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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1994/02/01 毎日新聞朝刊
[社説]日教組 学校5日制で問われる力量
 
 毎月第二土曜日を休みとする「学校五日制」が実施されて一年余。現場の教師たちは、これにどう対応しているのか。一月三十一日まで四日間、神戸市で開かれていた日教組第四十三次教育研究全国集会の「学校五日制」分科会では、さまざまな実践報告や問題点、意見、提案が出された。
 日教組は二十年前から学校五日制の実現を求めてきた。当時は教員の週休二日制実施の観点からの要求だったが、ここ数年は子どもの立場に立ち「教育改革としての学校五日制」を前面に打ち出していた。
 そのねらいは、詰め込み教育や部活動の練習漬けの生活から子どもを解放し、ゆとりある教育と生活を確保してやることにあった。
 だから月一回とはいえ学校五日制が実現したことで、日教組は歓迎したのだった。
 しかし集会では「かえって、ゆとりがなくなった」という報告が相次いだ。「休みとなった土曜日の授業を他の曜日に上乗せしたため、毎日七時限の授業になっている」という高校教師。「他の曜日に上乗せしないことにした結果、授業をスピードアップして“新幹線授業”になった」と小学校の教師。
 文化祭をやめたり、春秋の遠足を一回にするなど学校行事を減らしたため「学校が楽しくなくなった」との指摘もかなりあった。
 文部省は「いまの学習指導要領の枠組みの中で、教育内容や学校行事を精選すれば月一回は十分可能」と言い、月二回実験的に実施している文部省の研究指定校からも「やりくりすれば、なんとかできる」との報告が寄せられている。
 しかし、その内情は「学校生活が窮屈になった」ということだ。それもそのはず、いまの学習指導要領は学校五日制が導入される前に作成されたもので、五日制に対応した内容になっていないからだ。
 だから集会で「文部省は、いまの学習指導要領を五日制に見合ったものに改訂すべきだ」との意見が相次いだのも当然のことといえよう。
 しかし一方で「文部省の改訂待ちでいいのか。私たち現場教師の手で五日制に対応した教育課程を自主編成する必要がある」との指摘があった。それに取り組んでいる実践報告もいくつかあった。
 その議論の過程で、授業時数の確保のために機械的に他の曜日に授業を上乗せしたり、学校行事を削減することへの疑問が出された。「精選の視点を持て」という提起は、これまで学校現場での論議で、あまりなかったことであり注目に値する。
 ある教師は言った。「教育の本質、教育条理に照らして、その最も大事なものを選び出し、それらを真に子どもの身についたものにすることが『生きて働く学力』の習得につながる。少なく教えて賢く育てる教育への改革が求められる」と。
 これは文部省が最近言い始めている「新しい学力観」(思考力、判断力、創造力、表現力など)を実質化することにもつながるものだ。その観点に立った学校五日制の教育課程の構築が求められよう。
 日教組は教育研究者で構成する教育課程改革委員会を設置している。毎土曜日を休みとする「完全五日制」に向けた教科や学校行事の「手引き」を来春までに作成するという。
 「対決」をやめた日教組が、父母・国民の共感を得られる改革案をどれだけ提示できるか、その力量が問われている。


 
 
 
 
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