(2)船舶の諸元
マッチングに用いる船舶の分類は、(1)タンカー、(2)貨物船、(3)曳航船、(4)押船、(5)水上バス、(6)屋形船、(7)クルーザー、(8)モーターボートの8分類とした。
各船舶の諸元は、全長(L)、全幅(B)、満載喫水(d)の3種類を算出した。それぞれの算出方法は、原則として船舶諸元回帰式*1を用いることとしたが、船舶諸元回帰式がない船種については、既存資料のデータから推定した。ここで用いた既存資料は、「災害時緊急輸送における河川航行船の利用可能性調査報告書 平成14年3月 関東運輸局船舶部 関東地方整備局河川部」である。なお、同報告書には291隻の船舶の諸元(船名入り)が記載されている。
各船舶における諸元の設定方法は、表−5.1.2に示すとおりである。
*1: 貨物船、タンカー、コンテナ船は「港湾技研資料 No.910 Sept.1998統計解析等による対象船舶の諸元」による回帰式を用いた。
プレジャーボートは、「プレジャーボート用浮桟橋設計マニュアル 平成10年4月」によるデータより回帰式を作成した。
表−5.1.2 各船舶における諸元の設定方法
船舶の分類 |
船舶諸元の設定方法 |
(1)タンカー |
総トン数を設定し、船舶諸元回帰式により算出 |
(2)貨物船 |
総トン数を設定し、船舶諸元回帰式により算出 |
(3)曳航船 |
「災害時緊急輸送における河川航行船の利用可能性調査報告書」の平均値 |
(4)押船 |
「災害時緊急輸送における河川航行船の利用可能性調査報告書」の平均値 |
(5)水上バス |
「災害時緊急輸送における河川航行船の利用可能性調査報告書」の平均値 |
(6)屋形船 |
「災害時緊急輸送における河川航行船の利用可能性調査報告書」の平均値 |
(7)クルーザー |
総トン数を設定し、船舶諸元回帰式により算出 |
(8)モーターボート |
総トン数を設定し、船舶諸元回帰式により算出 |
|
船舶諸元回帰式とは、船舶の総トン数から全長(L)、全幅(B)、満載喫水(d)を算出できるものであり、各船種における船舶諸元回帰式は表−5.1.3、図−5.1.4に示すとおりである。
表−5.1.3 船舶諸元を算出するための回帰式
船種 |
全長[m] |
全幅[m] |
満載喫水[m] |
貨物船 |
Y=7.944×0.300 |
Y=1.619×0.268 |
Y=1.619×0.268 |
タンカー |
Y=6.637×0.315 |
Y=1.140×0.310 |
Y=1.140×0.310 |
コンテナ船 |
Y=3.542×0.394 |
Y=1.762×0.272 |
Y=1.762×0.272 |
プレジャーボート |
クルーザーヨット(8t未満) |
Y=5.510×0.280 |
Y=2.411×0.208 |
Y=1.326×0.196 |
クルーザーヨット(8t以上) |
Y=4.047×0.445 |
Y=1.611×0.406 |
Y=0.819×0.429 |
モーターボート(10t未満) |
Y=5.670×0.322 |
Y=2.330×0.227 |
Y=0.504×0.339 |
モーターボート(10t以上) |
Y=4.318×0.462 |
Y=2.137×0.274 |
Y=0.851×0.106 |
|
|
注) |
「Y」が算出する全長、全幅、満載喫水 「X」が総トン数 |
図−5.1.4 船種別諸元を算出するための回帰式
(拡大画面:78KB)
|
|
船舶諸元回帰式を用いる場合、総トン数の設定により、船舶諸元が変化する。そこで、各船種における総トン数については、以下の方法により設定した。
タンカー:「災害時緊急輸送における河川航行船の利用可能性調査報告書 平成14年3月」における、油槽船の総トン数の平均値
貨物船:「災害時緊急輸送における河川航行船の利用可能性調査報告書 平成14年3月」における、鋼材運搬船の総トン数の平均値
クルーザー:Y社クルーザーボートカタログの総トン数の平均値
モーターボート:Y社ボートシリーズカタログの総トン数の平均値
以上の設定方法により、船舶の諸元を整理すると、表−5.1.4に示すとおりとなる。
表−5.1.4 検討に用いる船舶の諸元
船舶の分類 |
諸元の設定方法 |
総トン数の設定方法 |
総トン数 |
全長 |
全幅 |
満載喫水 |
(1)タンカー |
船舶諸元回帰式 |
H14報告書の油槽船の平均値 |
190.5t |
34.7m |
6.4m |
2.1m |
(2)貨物船 |
船舶諸元回帰式 |
H14報告書の鋼材運搬船の平均値 |
171.8t |
37.2m |
5.8m |
2.3m |
(3)曳航船 |
H14報告書データ |
H14報告書データ |
87.8t |
14.2m |
6.3m |
1.5m |
(4)押船 |
H14報告書データ |
H14報告書データ |
105.0t |
19.6m |
6.2m |
1.3m |
(5)水上バス |
H14報告書データ |
H14報告書データ |
93.9t |
26.5m |
6.6m |
1.3m |
