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(7)システム操作・サンプル採集方法等
 
 
 各港湾における船上での基本的な作業手順を以下に示す。図II.2.2.3-7には、船上作業等の基本手順を示した。
(1)各港湾において、一等航海士より当日のバラスト作業について説明を受け、実験内容の最終確認を行った。特に、対象タンクのバラスティング状況と予定を確認して実験内容を決定した。
(2)当該タンクのバラスト作業の開始前に本船側からの連絡を受け、本船乗組員1名とともに、処理装置運転準備を開始した。本船乗組員の監視の下に調査員はフレキシブルホースの接続及びバルブ操作を行った。
(3)採水作業によって生じる排水は、持ち運び式水中ポンプを用いてバラストタンクのエアーパイプに接続し、常時可能な状態とした。
(4)装置の運転準備完了後、乗組員経由で当直航海士からの処理装置の起動許可を得た。 当直航海士よりバラスト作業の開始及びFire-Lineへの通水開始の連絡と、装置の起動許可を受けて調査員は装置を起動した。 乗組員と共同して装置と周辺配管等を点検し、異常の有無を当直航海士に報告して実験を開始した。
(5)採水は(1)で決定した実験内容に沿って、当該採水口(処理前採水口と処理後採水口のどちらか、あるいは両方、写真II.2.2.3-1参照)から、経時的に、初期、中期、末期の3期間で採水を行った。プランクトン計数用には各々40Lずつ未固定の状態で採取した(合計120L、写真II.2.2.3-3から-4参照)。また、バクテリア用試料、水質項目等の観測と分析のため、各々2Lの採水を追加した。なお、東京→ロサンゼルス間では、バラスト水交換の効果判定用試料として、排水時と再漲水時それぞれ3期間、20Lずつ採水し、ホルマリン固定(最終濃度2%)した(乗組員依頼作業)。
(6)採取した各試料は、海水中のコレラ菌等のバクテリア用試料を100ml分取し、プランクトン計数用試料は、開口径10μm及び80μmのナイロンメッシュを用いて1L以下に濃縮(写真II.2.2.3-5及び-6参照)し、各試料を冷暗保存した。水質計測に関しては、水質メータ及び吸光光度計(写真II.2.2.3-7)を用いて、現場で測定するとともに、TOC(100mlガラスビン)及び粒子分析(1Lポリ容器)用試料は冷暗保存した。なお、洋上バラスト水交換の効果判定用の固定試料は、船内に保管後、東京寄港時に調査員が回収した。
(7)処理装置接続中は、装置の運転の如何を問わず、調査員及び本船乗組員各1名が必ず装置付近に待機し、本船より処理装置の停止の指示があれば直ちに停止した。
(8)採水終了後は、当直航海士の許可を受けて装置を停止した。
(9)配管等の復旧作業の完了後に、周辺の清掃を行い乗組員の点検を受けた。作業終了後、当直航海士と次回実験等の打合せを行い、許可を得て下船した。
 
図II.2.2.3-7 船上作業等の基本手順
注)太平洋上におけるバラスト水交換時の採水は、乗組員に依頼した。
 
 
写真II.2.2.3-1 実験システムと採水口
 
 
写真II.2.2.3-2 実験システムと採水設備
 
 
写真II.2.2.3-3 採水風景
 
 
写真II.2.2.3-4 試料の40L定量
 
 
写真II.2.2.3-5
ナイロンメッシュを用いたろ過・濃縮風景
(開口経10μm及び80μmナイロンメッシュ使用)
 
 
写真II.2.2.3-6
ナイロンメッシュから1Lポリビンへの収納風景
 
 
写真II.2.2.3-7
水質測定用の水質メータと吸光光度計







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