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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1997/06/01 毎日新聞朝刊
[社説]教員養成 情熱あって個性も豊かに
 
 今、どんな若者が先生になっているのだろうか。文部省が、全国の教育委員会の採用担当者らに新規採用教員に何が不足していると思うかを聞いた調査には、考えさせられる。
 担当者らは、「指導する教科の内容に関する専門知識・技能」は新人も身に着けており、「教職に関する専門知識」もまずまず備えていると受け止めている。
 しかし「学生生活全体を通じて得られる幅広い教養」や「円滑なコミュニケーション・人間関係を保つ能力」には、欠けるとみている。先生にとって不可欠といえる「幼児・児童・生徒を把握し指導に適切に反映していく能力」もやはり教委担当者らの70%が、新人には不足しているととらえている。
 「知識の量の多い者や記憶力のよい者が合格しやすい試験になっている」「偏差値優等生では、いじめや登校拒否などで苦しむ子供たちの心はなかなか分からないのではないか」との昨今の関係者の懸念を裏付ける内容といえる。採用試験と、大学・短大での教員養成システムの抜本的改革がどうしても必要だ。
 教委の中には、筆記試験の成績より、人物評価を重視する採用方法への転換を目指す取り組みを始めたところが出てきている。昨年夏に実施した教員採用試験で、面接担当者に企業の役員や弁護士、父母などの民間人を起用したところが、13府県にのぼった。一般の採用試験とは別に芸術やスポーツなどの達人を対象に特別選考するところも増えている。多様な視点で、より魅力的な人物を採用しようとの試みだ。
 教員免許を持たなくても教壇に立てる制度の活用も目立ってきた。香川県では、民間会社課長を初めて正式に高校の社会科教員として採用した。社会経験豊かで、専門知識にも秀でた社会人教師の存在は、学校の活性化につながるだろう。
 こうした試みは、もっと進めてほしいが、まだそれを阻む規制が少なくない。例えば、学校が特別非常勤講師制度により社会人を迎えるには教委の許可が必要で、膨大な書類を出さなければならない。ある高校の校長が「よほどの人材でないとあきらめてしまう」というほどである。規制緩和が求められる分野だ。
 教員養成については、教育職員養成審議会の特別委員会が26日、経過報告をまとめた。教員の志願者がすべて同じような科目を修得している現状を改め、個性の伸長や得意分野づくりが進められるようにカリキュラムを弾力化。介護、ボランティア、自然体験などの体験的実習の重視なども視野に入れている。いずれも大事な改革だ。
 ただ、それだけでは限度がある。今、教員採用試験は、大変な狭き門になっている。子供の数が減り、教員の採用者も大幅に減っているためだ。倍率が高くなるほど、どうしても、偏差値優等生が合格しやすい試験になる。さらに、このままでは先生の平均年齢がますます高くなり、学校によっては若い先生がまったくいなくなってしまう。好ましいことではない。計画的に新規採用枠の確保を図る努力が必要だ。
 教育は先生次第、とは昔から言われてきたことだが、どんな立派な教育改革の旗を掲げても、現場の先生の実践がなければ、絵にかいた餅(もち)になる。情熱的で個性豊かな人が先生になれるように、さまざまな面で環境づくりを急ぎたい。


 
 
 
 
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