(6)屋形船 |
H14報告書データ |
H14報告書データ |
22.2t |
26.5m |
4.3m |
0.9m |
(7)クルーザー |
船舶諸元回帰式 |
カタログ値 |
9.4t |
12.2m |
4.0m |
2.1m |
(8)モーターボート |
船舶諸元回帰式 |
カタログ値 |
1.3t |
5.9m |
2.5m |
0.6m |
|
|
※「H14報告書」:災害時災害時緊急輸送における河川航行船の利用可能性調査報告書 平成14年3月 |
(3)対象施設の諸元
マッチングの対象施設は、リバーステーション・船着場及び荒川と隅田川をつなぐ2つの水門とした。「2.」で整理した「係留可能な施設」については、災害時の利用が可能とは限らないことから、本検討の対象から除外した。各施設の諸元は、図面及び現地の状況等から設定した。マッチングの対象とする施設は表−5.1.5に示すとおりである。同表における水深は、荒川については「河川航行情報図(試行版)」に記載されている水深とし、隅田川は「2.」で整理した水深とした。
表−5.1.5 マッチングの対象とした施設の諸元
河川名称 |
船着場 |
施設の分類 |
タイプ |
右岸
or
左岸 |
桟橋、岸壁長さ
[m] |
水深
[m] |
荒川 |
新砂リバーステーション |
リバーステーション |
岸壁 |
右岸 |
77 |
4.2 |
荒川 |
臨海リバーステーション(計画中) |
リバーステーション |
計画中のため、詳細データ無し |
0.8 |
荒川 |
小松川リバーステーション |
リバーステーション |
岸壁 |
右岸 |
77 |
1.6 |
荒川 |
平井水上ステーション |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
15 |
1.7 |
荒川 |
山田屋 |
船着場 |
|
|
30 |
0.4 |
荒川 |
堀切リバーステーション |
リバーステーション |
浮き桟橋 |
左岸 |
40 |
0.4 |
荒川 |
大月屋・濱田屋 |
船着場 |
|
|
40 |
1.9 |
荒川 |
足立リバーステーション(計画中) |
リバーステーション |
計画中のため、詳細データ無し |
0.6 |
荒川 |
千住リバーステーション(計画中) |
リバーステーション |
計画中のため、詳細データ無し |
0.1 |
荒川 |
扇リバーステーション(計画中) |
リバーステーション |
計画中のため、詳細データ無し |
0.2 |
荒川 |
緊急船舶着艇場 |
船着場 |
岸壁 |
右岸 |
100 |
0.3 |
荒川 |
新田リバーステーション |
リバーステーション |
岸壁 |
右岸 |
77 |
2.3 |
荒川 |
森口ボート |
船着場 |
岸壁 |
左岸 |
100 |
3.9 |
荒川 |
岩淵リバーステーション |
リバーステーション |
浮き桟橋 |
右岸 |
30 |
3.1 |
荒川 |
川口リバーステーション |
リバーステーション |
岸壁 |
左岸 |
105.25 |
2.8 |
荒川 |
新河岸リバーステーション(計画中) |
リバーステーション |
計画中のため、詳細データ無し |
0.5 |
荒川 |
戸田リバーステーション |
リバーステーション |
浮き桟橋 |
左岸 |
40 |
0.8 |
荒川 |
ウルトラマリーナ |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
45 |
4.7 |
荒川 |
荒川ボートクラブ |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
45 |
3.1 |
荒川 |
埼玉南部漁業基地 |
船着場 |
岸壁 |
左岸 |
150 |
3.1 |
荒川 |
モービル石油桟橋 |
船着場 |
桟橋 |
右岸 |
150 |
3.9 |
荒川 |
ジャパンエナジー桟橋 |
船着場 |
桟橋 |
右岸 |
50 |
6.1 |
荒川 |
秋ヶ瀬マリーナ |
船着場 |
岸壁 |
右岸 |
50 |
2.1 |
荒川 |
秋ヶ瀬リバーステーション |
リバーステーション |
岸壁 |
右岸 |
65.8 |
0.2 |
隅田川 |
航海訓練所桟橋 |
船着場 |
浮き桟橋 |
左岸 |
30 |
4.9 |
隅田川 |
商船大桟橋 |
船着場 |
浮き桟橋 |
左岸 |
30 |
4.8 |
隅田川 |
臨港消防署 |
船着場 |
浮き桟橋 |
左岸 |
30 |
4.7 |
隅田川 |
消防庁泡積出桟橋 |
船着場 |
岸壁 |
左岸 |
30 |
4.4 |
隅田川 |
明石町防災船着場 |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
40 |
5.0 |
隅田川 |
大川回漕 |
船着場 |
岸壁 |
右岸 |
45 |
6.0 |
隅田川 |
大和田石油 |
船着場 |
岸壁 |
右岸 |
70 |
6.2 |
隅田川 |
水辺公社桟橋(下流側) |
