を正常化することが困難になるが, 逆に, 食物の過剰摂取を是正することも難しくなるので, 老人では摂食反応の調節が障害されていると考えられる。
 多くの疫学的研究は食欲が加齢とともに低下することを示している。これまで中・壮年の体重増加は過食によると考えられていたが, この時期にはすでに食欲低下が始まっているので, 今日では運動不足による脂肪の蓄積をその原因とするのがコンセンサスである14)。加齢による食欲不振は従来味覚や嗅覚の低下にその機序を求めてきたが, 結局それら感覚器のトランスジュサー機能の変化のみでは十分に説明できない。今日, 最も信じられている機序は消化管にみられる機能の変化である。すなわち, 老人では若年者に比べて摂食後の満腹時間が長く, これは恐らく食物が胃の中にとどまる時間が長いことと, 胃前庭部の圧上昇が大きいことによると考えられている15)。胃前庭部の大きさは食後の満腹感と直接関連するが, 胃前庭部の圧上昇は胃噴門部の加齢によるコンプライアンスの低下とそれに伴うNO(一酸化窒素)放出の減少が関与すると考えられている。また, 十二指腸内のcholecystokinin(CCK)は胃の通過時間を遅らせて満腹効果を高めるが, ひとでも加齢によってCCKの高くなることが知られているので, このような要因も重要と思われる。
 その他, 老人では慢性の疾患や潜在性の炎症のためにIL-1, IL-6, TNF-αなど血中のサイトカインが高くなるが, これらは食欲を低下させ, sarcopeniaの原因にもなる。高サイトカイン血症は血清アルブミン値を下げ, 脳内へのtryptophan取り込みを増し, それによって視床下部のserotoninやCorticotropine-Releasing Factor(CRF)を高めるが, CRFには強力な食欲減退作用がある。また, テストステロンの減少はレプチンのレベルを高めるので食欲不振の原因となる。その他, 加齢によって中枢神経系内の神経伝達物質が変化し, その結果, 摂食行動に変化をもたらすことも考えられる。特に, 動物実験では加齢によるopioid受容体の減少が重要な役割を有することが示されており, また, κ-opioid受容体を刺激する内因性のdynorphinは脂肪摂取の維持に重要な役割を果たすことが知られているので, 脳内神経伝達物質の機序は今後の主要な研究課題の一つである。
 
活力の低下から廃疾へ
 
 気力が萎える現象はもともと“failure to thrive”として小児科領域で1800年代から論じられており, 無関心, 活動性の低下, 体重が増さない, 幸福感の欠如などの特徴は老人の問題ときわめて近似している。しかし, 老人と異なるのは, 小児では心身上の発育の障害とそれに伴う心理・社会的技術の発達が見られなくなるのに対して, 老人では, すでに獲得された心身の機能や心理・社会的技術が維持できなくなり, 退行することである。これらの状況において最も重要な問題は栄養障害である。
 老人にみられる活力の低下は, 「特定し得る原因のない体重減少, 食欲の減退, 社会的かかわりの減少とともに身体機能と認知機能が衰えること」で特徴づけられる。この現象には3つの基本的要素があり, まず第1は生物学的・心理・社会的機能の低下で, これらはすべてが同様に障害される。第2が栄養障害, あるいは, 体重減少で, これは活力低下の原因でもあり, また, 結果でもある。そして, 第3はこれらが疾病による終末状態とは関係なく生じることである。活力の低下は決して正常な加齢の現象ではなく, また, 多くの活力低下は痴呆を伴うとしても, 痴呆そのものの表れでもない。また, これは慢性疾患の最終像でもなく, したがって, predearthといわれる疾病の終末期に見られる自立性を欠く依存とも明らかに異なる実在とされている。結局, 活力の低下(failure to thrive)は身体, 心理, 社会的すべての面で機能障害に陥り, かつ, 早期に介入すれば可逆性であることが特徴である。
 以上をまとめると, 正常な加齢の現象に加えて, 身体的, 心理的, そして, 社会的促進因子が加わって食欲不振→体重減少→栄養異常→うつ→認知機能障害→社会との隔絶→孤立→あきらめ→死といった下降スパイラルのシナリオとなる。このような過程を促進する要因として挙げられているのが11のD, すなわち, Disease, Dementia, Delirium, Drinking(alcohol, other substance abuse), Drugs, Dysphagia, Deafness(blindness, other sensory deficit), Depression, Desertion(family, friends: social isolation), Destitution, Despairであり, それぞれ単独の効果は大きくないにしても, それらのいくつかが重なって現れるときにそのインパクトは無視できないものとなる16)
 
予防は可能か
 
 frailtyは予防, あるいは, 先延ばしができるであろうか。その可能性は十分あるがエビデンスはない。しかし, 今後の老人の健康評価はこのような観点から行われるべきであり, それらに基づいた疫学研究が必須である。従来より指摘されているごとく, 介入の効果は真のエンドポイントで測るべきであり, 代替のエンドポイントは必ずしも真のエンドポイントの代わりになるものではない。しかし, 移行期の現時点では修正への介入はfrailtyのリスク予測因子に向けられるのは当然であり, また, これまでの多くの研究は上述の老化に伴う症候群の進行が種々の介入によって遅延する可能性を示している。
 
