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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1998/09/02 産経新聞朝刊
【教育再興】(93)平和教育(11)紙上討論(上)疑問提起の母親を非難
 
 東京都足立区立第十六中学校で、社会科の「紙上討論」授業をめぐり、生徒の母親(四九)が「内容が一方的」と疑問を提起したところ、逆に、担当の社会科教諭(四八)が母親を非難する内容のプリントをクラスで配り、いたたまれなくなった生徒が転校していた問題が今夏、明るみに出た。
 この社会科教諭は共産党機関紙「しんぶん赤旗」の熱心な読者だった。平成八年二月十一日付の同紙にこんな投稿をしている。
 「私は日本共産党員ではありませんが、かなり熱心な(つもり?の)『赤旗』読者です。・・・共産党員の方のまじめさにはいつも感心し、共産党員こそ、最高のボランティア精神の持ち主・・・あなたも『赤旗』を読めばもっといい顔になる」
 
 「紙上討論」は近現代史のテーマについて生徒に意見を書かせ、紙上で討論させるやり方だ。この教諭は前任校の同区立十二中時代も含め、「戦争責任」「日本国憲法」「従軍慰安婦」「国旗・国歌」「日中戦争」「日米安保」などのテーマを取り上げ、自分自身の意見をこう書いている。
 「昭和天皇にあの侵略戦争の最高責任があることは誰にでもわかる。それを問題にするのは政治的意図があるか、よほどの無知かのどちらか」(戦争責任について)
 「『日の丸』を『国旗』とする法律はなく、日清戦争以後の侵略戦争のシンボルになった」(国旗・国歌について)
 「当時(従軍慰安婦という言葉が)なかったのは事実だが、現在は日本軍性奴隷を表す固有名詞に使われています。当時、使われていない言葉を使うな、というなら、『聖徳太子』も使えなくなります」(従軍慰安婦について)
 授業では、戦争の記録映画「侵略」や原爆記録映画「予言」などのビデオが教材に使われる。家永三郎・東京教育大名誉教授の支援団体の機関紙「教科書裁判ニュース」に寄稿した論文や赤旗の記事が配られることもある。
 プリントには、「見るのが辛い」「何もかも嫌になった」「目を伏せたくなった」といった生徒の感想とともに、「歴史をごまかしてはいけない」「(従軍慰安婦の問題が)やっと歴史の教科書に書かれるようになったことで、例によって『そんなこと教えると子供が日本に誇りが持てなくなるから、教科書から消せ』という運動がある状況です」などと教諭のコメントが添えられている。
 
 今春、別の中学校への転校を余儀なくされた生徒はアメリカ人の父と日本人の母との間に生まれ、二つの国籍を持つ。
 昨年六月、「沖縄の米軍基地」をテーマにした紙上討論の授業で配られたプリントには、教諭の「沖縄の人達はもちろん、抵抗できる限りしましたが米軍は暴力(銃剣とブルドーザー)でむりやり土地を取り上げて基地を作ったのが歴史的事実」というコメントが載っていた。
 母親が「内容があまりにも反米的、一方的」と校長や足立区教育委員会に疑問を指摘したところ、七月の授業で、母親を非難するプリント(別掲)が配られ、生徒が傷ついた−というのが経緯だ。
 この問題は母親が教諭を名誉棄損で提訴したことから、現在、東京地裁で争われている。
 教育委員会側も「裁判で係争中」を理由に多くを話そうとしない。
 教諭にも、電話でインタビューを試みた。
 −−(母親を非難するプリントは)どんな意図で配ったのか
 「現在、係争中なので裁判を傍聴してほしい」
 −−生徒が転校したことをどう思っているか
 「非常に残念です。心が痛む」
 −−先生の手法に問題はなかったのか
 「法廷で明らかになると思う」
 −−教育的な配慮だったということか
 「裁判所に提出した書面を見てほしい。取材なら弁護士立ち会いでお話ししませんと」
 −−(転校前)生徒に声をかけたのか
 「機会がなかった」
 
 及び腰の東京都や足立区の教育委員会に対し、批判の声が上がり始めた。
 土屋敬之都議(民主)は「教諭の授業は明らかな偏向教育。学校はイデオロギーを注入する場ではない。最初の時点で教育委員会がきちんと対応していれば、子供が転校することもなかったはず。教諭は今も教壇に立つことが許されており、今になって裁判を理由に処分を遅らせるのは許されない」として八月二十五日、教諭の懲戒免職を求める要請書を都教育長に提出した。九月の都議会でも追及する構えだ。
                  ◇
■母親を非難するプリントの要旨
 教育委員会に密告電話や密告ファクスを送るというクラーイ情熱やエネルギーには敬意を覚えますが、私はこの親の要望に添うわけにはいきません。・・・「事実」をきちんと教えている私を「偏っている」と言うのは、この親が「偏っている」証拠です。・・・親の自分の「思想」が教師の「憲法に忠実な思想」に合わないからと、教師の教育内容に介入しようなど笑止千万なあまりにも「アサハカな思い上がり」というべきです。・・・こういう親の存在をここに明記するのは「これがあなたたちの生きる社会の現実である」という絶好の「教材」をこの人が提供してくれたからです。
 
 あなたの周辺で起きた教育問題に関する事例や試みについて、情報や意見を手紙でお寄せください。あて先は〒100−8078 東京都千代田区大手町一ノ七ノ二、産経新聞東京本社(FAXは03・3275・8750)の社会部教育再興取材班まで。


 
 
 
 
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