日本財団 図書館


1. セミナーの概要
 
 ハノイ、ホーチミン両市における市民の日常の交通手段は、殆どモーターバイクである。公共交通としてはバスが運行されているものの、交通分担率は6%以下と低い状況にある。今後、市域の拡大による交通量の加速度的な急増と、モーターバイクから自家用車への転換が進むことで、深刻な交通渋滞や交通公害が懸念されるため、公共交通機関の整備は緊要な課題となっている。
 
 ハノイの都市交通マスタープランでは、2020 年には公共交通の分担比率が10%程度となることが見込まれている。こうした都市交通の現状と展望に鑑み、当面の課題としては、公共交通の振興を図ることが重要である。
 
 このような背景を受けて、JTCA(社団法人海外運輸協力協会)では自主事業により平成11年度にハノイ、12年度にはホーチミンにおいてセミナーを開催することにより、当該都市における公共交通整備の促進に協力してきた。
 
 更に、ヴィエトナム国の要請により2002年8月には国際協力事業団(JICA)によるホーチミン市都市交通調査が開始されたが、ハノイについては調査の採択がいまだになされていない。ハノイにおいては、公共交通機関の導入が緊急かつ重要な課題の一つになっており、最近ではその第一歩として、新規バスの購入等によるバス事業の拡充等が実施されたが、依然として総合的な観点からの公共交通機関の整備が行われていない状況にある。
 
 このため、JICAによるハノイ都市交通調査が採択されて調査が実施されることにより、総合的な観点からの公共交通機関の整備・促進を図ることを目的として、今年度ハノイにおいて日越の関係者を集めた都市公共交通開発セミナーを開催し、相互のコンセンサスを図ることとした。
 
 セミナーでは、我が国を始めとする各国の都市公共交通整備の経験と実情を元に、ハノイにおける都市公共交通整備の方向性の提示を目的として実施され、日本側からは、他国における都市公共交通の定着と発展の実例について、また、ベトナム政府からは、現在までに進められてきた都市交通の改善方策や現状の問題点などの発表が行われた。
 
平成15年2月25日
 
ハノイメリアホテル
 
日本人講師:東京大学工学部土木工学科交通研究室 教授 家田 仁
調査団:株式会社アルメック 代表取締役 岩田鎮夫
 
日時:平成15年(2003年)2月25日(火)08:30-16:00
会場:メリアハノイホテル(Melia Hanoi Hotel)
プログラム:
0800 受付
0830 開会式
・開会 バオ運輸開発戦略研究所所長
・開会挨拶 ティエン ヴィエトナム交通運輸省次官
・ご挨拶 北野充 日本大使館公使
0900 第1部:基調講演
「都市公共交通システムの整備方法」
講師:家田 仁 東京大学教授 
質疑応答
1000 休憩
1030 第2部:「都市交通の現状と問題」報告・発表
・ハノイ市交通公共事業局ズン次長「ハノイ都市交通の現状及び2002年ハノイ市のバス輸送」
・運輸開発戦略研究所南支所アイン所長「ホーチミン市の都市交通問題」
・大津光孝JICA専門家「問題と優先的解決策」
1200 昼食
1300 第3部「将来の都市公共交通開発の方向」パネルディスカッション
【プレゼンター】
・ハノイ市都市計画・建築局チュアン次長「2020年に向けたハノイ市都市開発計画と交通システム」
・岩田鎮夫アルメック代表取締役「公共交通開発へのアプローチ」
【パネリスト】
・家田教授
・アイン所長
・大津専門家
【司会】
・運輸開発戦略研究所フィン副所長
1530 総括 フィン副所長
1600 閉会
1630 カクテルレセプション







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION