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1997/04/06 読売新聞朝刊
「憲法論議を」最高の75% 改正賛成、5年連続多数派/読売新聞社世論調査
 
◆実態との間に「矛盾感じる」68%
 読売新聞社は、三月十五、十六の両日、全国世論調査を実施し、五月三日で施行五十周年を迎える現行憲法に対する国民意識を探った。憲法改正を求める人は45%にのぼり、五年連続して「改正しない方がよい」を上回った。改正問題を軸とする憲法論議を「望ましい」とする人も七割以上で過去最高を記録するなど、論議さえタブー視する考え方は、既に過去のものとなっていることが明らかになった。制定当時には想定できなかった日本の社会や国際情勢の変化を背景に、憲法の規定と現実の社会との間に矛盾を感じる人も三分の二に達し、施行から半世紀を経て憲法が対応しきれない問題が生じている――との認識が大勢を占めた。(調査内容12・13面)
 憲法を「改正する方がよい」は九六年の前回調査に比べて2ポイント減ったものの、「改正しない方がよい」37%を8ポイント上回った。改正賛成派は、九三年調査以来一貫して多数を占め、わが国の国際貢献の必要性が指摘される中、“一国平和主義”からの脱却を図る改正論議が定着したことを示した形だ。
 それを裏打ちするように、改正を求める理由では「国際貢献などいまの憲法では対応できない新たな問題が生じている」が50%で最も多く、以下、「解釈や運用だけで対応すると混乱する」32%、「アメリカに押しつけられた憲法だ」30%などの順だった。
 逆に、改正しない方がよい理由は「すでに国民の中に定着している」55%、「世界に誇る平和憲法」35%、「基本的人権、民主主義が保障されている」27%などだった。
 憲法論議を盛んに行うことを「望ましい」と思う人は前回調査より4ポイント増の75%となり、九五年調査から三年連続して七割を超えた。「望ましくない」は15%で、憲法論議を歓迎する人が圧倒的多数になっている。
 また、憲法の規定と、政治や社会の実態との間に矛盾を感じることがあるかどうかを聞いたところ、「ある」は「大いに」「多少は」を合わせて計68%で、「ない」25%を大きく上回った。
 矛盾を感じる具体的な内容については、憲法九条にかかわる「戦争放棄、自衛隊」が46%で最も多く、次いで、「選挙制度」33%、「情報公開」28%、「生存権、社会福祉」「環境」各22%などだった。
 ただ、憲法が日本の社会で果たしてきた役割については、「評価している」が76%にのぼり、戦後日本の平和と経済的繁栄への現行憲法の貢献は、広く認識されているようだ。


 
 
 
 
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