1. sarcopenia
 まず, sarcopeniaに関しては, 生理学的な研究から有酸素運動や筋力トレーニングが有効であり, また, 閉経後の骨粗鬆症に対するエストロジェン, 筋肉量に対する成長ホルモンの有用性が示されている。しかし, 一般的には運動, 食事, 睡眠といった日常生活習慣の調整が最も可能性の高い介入法であることは疑いない。すなわち, 漸増性の抵抗性運動(progressive resistive training: PRT)は確実に筋肉量を増し, 筋力を強め, そして, このような運動の効果は加齢によって失われることはない。単一筋繊維に関する研究は, 非運動者に比べて運動者でtypeIIa MHCの発現が多く, typeIIb MHC, あるいは, typeII aとtypeIIb MHC両型の発現が少ないことを示している10)
 他方, ホルモン療法など薬剤の効果についての研究は少ないが, GHに関してはinsulin-like growth factor-1が低い老人で筋肉量を増すことが示されている。しかし, このようなアプローチは費用の点で現実的ではない。また, 健常者やHIV患者でテストステロンやその他の同化ステロイドが筋肉を増加させることが知られているが, 肝障害, 睾丸萎縮, 高脂血症などの有害効果があり, 同じく制約が多い。結局, 運動と食事指導が治療の主役になり, 安全性, 有効性, 費用効果比から見てこれらが妥当な介入法であると考えられる。
 
2. 食欲不振
 加齢に伴う食欲不振の本態が解明されていない現状で, 効果的な予防の方策は立てられない。しかし, 老人に見られる食欲不振は種々の同定し得る原因で生じるものも多いので, それらの原因を取り除くことで改善を図ることは可能である。これらには痴呆やうつなどの精神的障害, そして, ジゴキシン, テオフィリン, シメチジンなどの薬物, その他, 社会的, あるいは, 環境要因などが含まれ, 治療可能な食欲不振として扱われる。
 
3. 活力の低下
 老人の活力低下は身体・心理・社会的側面のすべてに関わる障害であって, 体重減少と栄養障害を伴い, そして, この状態を一元的に理解する説明はない。しかし, この状態はプライマリ・ケアのレベルで少なくとも看護師, 栄養士, ソシアル・ワーカーとのチーム医療で常識的に対応することが可能であり, その効果は早期の介入ほど大きいとされている16)
 アプローチの基本は, (1)まずすべての加速因子を同定することであり, もし, 疾病の終末期のように身体的異常が唯一の問題であるとすれば, その活力の低下には解決の方策がない。(2)問題の解決にはチームでアプローチし, 少なくとも栄養士とソシアル・ワーカーの参与は欠かせない。(3)介入はできるだけ早期に行う。(4)同定されたすべての異常を修正することは不可能なので, できることに焦点を合わせて介入する。(5)栄養の矯正は必須である。他の要因とは異なって栄養障害は治療可能であり, したがって, 食事内容, 身体計測, 検査所見(血清アルブミン, リンパ球数, 血清鉄結合能)などを慎重に評価した上, 適切に栄養管理することだけでも下降スパイラルを止めることができる場合がある。
 
まとめ
 
 frailtyは心身の機能の生理的予備能の低下によって生じる疾病とは異なった実在として捉えられ, 自立の障害から廃疾につながる生活障害要因として今日多くの社会的関心を集めている。今回は身体的な面でのfrailtyに焦点を絞って解説したが, 心理・精神的なfrailtyも同様に重要な問題であることに疑いの余地はない。この点に関しては機会を改めて述べる予定である。
 frailtyの病態生理は, 急速に進行する生理機能の低下からの回復を障害する多くの因子の複雑な相互作用の結果として理解され, 今日, その予防や進行の阻止には大きな期待が寄せられている。予防へのアプローチには, (1)frailtyの主要な生理学的指標を定期的にモニターし, (2)それら急性, あるいは亜急性に生じる生理学的機能喪失を予測して予防し, そして, (3)すでに生じているfrailtyについては, その回復を障害する要因を取り除くことである。そのために, すべての医療者はfrailtyに対して共通の理解を持ち, 統合されたチーム医療として問題の解決に当たることが緊急の社会的需要であることを認識する必要がある。
 

*1 Frailty and Sarcopenia in Geriatrics: Are Failure to Thrive and Disability Preventable?
*2 ライフ・プランニング・センター研究教育顧問
*3 ライフ・プランニング・センター理事長
『日本医事新報』(第4093号, 2002年10月5日発行)に掲載
 
文献
1)原田泰:PHP社, 2001.
2)道場信孝, 日野原重明:日本医事新報社2002; 4085: 26-32.
3)Home Care Medicine April 2002; 58-61(無名).
4)Fried LP et al: J Gerontol 2001; 56: 146-156.
5)Wenger NS et al: Annals Int Med 2001; 135: 641-711.
6)Rubenoff R: Eur J Clin Nutr 2000; 54: 40-47.
7)Rubenoff R: J Gerontol 2000; 55: 716-724.
8)Akima H et al: Med Sci Sports Exerc 1999; 31: 588-594.
9)Herbert RD et al: Acta Physiol Scand 1998; 163: 361-368.
10)Klitgaad H et al: Acta Physiol Scand 1990; 140: 55-62.
11)Poehlman ET et al: Annals Int Med 1995; 123: 673-675.
12)Roubenoff R et al: J Clin Invest 1994; 93: 2379-2386.
13)Morley JE: Curr Opi Clin Nutr Metab Care 2001; 4: 9-13.
14)Morley JE et al: Nutrition 1999; 15: 499-503.
15)Morley JE et al: Nestle Nutri Workshop Series Clin Perform Progr 1999; 1: 67-77.
16)Egbert AM: Nutr Rew 1996; 54: 25-30.







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