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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/08/31 毎日新聞朝刊
[思うぞんぶん]非常時立法の議論深めたい
小沢一郎(自民党幹事長)
 
 ――今回の中東和平に関する政府の貢献策をどう評価しますか。
 小沢幹事長 海部首相が非常に努力した結果であり、それなりの評価を国際的にもされると思う。
 ――国際社会と日本のあり方について、日本として、政権政党として考えなければならないことは何でしょうか。
 幹事長 わが国の平和のためには国際社会の平和が維持されなければならないし、国際的な平和機構である国連に加盟し、その国連活動を中心に憲法の理念と平和を維持、確保していこうというのが、日本の基本的な内政、外交にわたる原則だ。日本がその論理をどう具体化し、世界平和のために貢献していくのかが、まさに問われている。
 ――日本がこれまで憲法の建前から触れなかったような問題をめぐって、諸外国から批判も出ていますが。
 幹事長 国連は平和を維持するため、これを乱そうとする侵略者、侵略行為は武力を行使してでも鎮圧する、ということが国連憲章前文、第一条にうたわれている。米欧と同様か、それ以上の立場を築き上げた日本が世界各国と歩調を合わせて協力することが、今もこれからも求められ続けるだろう。憲法問題や、そのほかの事情で半世紀もの間、そこまでの協力をしないで済ませてきたわけだが、果たしてそれで将来も通るのか、ということが一番の判断の分かれ目だと思う。平和のために国連があり、平和のために自衛隊があるわけで、その平和のための活動をしてなぜいけないのか。戦後社会の風潮として、平和と武力は対立する概念として皆しゃべっている。土井さん(社会党委員長)なんかも国連活動で平和の基金ならいいが、軍事に使う基金はだめという理論になっている。平和のためのひとつの手段として武力があるのに、日本人は「武」がつけば全部だめ、となってしまう。
 ――非軍事分野だけで日本が貢献するのはなかなか難しい、ということですか。
 幹事長 結論から言えばそうだが「軍」「武」と名のつくものは一切やらず、それからくる国際社会でのデメリットはすべて負う、という腹を固めて選択するなら、それもひとつの生きざまだ。要するに、中途半端に適当にごまかしてすり抜けようという手法は通らない。どっちにするにしても、きちんと腹を決めて判断してやらなくちゃいけない。
 ――党内には非軍事面での協力に限るべきだといった声もありますが。
 幹事長過去の立場、いきさつ、心情にとらわれて議論してはだめだ。将来にわたり日本の国益にとって何がベターかを冷静に判断して結論を下さなければならないと思う。
 ――こうした問題にできるだけ早く対応するには、自民党内の調整などをどう進めていく考えでしょうか。
 幹事長 党は政治家の集団だから話をすれば合意点は見つかりやすい。問題はやはり、行政組織だ。従来の各役所の積み上げ方式が、この問題だけでなく日米交渉においても何においても、機動性を失わせている。官邸機能を強化し、官邸が主導性を持って処理していくようにしなければならないと思う。
 ――幹事長なりの“成算”は。
 幹事長 今度のイラク問題だけでなく、これからいろんなケースで日本は次々に選択を迫られると思う。少なくともこれを契機に、堂々と国民の前で議論するのが務めだ。
 ――首相との二十六日の会談では法体系の整備の必要性で一致した、ということですが。
 幹事長 緊急時の立法はこと軍事面だけでなく、いろんな分野がある。今回の飛行機、船にしろ、民法上の契約でしかなく、相手がいやだと言えばおしまいだ。そうした民間の利害にかかわる問題まで入ってくると、すぐできるような話ではない。ただ、議論が深まっていけば民間、国民との関係を緊急時にどうすればいいか、という法体系の整備ができる。
 ――そのためにも国会を早く開いた方がいい、という意見もありますが。
 幹事長 できるだけ早く開いた方がいいと思うが、今すぐ召集しても(法案準備などが)間に合うわけではない。九月とかいう短期的意味でのなるべく早くではなく、皆がこれを忘れないうちに用意してやっていく、ということだ。
 ――今回の貢献策に関連して、改憲という言葉も党内から出ていますが。
 幹事長 改憲は党の綱領にも書いているが、現実問題として今すぐ、憲法改正の合意ができるとは思わない。議論はいいが、改正といっても今の時点では話をするだけ、ということだと思う。私も、今の時点で憲法改正を念頭に置いてやっているのではない。
 
◇党4役会議での幹事長発言要旨
 小沢幹事長が二十七日の党四役会議で行った「現行憲法下でも自衛隊の国連軍派遣は可能」との発言の要旨は以下の通り。
 わが国は、憲法がうたっている恒久平和の追求と、そのための国際社会への貢献という理念が、国連憲章に合致するからこそ、国連に加盟し、国連中心外交を展開してきた。その国連憲章は平和を維持するために、最終的には加盟国共同で武力も行使するとしている。ところで憲法九条は、わが国に直接、急迫不正の侵害がないのに、同盟国として出かけて武力行使する集団的自衛権を禁じていると解釈されている。しかしそれは、特定の国家と結んだり、特定の国に対して武力行使するのがいけないのであって、全世界が一致して平和維持のために行う国連軍とは次元が違う。もし国連軍に参加することも憲法九条違反であるなら、国連加盟国としての活動ができず、国連を否定することにもなる。現憲法下でも自衛隊を国連軍に派遣することは、憲法違反にあたらない。平和のための憲法があり、自衛隊があるのに、なぜ国連の平和維持活動をしてはいけないのか。
 
◇小沢一郎(おざわ いちろう)
1942年生まれ。
慶應義塾大学経済学部卒業。
衆議院議運委員長、自治大臣、自民党幹事長など歴任。現在衆議院議員。


 
 
 
 
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