船着場 |
岸壁 |
右岸 |
10 |
6.0 |
隅田川 |
新川船着場 |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
25 |
5.8 |
|
|
※ |
荒川の水深は、「河川航行情報図(試行版)荒川(埼玉・東京)国土交通省荒川下流河川事務所」に記載されている船着場等の前面の水深である。 |
※ |
隅田川の水深は、本調査研究における「2.」で整理した船着場近傍の河川中心の水深である。 |
※ |
上流側を背にして、左側が左岸、右側が右岸である。 |
表−5.1.5(続)マッチングの対象とした施設の諸元
河川名称 |
船着場 |
施設の分類 |
タイプ |
右岸 or 左岸 |
桟橋、岸壁長さ [m] |
水深 [m] |
隅田川 |
水辺公社桟橋(上流側) |
船着場 |
岸壁 |
右岸 |
40 |
4.7 |
隅田川 |
箱崎町防災船着場 |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
10 |
5.2 |
隅田川 |
日本橋消防署 |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
40 |
6.0 |
隅田川 |
浜町船着場 |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
30 |
4.1 |
隅田川 |
両国船着場 |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
30 |
4.7 |
隅田川 |
つり新 |
船着場 |
岸壁 |
左岸 |
30 |
3.7 |
隅田川 |
つり清 |
船着場 |
岸壁 |
右岸 |
30 |
3.9 |
隅田川 |
浅草船着場 |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
30 |
4.8 |
隅田川 |
墨田区防災台船 |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
30 |
4.8 |
隅田川 |
浜野屋マリーナ |
船着場 |
岸壁 |
左岸 |
90 |
3.9 |
隅田川 |
桜橋船着場 |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
30 |
4.2 |
隅田川 |
横浜倉庫 |
船着場 |
岸壁 |
左岸 |
100 |
4.0 |
隅田川 |
三四物産桟橋 |
船着場 |
岸壁 |
左岸 |
40 |
4.4 |
隅田川 |
荒川区防災台船 |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
30 |
4.2 |
隅田川 |
伊沢マリーナ |
船着場 |
岸壁 |
左岸 |
80 |
5.5 |
隅田川 |
千住船着場 |
船着場 |
浮き桟橋 |
左岸 |
30 |
4.4 |
隅田川 |
建設桟橋 |
船着場 |
岸壁 |
左岸 |
200 |
5.1 |
隅田川 |
つり豊 |
船着場 |
岸壁 |
左岸 |
10 |
5.2 |
隅田川 |
入船 |
船着場 |
岸壁 |
右岸 |
100 |
4.4 |
隅田川 |
清掃局桟橋 |
船着場 |
岸壁 |
右岸 |
50 |
5.3 |
隅田川 |
橋本産業桟橋 |
船着場 |
岸壁 |
右岸 |
30 |
4.3 |
隅田川 |
渡辺燃料桟橋 |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
30 |
3.2 |
隅田川 |
山光興産荒川輸送所 |
船着場 |
岸壁 |
左岸 |
30 |
3.3 |
隅田川 |
ヤマサ総業油槽桟橋 |
船着場 |
岸壁 |
左岸 |
80 |
2.7 |
隅田川 |
宇部セメント桟橋 |
船着場 |
岸壁 |
左岸 |
5 |
3.0 |
隅田川 |
東尾久船着場 |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
30 |
3.3 |
隅田川 |
東京堀船清掃所 |
船着場 |
岸壁 |
右岸 |
80 |
3.3 |
隅田川 |
ダイヤ通商桟橋 |
船着場 |
岸壁 |
右岸 |
100 |
3.3 |
隅田川 |
清掃局桟橋 |
船着場 |
左岸 |
右岸 |
30 |
4.7 |
隅田川 |
神谷橋船着場 |
船着場 |
浮き桟橋 |
右岸 |
30 |
3.3 |
隅田川 |
日本油脂王子工場 |
船着場 |
浮き桟橋 |
左岸 |
10 |
3.3 |
|
|
※ |
荒川の水深は、「河川航行情報図(試行版)荒川(埼玉・東京)国土交通省荒川下流河川事務所」に記載されている船着場等の前面の水深である。 |
※ |
隅田川の水深は、本調査研究における「2.」で整理した船着場近傍の河川中心の水深である。 |
※ |
上流側を背にして、左側が左岸、右側が右岸である。 |
|