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5. 海外調査ニュース
●情報収集事業
調査団名:アジア・大洋州A班
対象国:ミャンマー連邦
調査分野:鉄道・道路
調査期間(日数):14.6.10〜7.20(41)
 
【調査の概要】
 
背景
 ミャンマー連邦は1988年に軍事政権が成立し、ほとんどの国は同国への経済援助を停止した。わが国の援助に関しても一部を除いて実質上停止され、現在は無償資金協力で保健医療や水供給分野及び教育分野、技術協力においてはBHN(Basic Human Needs)や民主化、経済開放化等に資する協力が中心である。こうした中、インフラストラクチャーの整備には未だ援助実績はない。
 
ミャンマー連邦の鉄道網
 
1)鉄道分野
 2002年6月現在、4,746kmの路線延長を持つ同国の国鉄の輸送量は旅客で4,446百万人・キロ、貨物で1,207百万トン・キロあり、それぞれの全輸送モードに対する割合は高い。ミャンマー鉄道は職員の努力や真摯な業務遂行並びに車両への限定的な投資により増加する旅客・貨物を輸送してきた。しかし、長期にわたる近代技術からの隔離及び慢性的な資金不足により施設、設備の保守・更新が出来ず深刻な状況に直面している。
 
道路橋梁位置図
 
2)道路分野
 同国の道路網延長は28,598km(17,874マイル)あり、舗装率は約45%である。舗装道路以外の道路は砕石、砂利、土により造られているが雨季には車での交通が困難となる箇所も多い。本調査対象地域のエーヤワディー管区はミャンマーの食糧庫であり、米、魚類、野菜等多くの食糧を首都ヤンゴンや地方都市へ輸送している。しかし、大変重要であるこの地域はイラワジ川の河口に位置しているため、橋梁が多く存在するという難点があり、その多くは現在の車両荷重に耐えうる使用にはなっておらず補強・架替えを必要としている。
 
現況、問題点
1)鉄道分野
◆鉄道施設、設備の老朽化の一層の進行、資金不足に起因する保守不良により事故・故障が多く、列車遅れも日常化している。
◆鉄道の特性として本来持つ輸送の安全、定時、高速、快適性という観点からは程遠い運転状況で、何とか安全に列車運転を行える限界に達しつつあり、輸送量の減少を招きつつある。
◆現在の状態が続けば、鉄道が経済発展の隘路となることが予測されるが、それを防ぐには速やかな対策の実施が望まれる。
2)道路分野
◆エーヤワディー管区の主要幹線道路(ヤンゴン〜パテェイン)に架かる長スパン橋梁はスイス、中国の援助により修復されている。
◆対象とする橋梁は、床版の欠落、部材の腐食、鋼材の過度のたわみ、橋台部の土砂崩壊が見られ、大変危険な状態となっており、雨季には落橋する恐れもある。
◆これらの橋梁は早期の架替え工事の必要があるが予算が不足しているため、小規模な修復しか出来ずにいる。
 
崩壊する橋脚(鉄道)
 
Nyaung Chaung橋梁(木製+Bailey+木製)
 
水没する桁、軌道嵩上げが必要
 
Nyaung Chaung橋梁(木製+Bailey+木製)







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