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知的障害者の居住環境の確保のあり方に関する研究

 事業名 知的障害者の居住環境の確保のあり方に関する研究
 団体名 地方自治研究機構 注目度注目度5


第7章 知的障害者の居住環境の問題点・課題
 第1〜6章までの現状を整理し、問題点及び課題を抽出すると、次のとおりとなる。
1 知的障害者を取り巻く環境について
(1)社会的動向
 国が平成14年に策定した障害者基本計画(いわゆる新障害者プラン)では、その目標として、障害者も社会のあらゆる活動に参加することを可能とする共生社会の実現が掲げられ、障害者の生活の場を施設から地域へ移行することや、大規模定員施設から小規模化、個室化に配慮した施設づくりなど、これまでの障害者施設のあり方に大きな見直しを行っている。
 また、宮城県をはじめ地方公共団体においても、障害者自身の生活意向や社会的自立に配慮して、大規模な入所施設ではなく、障害者が地域社会で障害を持たない人と共生できるノーマライゼーション型のまちづくりへの転換が図られてきている。
 千葉県においても、官民の連携により、国のグループホーム制度にさきがけて、生活ホーム制度を創設し、知的障害者の地域生活を可能にするための生活自立、社会参加にいち早く取り組んできた。
 しかし、千葉県内の多くの知的障害者は、父母などの家族の支援・援助の下で在宅生活を送っており、障害が重度化した場合や家族の支援が困難になった場合に、住み慣れた家庭や地域社会を離れて、知的障害者入所施設等に入所し、長期にわたって生活の場とすることが多かった。知的障害者の生活意向や今後の社会的動向等を考えると、知的障害者入所施設等の入所者の生活の場を地域社会に移行していくことなどが必要となることから、地域社会において、在宅や知的障害者入所施設以外の新たな知的障害者のための生活の場を創出していくことが社会的課題となることが考えられる。
 
問題点・課題
○国の障害者計画では、共生社会の実現が掲げられ、障害者もあらゆる社会活動に参加することが目標とされており、生活の場を地域社会に移行することが求められている
○個人の尊厳の確保、ノーマライゼーション社会の進展により、地域社会における知的障害者の居住空間、居住環境の整備のための社会的ニーズが増大している
 
(2)知的障害者の生活場所
 現在、知的障害者が生活の場とすることができる千葉県内の住宅・施設としては、持家、アパート・マンション等の民間賃貸住宅、公営・公団・公社の借家、知的障害者入所施設(知的障害者更生施設、知的障害者授産施設)、知的障害児施設等の入所施設、知的障害者通勤寮、知的障害者福祉ホーム、グループホーム、生活ホームがある。
 統計調査や在宅者へのアンケート調査結果等から推計すると、千葉県内の在宅の知的障害者約1万2,600人の生活場所は、持家が約9,700人、民間賃貸住宅が約1,300人、公営・公団・公社の賃貸住宅が約500人、その他(寮等)が約500人、生活ホーム・グループホームが約500人、知的障害者通勤寮、知的障害者福祉ホームが約60人となっている。このうち、持家、賃貸住宅で生活する在宅者のほとんどは、父母などの家族と同居しており、知的障害者が一人暮らしや夫婦で暮らしているケースは極めて少ない状況にある。
 また、知的障害者入所施設、知的障害児施設に入所して生活する知的障害者は約3,700人となっている。施設入所者は、社会的自立に向けた指導・訓練を受けているが、その多くは、家庭や地域社会に復帰することなく、長期の入居生活を続けている現状にある。
 これらをみると、知的障害者の生活場所としては、そのほとんどは親などの家族との同居生活を継続するか、知的障害者入所施設・知的障害児施設へ入所するかの、2つの選択肢しかない状況にある。
 
問題点・課題
○知的障害者の97%が、家族と同居する自宅又は知的障害者入所施設、知的障害児施設を生活の場としている
○家族と同居生活又は施設入所以外の人は3%で、そのほとんどが生活ホーム、グループホームの居住者となっている
 
図表7-1 知的障害者の生活場所
2 在宅の知的障害者について
(1)家庭環境
 現在、千葉県内で在宅生活をしている知的障害者(以下、「在宅者」という)の家族構成をみると、父母、兄弟姉妹と同居する核家族世帯が大半を占めており、父母が、在宅者の家庭生活、社会生活面の自立支援・援助を行っているケースが一般的である。
 千葉県内の在宅者の平均年齢は10代、20代を中心とした青年期の人が多く、父母の平均年齢も50代と現役世代が中心となっている。しかし、在宅者の3人に1人が、既に30代以上の中高年者で占められており、これらの在宅者の世帯では、父母等の親族が退職・高齢化・死亡などの理由から、十分な自立支援・援助を継続することが困難となっているケースもみられる。また、在宅者や家族の今後の生活意向をみると、現役世代である父母についても、将来的・長期的な自立支援・援助の継続に十分な見通しが確保できていない世帯も多くなっている。
 
