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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1999/04/08 産経新聞東京朝刊
ガイドライン関連法案参考人質疑 周辺事態、国内法整備 安保論議の課題浮き彫り
 
 衆院日米防衛協力のための指針に関する特別委員会(山崎拓委員長)は七日、新たな「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)関連法案について八人の参考人から意見を聴いた。
 この中で自民党推薦の西元徹也元統合幕僚会議議長、岡本行夫元首相補佐官、自由党推薦の岡崎久彦元駐タイ大使は、「日米安保体制の機能の充実、強化が重要」と法案に積極的賛成を表明。法案修正の焦点となっている国会が基本計画にどうかかわるかについては西元、岡崎両氏は迅速で機動的な対応をとる観点から国会の「事後承認」が望ましいとの立場を明らかにした。
 民主党推薦で軍事アナリストの小川和久氏、笹森清連合事務局長、公明党・改革クラブ推薦の伊豆見元・静岡県立大教授も法案に理解を示した。
 質疑では、「周辺事態」が起きたときの自衛隊の行動に関連し、岡崎氏らは「日本も集団的自衛権の行使を認めるべきだ」と主張。また「日本有事」に備える国内法整備を「今後の課題」とする指摘も多く、ガイドライン関連法案成立後の安保論議の課題が改めて浮き彫りになった。
 
◆国会承認
 西元徹也氏は、対米支援の基本計画に国会がどう関与するかに関連、「行動する隊員の士気に及ぼす影響は国会承認を受けた場合の方がある」と、「承認」の必要性を認めた。ただ、承認をめぐって国会が混乱した場合などに自衛隊への影響が大きいことを指摘し、「事後承認にとどめてほしい」と述べた。
 岡崎久彦氏も「防衛出動は現に国会承認をしており程度の問題だ。ただ、日米関係の信頼関係を維持し安保条約の機動性を損なわないようにすべき」と、迅速な対応をするうえで、事後承認が望ましいとの考えを示した。
 一方、笹森清氏は、「基本計画の実行に当たっては、緊急を要する場合を除きすべて事前承認にすべきだ」と強調した。
 修正協議で自民、自由両党が大筋合意した「自衛隊の出動」を事後承認事項とすることについても、「日本が直接攻撃される有事体制と周辺事態との対応を同一視している」と反対した。
 小沢隆一氏は「国民主権、議会制民主主義の原則を軽視している」と事後承認論を批判した。
 
◆後方地域支援
 自衛隊などが行う後方地域支援活動が相手国の攻撃対象となるかどうかが議論の一つとなっているが、西元氏は「柔軟に後方地域を設定すれば部隊の安全を確保できる」と指摘した。さらに後方地域での武器使用について、周辺事態安全確保法案十一条の規定に触れ、「規定がなければ後方地域での捜索、救助活動などが困難になる。必要最低限の規定だ」と述べ、部隊保護などのための武器使用は必要とした。
 これに対して小川氏は「(後方地域支援活動は)軍事組織の編成上、武力行使になる。後方地域支援という言葉は官僚の悪知恵で前方も後方もない」と厳しい調子で指摘。「補給輸送などの兵たん活動も攻撃対象となる危険性がある」と反論した。
 
◆地方自治体・民間協力
 港湾の使用について岡本行夫氏は「法律に『協力を求めることができる』と明記されたことは、地方自治体に依頼することの法的根拠。一歩前進だ」と評価した。西元氏も阪神大震災で自衛艦が港に停泊して救助活動の拠点となったことをあげて、「日本の平和と安全に重要な事態ならば、地方自治体も(港湾使用を)理解してくれると確信する」と自衛隊の活動への地方自治体の協力に期待を表明した。
 これに対して笹森氏は「自衛隊の守備範囲で(後方支援が)可能なら、(民間協力の)義務づけを削除すべき」と主張。川本和弘氏は「民間航空条約は民間にのみ適用され、政府と契約したことで保護を受けなくなる」と、米軍への協力でテロの対象になるなどの懸念を表明した。
 
