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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/05/03 産経新聞東京朝刊
憲法改正 「国のかたち」明瞭に
 
■民間試案 「天皇=元首」を確立/「国防軍保持」も明記
 衆院憲法調査会の中山太郎会長が最終報告に改正の必要性を盛り込みたいとの考えを示したが、背景には国民の間に安全保障に対する意識が深まり、憲法改正への関心が高まっていることがある。経済界でも経済同友会が有力経済団体では初めて憲法改正を求める提言をさきに公表した。今後、自民党憲法調査会などの議論に影響を与えるとみられる新しい憲法をつくる国民会議の新憲法案をもとに現行憲法を再検証してみると−。
 
≪立憲君主制を確認≫
 現行憲法には元首について明確な規定がないため、学界でも「元首とは対外的な代表者」「いや行政権を握る者」などとの諸説があり、日本の元首は天皇か首相かあいまいとの議論がつきまとってきた。このことが他の多くの国が憲法で持つ「国のかたち」(コンスティテューション)を分かりにくくしている、との指摘もある。
 国民会議の新憲法案は天皇を「元首」「対外的に日本国および日本国民を代表」「伝統、文化及び国民統合の象徴」として、象徴天皇制に基づく立憲君主制の国であることを明確にした。また現在は法律で制度化している国旗・国歌や元号についての規定も盛り込んだ。
 
≪自衛隊は軍隊か?≫
 九条には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とあるため、陸海空の三自衛隊は憲法違反の存在という自衛隊違憲論を生み出し、国会でもたびたび不毛な論議が繰り返されてきた。このため新憲法案は「政治不介入」など文民統制を明確にしながら「国防軍の保持」を明記した。
 九条の規定がネックとなって国際社会が一致して取り組む行動にも参加できない現状を踏まえ、「確立された国際機構の運営・活動」に「軍事力の行使を含む責任ある立場で積極的に参画する」ことを訴えている。
 自国と密接な関係にある外国への武力攻撃を自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力で阻止する権利である集団的自衛権。政府は現在も「持っているが行使できない」との見解を崩さない。国際社会では行使できることが当たり前であることを背景にあえて明記していないが、「他国と同盟を組むことができる」として行使に道を開いている。
 
≪非常時はどうなる?≫
 現行憲法には「参院の緊急集会」の規定があるものの、有事や大規模災害といった非常時に迅速、効果的に機能する緊急事態への備えが欠落しているとの指摘は根強い。このため新憲法案は首相に「国家緊急事態宣言」と「緊急命令」の権限を付与。国会の承認制度で行政府独走のチェック機能も設けた。
 国民に対しても徴兵の義務ではない「国家防衛の責務」や有事などの「国家緊急事態下の協力の責務」を付与している。
 
≪時代に沿った新たな権利≫
 現行憲法は権利や義務の面で、現代社会の急速な変化に追いついていないと指摘される。新しい権利として議論にのぼるのは「知る権利」「環境権(良好な環境を享受する権利)」「プライバシー権(自己の私事をみだりに干渉されない権利)」などが代表的だが、新憲法案では名誉、信用の人格権などとともに保障するとした。行政情報は「国民の所有」として情報公開を憲法で裏づけている。
 基本的人権など現行憲法が保障する諸権利はほぼ踏襲する。
 
≪憲法判断に専門裁判所≫
 新憲法案は国会について機動的な国政運営を妨げていると指摘される現行の衆参二院制を一院制にするよう提起。また国会議員が「第三者の利益を図るために、国の事務の負担となる交渉」をすることなどを国会議員の「欠格事由」とする条項を設け、腐敗防止の仕組みを具体的に組み込んだ。
 司法では最高裁判所が高度に政治的だとして司法審査の対象外とし憲法判断を見送る「統治行為論」を持ち出すこともある。このため個別の法律などが合憲か違憲を判断する憲法裁判所を独立させ、最高裁をトップとする司法裁判所との役割分担を打ち出した。
 
≪改正規定ハードル低く≫
 現行憲法の改正には衆参の総議員の三分の二以上の賛成による発議が必要で、しかも国民投票によって過半数の賛成がなければならず、「そもそも改正へのハードルが高い」との指摘がある。また改正規定の解釈に不透明な点も。国民投票の承認は、有権者数の過半数か有効投票の過半数なのか、が定まっていない。衆参両院に改正案を提案できるのが誰なのかもはっきりしていない。
 新憲法案は内閣または国会議員の三分の一以上で改正案を提出でき、議員の三分の二以上の出席で(1)出席議員の三分の二以上の賛成(2)出席議員の過半数の賛成と国民投票の過半数の賛成のどちらか−のいずれかで改正できるよう緩和した。
 
 新しい憲法をつくる国民会議(自主憲法制定国民会議) 昭和44年に結成され、初代会長は岸信介元首相がつとめた。自民、自由両党の国会議員有志らでつくる「自主憲法期成議員同盟」とは姉妹団体。平成8年5月、第2代会長の木村睦男元参院議長が改正私案を公表したが、国民会議としての全面改正案は今回が初めて。昨年9月に第4代会長に就任した愛知和男前衆院議員や竹花光範・駒沢大副学長(憲法学)、元国会議員、弁護士らが研究会を重ね起草した。


 
 
 
 
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