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1995/12/15 毎日新聞朝刊
次期中期防衛力整備計画<要旨>
◇次期中期防衛力整備計画<要旨>
 十四日の安保会議で決まった次期中期防衛力整備計画の要旨は次の通り。
1 計画の方針
 (1)基幹部隊、主要装備等は、合理化・効率化・コンパクト化を推進。
 (2)多様な事態に対して有効に対応し得る機能の充実と防衛力の質的向上に努力。
 (3)事態の推移に円滑に対応し得る適切な弾力性を確保する施策に着手。
 (4)日米安保体制の信頼性の向上を図る各種施策を推進。
 (5)より安定した安全保障環境の構築への貢献のための各種施策を推進。
 (6)防衛力の整備に努力。
2 基幹部隊の見直し等
 (1)陸上自衛隊
 数個の師団を改編。その際、一部の師団は旅団に改編するとともに、改編した師団・旅団の一部は即応性の高い予備自衛官を主体として編成。計画期間末におおむね編成定数十七万二千人、常備定員十六万七千人、即応予備自衛官五千人、常備の充足は十四万七千人。
 (2)海上自衛隊
 護衛艦部隊(地方隊)の一部の護衛隊を廃止。機動的に運用する掃海部隊を集約化。固定翼哨戒機部隊の一部の航空隊を廃止。固定翼哨戒機部隊と陸上回転翼哨戒機部隊のうち各一個航空隊を教育部隊として保有。
 (3)航空自衛隊
 一部の警戒群を警戒隊とするとともに、要撃戦闘機部隊の一個飛行隊を廃止。
 (4)統合幕僚会議の機能の充実等について検討のうえ、必要な措置を実施。
3 主要事業内容
 (1)防空能力
 要撃戦闘機(F15)を近代化のため試改修。引き続き地対空誘導弾(パトリオット)の能力向上を行うとともに、地対空誘導弾(ホーク)改善用装備品を整備。また短距離対空誘導弾改善用装備品等を整備。
 (2)周辺海域の防衛能力と海上交通の安全確保能力
 護衛艦、潜水艦、掃海艇等を建造。引き続き哨戒ヘリコプター(SH60J)を整備。固定翼哨戒機(P3C)を能力向上のための改修。P3Cの後継機に関し検討し必要な措置を実施。
 (3)着上陸侵攻対処能力
 支援戦闘機(F2)を整備し、引き続き地対艦誘導弾(SSM1)を整備。火砲、多連装ロケットシステム、戦車、装甲車等を整備。対戦車ヘリコプター(AH1S)を整備。
 (4)輸送力及び機動力
 引き続き輸送ヘリコプター(CH47)、輸送艦等を整備。輸送機(C1)の後継機に関し検討し必要な措置を実施。空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する検討を行い結論を得、対処する。
 (5)情報・指揮通信能力
  (1)引き続き固定式三次元レーダー装置と移動式警戒監視システムを整備。警戒管制部隊の効率化・合理化を図る。
  (2)高度の情報収集・分析等を総合的に実施し得る体制等の充実を図るため情報組織の見直しを行い、中央情報組織を新編。
  (3)新中央指揮システムを整備。引き続き防衛統合デジタル通信網(IDDN)の整備など各種施策を推進。
 (6)継戦能力及び抗たん性=略
 (7)教育訓練体制
 戦闘部隊で保持する装備と同様のものを教育訓練部門で保持。この一環としてF15DJとF2を整備。
 (8)救難体制=略
 (9)人事及び衛生=略
 (10)施設=略
 (11)技術研究開発=略
 (12)日米安保体制の信頼性向上を図るための施策
 情報交換、政策協議等の充実、運用面の効果的な協力態勢の構築、日米共同研究等整備・技術面の幅広い相互交流の充実、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするための施策を推進。
 (13)災害救援等
 大規模災害等各種の事態に対して、適時適切に災害救援等の行動を実施。
 (14)より安定した安全保障環境の構築への貢献
 (1)国際平和協力業務等を適時適切に実施する。
 (2)安全保障対話・防衛交流を引き続き推進し、関係諸国との信頼関係を増進。
 (3)国連等が行う軍備管理・軍縮分野の諸活動への協力。
 (15)その他
 弾道ミサイル防衛は有用性、費用対効果等に関し総合的見地から十分に検討のうえ、結論を得る。
4 整備規模=別表
5 所要経費
 (1)経費総額の限度は二十五兆一千五百億円(一九九五年度価格)程度。
 (2)各年度予算編成は極力経費を抑制しこの経費内で決定。節度ある防衛力を整備する精神は引き続き尊重。安保会議の承認を経て千百億円を限度に措置できる。
 (3)三年後には、その時点の内外諸情勢を勘案し所要経費の総額の範囲内で必要に応じ見直す。
<次期防の主要装備>
【陸上自衛隊】
戦車(108両) 96両
火砲(迫撃砲を除く) 45門
多連装ロケットシステム(36両) 45両
地対艦誘導弾(40基) 24基
装甲車(193両) 168両
対戦車ヘリコプター(AH1S、18機) 4機
輸送ヘリコプター(CH47JA、12機) 12機
地対空誘導弾(ホーク)改善用装備品
(2個群・教育所要)
2個群
【海上自衛隊】
護衛艦(8隻) 8隻
潜水艦(5隻) 5隻
その他(15隻) 18隻
自衛艦建造計(28隻) 31隻=約10万トン
哨戒ヘリコプター(SH60J、31機) 37機
【航空自衛隊】
要撃戦闘機(F15DJ)(29機) 4機
支援戦闘機(FSX=今後F2と呼称) 47機
輸送ヘリコプター(CH47、2機) 6機
中等練習機(T4、68機) 59機
注:カッコ内は現在の修正中期防の数字
 
 
 
 
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