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4. 開発途上軍運輸関係行政官研修の試行実施
 国土交通省では、開発途上国の運輸分野における基本的制度の創設・改革等を支援するため、運輸関係省庁の担当行政官を我が国に招聘し、我が国の運輸政策・行政制度について見識を深めることにより、当該国の運輸政策企画立案能力の強化に資することを目的とした開発途上国運輸関係行政官研修事業を創設することを検討しています。平成14年度及び15年度は試行として、ASEAN諸国のうち、運輸関係行政分野における人材育成が緊急に必要とされるカンボジア、ミャンマー、ベトナムの3国から各1名を対象に行うこととしました。
 対象者は、運輸関係の中央政府機関に所属する者で、当該国で運輸分野の基本的制度の創設または改革を行う予定の者、又は現に従事する者としました。選考方法は、相手国政府からの推薦に基づき、現地大使館員の協力を受け、国際協力課長(当時)が選考を行うこととし、研修候補者に所属政府機関の推薦状並びに自ら記入した調査票及び誓約書を平成14年11月30日までに提出させ、書面審査の上、国際協力課長(当時)が平成14年12月に現地で面接を行い、選考を行いました。
 その結果、平成15年3月にベトナムから1名、平成15年7月にミャンマー、カンボジアから各1名を招聘することとなりました。
 本研修は、研修員が決定してから、研修員の要望に基づき、独自のカリキュラムを作成して研修を実施しますが、今回は試行と言うこともあり、カリキュラム案が出来てから、現地にて研修員に対しカリキュラムの説明を行い、研修員の要望との調整を行ってから研修を実施しました。
 海外運輸協力協会では、本事業の実施を国土交通省より受託し、実施いたしました。
 
1 ベトナムコース(平成15年3月1日〜3月27日実施)
 平成14年度事業としてベトナムより研修員1名(チャン・バオ・ゴク氏)を招聘しました。研修員は海事関係者であったので、ベトナム/海事分野コースを設定、実施しました。
 指導項目は、研修員本人の要望を踏まえ、海事行政、外航海運、内航海運、船隊整備・近代化、造船、港湾、船員制度、海上保安行政などについて講義を行いました。施設見学としては、尾道造船所、今治港、海技大学校、東京商船大学、東京湾海上交通センターを見学し、更に三原・今治間の内航フェリーに乗船しました。
 4週間に盛り沢山の講義と見学を行うかなり内容の濃い研修となりましたが、研修員は非常に精力的に研修を行い、講義においては積極的に質問を行い、講義内容の理解に努めていました。時には講師に自国の現状を説明し、日本との違いの説明を具体的に求めるなど、より深い理解に努めていました。見学においても疲れも見せず熱心に見学すると共に、多くの質問を行い、見学を有効に活用していました。
 研修終了時に、国土交通省に対して報告書を提出するとともに、報告会を開催して研修成果を発表し、更に評価会を行って本研修に対する評価を行いました。
 
2 ミャンマーコース(平成15年6月30日〜7月27日実施)
 平成15年度事業として、ミャンマーとカンボジアから研修員を各1名招聘しました。ミャンマーからの研修員(ウ・ボ・ソ氏)は港湾公社の職員ですが、研修後運輸省へ異動し水運全般を担当するということから、港湾、水運を中心として研修指導項目を設定しました。更にミャンマーにとって必要性が高いと研修員から要望のあった人材育成、鉄道の列車制御についても講義を追加設定しました。
 施設見学としては、今治造船所、今治港、海技大学校、東京湾海上交通センターを見学し、更に三原・今治間の内航フェリーに乗船しました。
 平成14年度と同様に、報告書の提出、報告会、評価会を実施しました。
 
3 カンボジアコース(平成15年6月30日〜7月20日実施)
 カンボジアからの研修員(プン・カトリ氏)の日程は、開始日はミャンマーと同じに設定しましたが、カンボジア国内の事情により研修期間はミャンマーより1週間短く設定しました。
 研修員は公共事業・運輸省で内航水運を担当しているということから、水運、港湾を中心として研修指導項目を設定し、更にカンボジアにとって必要性が高いと研修員から要望のあった複合貨物輸送について講義を追加設定しました。
 施設見学としては、研修員の担当業務にもっとも密接な関係のある海上保安庁海洋情報部を見学しました。
 他の2コースと同様に、報告書の提出、報告会、評価会を実施しました。
 
 本研修事業の試行は、国土交通省を始め関係局、関係各所のご協力により成功裏に終了しました。今後の本事業の推進については、国土交通省国際業務課において試行結果を評価した上で検討を行うことになっております。
 
ミャンマー、カンボジア研修員の講義風景
 
ベトナム研修員の見学風景
 
カンボジア研修員(プン・カトリ氏)の報告風景
 
中本審議官を表敬するベトナム研修員(チャン・バオ・ゴク氏)







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