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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1997/02/18 産経新聞朝刊
【教科書が教えない歴史】(229)日本国憲法(13)
 
 「護憲(ごけん)」とか「改憲(かいけん)」という言葉をよく聞きますね。文字通りにいえば、「護憲」とは現行の日本国憲法を擁護して、その改正に反対する立場です。これに対して「改憲」とは日本国憲法は連合国軍により占領期間中に制定されたものであり、わが国が独立を回復したからには、憲法を改正すべきであると唱える立場です。
 現在、「護憲」の立場を代表する政党が社会民主党(元の日本社会党)や日本共産党であり、「改憲」の立場を代表する政党が自由民主党であるとされてきました。
 しかし、「護憲」や「改憲」を文字通りに解釈してよいのでしょうか。
 憲法草案が審議された第九十帝国議会(「憲法議会」と呼ばれます)で、共産党の書記長だった徳田球一=写真=は、憲法九条の「戦争放棄」条項を設けることに対して「今後における民族の独立及び安全の保障をどうするか」と疑問を呈しています。同じ共産党の野坂参三も「侵略された国が自国を護るための戦争は、我々は正しい戦争と言ってさしつかえないと思う」と述べて、憲法で自衛戦争まで否定している九条を批判しています。
 社会党議員の鈴木義男は、現在では、民主主義憲法を高らかにうたい上げたものと高く評価される日本国憲法の前文について「まことに冗漫」であり、「簡潔、荘重、典雅(てんが)」な文章に改めてはどうか、と問いただしています。
 このように、現在では「護憲」の代表格である政党も、かつて条項に対して批判的であった時期があったということがわかります。憲法制定当初から今日に至るまで、一貫した「護憲」の立場ではなかったのです。
 また、一九五四年(昭和二十九年)、左派社会党は、党大会綱領の中で「社会主義の原則に従い憲法を改正し」と述べています。これは、「護憲」といってもあくまで現行の日本国憲法の改正に反対する立場ではなく、状況によっては(例えば自らが政権を取った場合)、一転して「改憲」を支持する可能性があることを示したものです。
 一方、今日「改憲」の立場を堅持している自民党はどうでしょう。こちらも「改憲」を額面通り受け取ることはできません。
 一九五五年に自由民主党が結成(自由党と日本民主党が合同)されたときに、基本理念の一つとして「現行憲法の自主的改正をはかり」という一項がありました。それ以来、自民党が「改憲」を党是(とうぜ)、つまり基本方針としてきたことは事実です。
 しかし、日本国憲法の九六条に「この憲法の改正は各議院の総議員の三分の二以上の賛成」がなければ発議できないとあります。これまで自民党は三分の二以上の議席を獲得したことはありませんでした。そのため、自主憲法を制定するという自民党の結党の理念は年を経るにしたがい影が薄くなってきています。
 一九九五年(平成七年)三月、自民党の河野洋平総裁(当時)は「新宣言」を取りまとめました。その中で自主憲法の制定、つまり憲法改正は事実上棚上げとなりました。「改憲」という自民党結成の理念は今ではほとんど失われてしまったといえます。
 このように「護憲」を旗印に掲げていても、実際には「改憲」の思惑を抱いていたり、「改憲」を党是としているにもかかわらず、事実上「護憲」の立場を守ろうとしたりしているのが、日本国憲法をめぐる政治状況であることを十分に知っておく必要があるのです。(大倉精神文化研究所 打越孝明=自由主義史観研究会会員)


 
 
 
 
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