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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1997/06/12 読売新聞朝刊
[動き出した有事協力](下)与野党 深い議論回避の恐れも(連載)
 
 十日朝、国会内で開かれた月例経済報告会議で、自民党の山崎政調会長は、両隣の社民党の伊藤幹事長、及川政審会長にあいさつしながら、二人の表情をのぞき込んだ。山崎氏は「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)見直し問題をめぐり、「危機管理法案(ガイドライン関係法案)」構想を明らかにしたため、反応が気になっていたからだ。
 しかし、伊藤氏らは別の話題を持ち出し、山崎氏は肩透かしを食った。
 橋本政権を支える自民、社民、新党さきがけの三党体制に大きな影響を与えるとされるガイドライン見直し問題だが、今のところ、緊張感は伝わってこない。十一日午後、ラスト・デミング駐日米臨時代理大使が衆院議員会館に社民党の土井党首を訪ねたが、ガイドラインの中間報告の直後にもかかわらず、次のような素っ気ないやり取りが交わされただけだった。
 デミング氏「社民党はガイドラインの勉強会を開くのですか」
 土井氏「外交防衛部会で検討します」
 社民党には党の方針をすぐには出さず、議論を先送りしたい思惑もうかがえる。三十日からの与党三党の訪米団派遣に応じたのもそうした狙いがあるとされる。しかし、社民党のこうした慎重姿勢は、自民党との意見の相違を乗り越えることが極めて厳しいという実情を示すものでもある。
 十日の衆院安全保障委員会で、質問に立った自民党の浜田靖一氏は「ガイドラインを実効性あるものにするため、集団的自衛権の解釈を変える所まで踏み込んで考えるのが普通だ」と主張する。九日の自民党国防関係三部会合同会議でも、中間報告自体は了承したが、解釈変更を求める意見も出た。自民党の基本的立場は「集団的自衛権の解釈を緩和することで、幅広く対米支援する考えだ」(閣僚経験者)と受け止められているが、党内の論議はこれからだ。
 さきがけは「集団的自衛権の行使に踏み込まない」としているが、中間報告への反発はほとんどない。
 これに対し、社民党の十日の外交防衛部会は、「有事法制を前提にしたガイドラインの見直しは認められない」との意見が大勢を占めた。また、党内では「臨検」と「機雷掃海」が集団的自衛権に抵触しかねないと指摘する声が多い。
 伊藤幹事長は十一日の記者会見で、「『政府の憲法解釈に従う』などの三党合意事項を守るべきだ。(有事法制の)包括立法など簡単にできるものではない」と強調した。
 こうした自社さ三党内の対応の格差について、山崎氏は「ガイドライン全体について、自社さ三党で完全に一致する必要はない」との考えを示している。
 一方、野党も中間報告を受けて論議に入ったが、整理すべき課題は多い。
 新進党は基本政策構想の中で、国連決議を前提に、対米軍支援だけでなく、自衛隊の多国籍軍参加も可能だとの方針を打ち出している。小沢党首は「個別、集団(的の)どちらであれ、自衛権の拡大(解釈)はいけない」と主張し、自社さ三党をけん制している。
 新ガイドラインをめぐる政府・自民党の方針と、多国籍軍参加容認の新進党の安保政策は、今のところかみ合う余地は少ない。だが、ガイドライン見直しを「安保構造改革」(小沢党首周辺)と位置付ける新進党にとって、対米配慮の点からも反対姿勢を貫くことは取りづらい選択肢だ。
 また、民主党は先にまとめたガイドライン見直しに関する基本方針で、有事法制の必要性を打ち出すと同時に、新進党とともに、新ガイドラインの国会承認を求めている。
 鳩山代表は「米国の言いなりではない安保政策」「常時駐留なき安保」を目指すことで、党の独自性を発揮したい考えだ。与野党各党とも、安保政策自体を深める必要に迫られているが、「保・保連合」か「自社さ連携」かといった政局の主導権争いにガイドライン見直しを利用するようなことになれば、本格的論議の機会が失われる恐れもある。
(政治部 前木理一郎、田中隆之)
 
 
 
 
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