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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2004/01/17 毎日新聞朝刊
[クローズアップ2004]自衛隊イラク派遣 陸自先遣隊出発(その2止)
◇陸自先遣隊、イラクへ出発−−改憲論加速は必至
◇9条との矛盾拡大−−対米軍事協力どこまで
 戦闘状態の継続するイラクへの陸上自衛隊派遣は、戦力の不保持をうたった憲法9条と現実とのかい離が解釈で埋められる限界を超えたことを印象づけ、自民、民主両党で活発化している9条改憲に向けた動きを加速させることは確実だ。実際には米国に背中を押されての安保政策の「転換」だけに、どこまで主体性のある論議を進められるかが重い課題となる。
 「まぎれもない海外派兵ですよ」。対戦車火器や装甲車で武装した陸自部隊の派遣方針が決まった昨年12月、防衛庁幹部はこう語り、イラク派遣を「普通の軍隊」への一歩と位置づけた。このことは従来の国連平和維持活動(PKO)などと異なり、自衛隊の「海外派遣」が「派兵」へ変質し始めたことを意味する。
 9条は海外での武力行使を禁じる、というのが政府の憲法解釈だ。PKOや災害援助を目的とする場合は武力行使目的の「派兵」と切り離し「海外派遣」と表現することがこの10年で定着した。
 戦地イラクに乗り込む今回、政府は「テロリストを相手に武器を使用しても戦闘ではない」との理屈を編み出し、重武装「派兵」を可能とするところまで憲法解釈を拡大。この先に見えるのは自衛隊海外派遣の恒久法制定、9条改憲という道筋だ。
 首相は憲法前文を引用して自衛隊による国際貢献の必要性を強調する一方、9条への言及を意識的に避けている。民主党の菅直人代表が提唱した「国連待機部隊」の創設にしても、国連への協力を9条から切り離す意味では同一線上にあると言え、国際社会への軍事貢献を憲法に盛り込む「9条改憲」の方向性を示唆している。
 ただインド洋、イラクでの多国籍軍支援が「ショー・ザ・フラッグ(旗を見せろ)」「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(地上部隊の派遣を)」という米国からの要請で始まったのも事実。集団的自衛権の行使を認めるかどうかの問題とも絡み、対米軍事協力をどこまで拡大するかが今後の改憲論議の大きな争点になる。
【平田崇浩】
◇荒い説明、進む報道規制
 「鎖国・攘夷(じょうい)か、開国か。幕末も日本の国論は二分したが、鎖国を訴えた人も時代が変わればすべて開国派の先頭に立った」――。
 小泉純一郎首相は16日の自民党大会で、幕末の動乱期を引き合いに出してイラク支援の正当性を強調した。今回の派遣が無事に推移し実績を積めば、結果的には国民の理解は得られるという論法だ。しかし首相官邸が防衛庁に対する報道規制に乗り出すなど「説明」への熱意がむしろ後退する中、こうした引用はやはり手荒な印象だ。
 首相はあいさつで、戦後、国論を二分したテーマとして日米安保条約や国連平和維持活動(PKO)を挙げ、イラク問題も「今、賛否両論に分かれている」と現状を認めた。そのうえで「一国平和主義にとどまるか、国際社会と協力するかだ」と二者択一を求める手法で派遣の意義を強調した。
 首相は先月9日の基本計画の閣議決定の際、憲法前文の国際協調主義を掲げるなどして国民に理解を求める記者会見を行った。しかし、その後も各種世論調査では派遣に慎重論が根強く、特に首相の説明不足を指摘する意見は多い。
 会見後、首相はベストセラー「バカの壁」の帯にある「『話せばわかる』なんて大うそ」の文章を引用して愚痴をこぼすなど、ていねいな「説明」で国民理解を得るには限界があると感じているかのようだ。
 幕末と重ね合わせ派遣を力説したのは、今が大きな転換期であることを強調したものではあろうが、自民議員の一人は「次元が違うすり替え。アジテーター」と苦笑した。
 首相官邸は福田康夫官房長官が主導する形で、防衛庁に対する報道統制色を強めていった。実績さえ示せば国民の理解は後からついてくる――といった首相の割り切りぶりは、情報公開を阻む報道規制への姿勢とも無縁でないだろう。
【人羅格】
 
 
 
 
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