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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2001/09/27 産経新聞東京朝刊
【日本は何をすべきか】米中枢同時テロ(7)
石原慎太郎東京都知事
 
◆「憲法解釈」に縛られるな
 −−米中枢同時テロ発生当時は米国に滞在していたが
 「(交通機関は)全部だめになり、運輸に関しては機能まひしていた。米国みたいな国でも急所を突くと、死にはしないけど、いいところに針を打たれてしびれたみたいなことになる。とても怖しいと思った。日本ならもっと簡単にああなるのではないか」
 −−米国政府の対応をどうみるか
 「やはり早い。あれが本当の現代国家の危機に対する反応だと思った」
 −−米国の危機管理に学ぶ点は
 「現状についての迅速で正確な把握と、その分析と認識の問題だろう。阪神大震災が起こっても政府は動かなかった。『何ゆえ初めてのことじゃからなあ』って。それじゃ困る。危機というのはすべて初めてのことなんだ」
 −−ブッシュ米大統領は今回のテロを「新しい戦争」と位置づけた
 「時間的、空間的世界は狭くなっている。情報の伝達とか物の行き来が前より激しく、速くなってきたときに暴力行為そのものも性格が変わってきた。いかにもそれは一種の戦争だと思った。瞬間的に五千人の人が死んだ。日本人はまだミッシング(行方不明者)だと言っているが、殺されたんだ。文明に対する挑戦ですよ」
 −−日本はいま何をすべきか
 「大方の政治家はことが実際に自分の身に起こらないと分からない。頭が硬直している。そんな人間は他人を代表する資格はない。あの出来事が世界に二度起こってもいいのか。それを阻止することが、今一番の喫緊の主題だ。ああだこうだという憲法を含めて既存の法律の解釈論ばかりだが、現実に新しい性格の物事が起こったんだから、何もしないわけにはいかない。イージス艦を送る、送らないで議論になっているが、後方支援であって、だれが傷つくわけでもない。『原理主義』という言葉は聞こえはいいが、人間の歴史、それを構成している価値の破壊ですよ。それを許さないという姿勢を一緒に示すことが非常に大事だ」
 −−対米支援に慎重な政党もある
 「集団的自衛権は合憲とか違憲とかいう前に、こうした事態の中で日本だけ同じ犠牲を出しながら協力しないで済むのか、ということだ。米国のためにも自分自身のためにも。そういう強いアイデンティティーをNATO(北大西洋条約機構)を形成している先進国は持った。日本だけが君らと考え方が違うと言い切って済むのか。いや違う所以(ゆえん)があるのか」
 −−対米支援のための新法がまもなくまとまるが
 「法律なんか都合よく作って役に立たなくなったらどんどん捨てればいい。憲法がそのいい例だ。既存の法律にギリギリ縛られて、世界に向かって恥をかいたり、それに縛られて自らを危うくする国がどこにあるのか。なぜせっかく持っている自衛隊を使えないのか。観念で頭ががんじがらめになっているんだよ」
 −−新法をめぐる国政の動きをどうみるか
 「愚劣だね。手続き論や解釈論ばかりやっている。過去の解釈と今の解釈が同じでいいわけがない。事態は変わり、出来事の性質も変わっているときに、ムキになって『じゃあ解釈変えるんですか』と。変えるのは当たり前じゃないか。お経やバイブルだって時代によって、またカトリックやプロテスタントによって同じ教義の解釈は違う。法律もそうであって、大事なのは新しい文言をつくることなのに、解釈論に終始している」
 −−集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈をどう考えるか
 「(内閣)法制局は余計なもの。まさに法匪(ほうひ)で、何の権威でもないのにそれに政治家が振り回されている。政治家が彼らの専門性を絶対的にしているのだ。もともと法律だって条約だって人間が作ったものだから政治家がそれを変えたらいい」
 −−憲法改正はすべきか
 「国家の基本法かもしれないが、どこの国でもクルクル変えている。一言一句変えないのは日本だけ。憲法は神様じゃない。われわれが作り、あのときはとりあえず是としたものなのに、それに国家そのものが縛られて何もできないのはどうにもこっけいな話だ。日本民族が滅び、国家が滅び、憲法だけ残ったってしようがない。憲法は目的を遂行するための手段だ。どの文明でも言えることだが、いつの間にか手段だったものが目的になっている。たかだか人間が作った言葉じゃないか」(伊波興作)
 
■集団的自衛権と憲法の関係(昭和56年政府答弁書)
 「国際法上、国家は集団的自衛権、すなわち自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されてもいないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を有しているものとされている。わが国が国際法上、このような集団的自衛権を有していることは主権国家である以上、当然であるが、憲法九条の下において許容されている自衛権の行使は、わが国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどまるべきであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている」
 
◇石原 慎太郎(いしはら しんたろう)
1932年生まれ。
一橋大学法学部卒業。
東京都知事、作家、元運輸相、元環境庁長官。


 
 
 
 
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