◆集団的自衛権
 「国際法上、集団的自衛権を有しているが、行使は許されない」とする政府見解について岡崎氏は、「本来もっているものを行使できないというのはどう考えてもおかしい」と批判。ガイドライン関連法案の成立で安心せずに、「本当の有事になれば日本の存立にかかわる問題が出る可能性がある。集団的自衛権の行使を考えなくてはならない」と指摘した。
 これに対して岡本氏は集団的自衛権行使の容認へ転換するかどうかについて「国民の議論が熟しておらず、かえって防衛論議が逡巡(しゅんじゅん)してしまう危ぐがある」と否定的な見解を表明。「個別的自衛権の範囲をあまりに狭く解釈してきたことの是正が必要だ」と自衛権をめぐる政府解釈を弾力的に行うべきだと主張した。
 小川氏は、「集団的自衛権の日本型モデルをつくり、それをたたき台にして国際的な議論をすべき」と提唱。そのうえで、「平和主義を実現し世界の信頼を得るところまで行くには、憲法の精神を生かさなければならず、改憲の手順をして肉付けしなければならない」と、憲法改正を視野に入れた本格的な安保論議を展開すべきとの認識を示した。
 
◆日本有事の対応
 岡本氏は、領空侵犯への対応措置に関連、「体制として対応能力を欠いていることは、国として危険であり由々しき事態だ。長期的な課題だが、このような議論が起こることを願っている」と、自衛隊法の武器使用や任務規定をめぐる議論が国会内で早急に行われることへの期待を示した。
 小川氏は「国内法制の整備」の重要性を指摘。「国際法や国際通念にかなうかなど世界に通用するレベルで」と求めた。
 岡崎氏は、朝鮮半島有事が発生し、日本が直接武力攻撃を受けても「損害は受けるが日本の国が滅びることはない」と強調。それよりも、日本のガイドライン関連法案などへの対応を米国が批判し、日米同盟が消滅するような事態となれば、「本当に生きていけなくなり、日本にとっては重要な被害となる」と、日米同盟堅持の重要性を力説した。
 
◆北朝鮮外交
 岡崎氏は「米韓との協調が大事だ。米韓と比べ、朝鮮半島有事の際は日本の被害が少ない。被害の大きい国の発言を尊重するのが本来の形だ」と主張。日朝国交正常化交渉について「国交が回復すれば北朝鮮にはプラスになるものしかない。ミサイルと拉致(らち)問題で厳しい条件を出しても交渉できる」として、日本は原則を譲るべきではないとした。
 小川氏は自身が会談した北朝鮮の朝鮮労働党幹部の話を紹介しながら、「日本は米国の言う通りに動く。(北朝鮮は)日朝間よりも米国と話した方がいいと判断している」と厳しく指摘。「(日本が積極的役割を示せば)国交正常化交渉でも日本は積極的な話ができる」として日本外交のあり方に苦言を呈した。
 伊豆見元氏は「(ガイドライン関連法案が)成立すると北への抑止的効果が増す」と指摘。さらに「北朝鮮がミサイルを撃つ可能性は否定できない。攻撃を受けて反撃するのは防衛的なものであり、空中給油機導入など、日本の反撃能力についての議論自体が抑止力になる」と述べた。
 
《参考人》
 【午前】西元徹也・元統幕議長(自民)▽笹森清・連合事務局長(民主)▽岡崎久彦・元駐タイ大使(自由)▽小沢隆一・静岡大助教授(共産)
 【午後】岡本行夫・元首相補佐官(自民)▽小川和久・軍事アナリスト(民主)▽伊豆見元・静岡県立大教授(公明・改革)▽川本和弘・日本乗員組合連絡会議長(社民)=カッコ内は推薦会派


 
 
 
 
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