問題点・課題
○在宅の知的障害者の支援・援助は、主として父母を中心とした家族によって担われており、家族以外の支援・援助者は確保が困難な家庭が多い
○父母などの家族が退職・高齢化・死亡などの場合に、将来的な支援・援助の継続性に不安を有したり、具体的な展望をもてない在宅者や家族が多い
 
(2)住宅環境
 在宅者の多くは、戸建の持家住宅で生活しており、賃貸住宅、アパート・マンション等の集合住宅での生活経験が乏しい在宅者が多くいることが考えられる。このため、賃貸住宅等の物件探しや契約行為の履行(契約締結・契約内容の遵守等)、近隣社会・住民との良好な関係維持など、知的障害者の自立にとって、新たな問題が発生する可能性を有している。
 また、在宅者の半数以上が住宅内に専用の居室を確保しており、専用居室にはテレビ、ビデオ・ステレオ・ラジカセなどAV機器、エアコンなどを設置している家庭が多い。在宅者の生活ホーム・グループホームに対する意向をみると、プライバシーの確保された居室や良質な居住空間など、家庭と同質の生活空間を求める人が多くなっている。
 在宅者の居住場所をみると、千葉市、船橋市をはじめとする都市部に居住している人が多く、生活上の利便性が高い立地環境の在宅者の世帯が多い。生活ホーム・グループホームの立地場所の意向としては、自宅から近い場所(同一の市町村内など)に整備されることが「とても重要」と考える世帯も半数以上を占めている。
 
問題点・課題
○集合住宅や賃貸住宅の居住経験が乏しい在宅者が多く、在宅者自身が入居可能な不動産物件、施設等を検索することは困難。また、自立後も、不動産の賃貸借契約や良好な近隣関係の確保などの問題がある
○在宅者の半数以上が、テレビ・エアコンが完備された個室での居住空間を確保しており、家庭から自立した場合でも同等・同質の居住空間を希望する人が多い
○都市的な居住環境で生活する知的障害者が多く、また、生活ホーム、グループホームに対しては、自宅からの近接性を希望する人が多い
 
(3)生活・社会環境(1次活動・2次活動)
 日常生活のうち、睡眠、食事など一次活動に該当する基本的な活動は、在宅者の半数以上が自立して行うことができる。ただし、食事の支度(調理等)など、ほとんどの人が自立して行うことができない活動もある。
 仕事や家事などの二次活動に該当する活動は、一次活動に比べ、自立度が低くなり、特に電話、読み書き、金銭・物品管理、健康管理などは、自立度が低くなる。生きがい型就労や社会参加などの三次活動については、自立してできる人は2割程度にまで減少する。
 就業先についても、一般就労は全体の5%程度で、年金以外の就労による所得は極めて低額・不安定な状態にある。一般就労以外の人は、通所型の知的障害者更生施設、授産施設、作業所などに日中は通所している。また、通所型の知的障害者援護施設等に長期にわたって通所している人は、施設職員や他の通所者との信頼関係・交友関係が形成され、貴重な社会資源となっている場合が多い。
 
問題点・課題
○調理などの食事の支度は、生活の自立度が低い在宅者が多い
○二次活動、三次活動は、一次活動と比較して自立度の低い在宅者が多い
○一般の事業所に就労している人は少なく、社会的自立に必要な収入・所得が十分に確保できない人が多い
○自宅から通所している知的障害者援護施設等で形成されている人間関係は本人や家族の貴重な資源となっている
 
(4)年金・収入
 在宅の知的障害者のほとんどは、障害基礎年金を受給しており、2級の受給者の場合でみると、月額6万6,417円の給付となっている。また、重度の知的障害者を対象とした特別障害者手当(月額26,620円)等の各種福祉手当の支給も行われており、市町村で独自の福祉手当制度を設けているところもある。
 年金・手当以外の一般就労による収入や知的障害者授産施設等における作業工賃としての収入は、1万円未満の人が8割以上を占めており、年金以外の在宅者の経済的基盤、経済的自立度は極めて脆弱な状況にある。
 このため、年金、福祉手当、就業等による収入の合計は、10万円未満の人が多くなっている。
 
問題点・課題
○知的障害者の収入は、年金・福祉手当が中心で、それ以外の収入は1万円未満の状況にある
○総収入額については、月額10万円未満の人が多い







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更新日: 2020年8月8日

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