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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1996/03/27 読売新聞朝刊
[明日への条件―日本総点検]第2部憲法再考(7)無力な参院(連載)
 
 国会の参観者が減っている。衆院では昨年一年間で約六十二万人だった。十年前と比べると二十六万人も少ない。高校生たちの減少が目立つ。「修学旅行の見学先には、国会よりディズニーランドなどの方が人気が高いのかなあ」と衆院事務局員は苦笑する。
 昨年七月の参院選の投票率は四四・五%と、史上最低を記録した。戦後、衆参両院選で投票率が五割を切ったことはなかった。
 戦後の民主化のシンボルである国会に、国民はいま、さめた目を向けている。
 
◆「良識の府」 どう再生
 マッカーサー司令部が示した憲法草案は一院制だった。参院の設置は日本側の強い要求で憲法に盛り込まれた。衆院の「数と力」による行き過ぎや急激な変化をけん制するには第二の「良識の府」が必要だというのが、その主張だった。
 だが、それから半世紀。参院は、政党化によって衆院への従属性が強まり、審議も形式化した。
 本会議の開会回数や審議時間は、昭和二十年代と比べると、ここ十年、半減している。例えば、参院内閣委員会の場合、審議時間は、昨年一年間で、たった十五時間だった。憲法は、予算の議決や条約の承認、首相指名などで、衆院に優越的な地位を与えている。参院は存在感を示しにくい。
 昨年の参院選の直前、新進党の「明日の内閣」(政権準備委員会)での議論。
 「中央省庁の統廃合を打ち出すには、立法府として、参院廃止を主張するくらいの姿勢が必要だ」
 「そうは言っても、参院を廃止するために参院議員になります、と公約するのはいかにもおかしい」
 結局、新進党の公約は、現行二五二の参院定数を二〇〇に削減することにとどまったが、「無力な参院」への疑問の声は、国会の中でも高まっている。
 昨年秋、民間政治臨調(政治改革推進協議会)が全国会議員を対象に行ったアンケート調査では、「いまのままの参院であれば必要ない」との意見について、国会議員の六一%が「そう思う」と答えている。衆院議員に限ってみると七割に上り、「廃止」は禁句のはずの参院議員でさえ四三%がイエスだった。
 審議の形がい化は、審議時間だけでなく、討論の内容にも及んでいる。
 昨年秋の宗教法人法改正審議に向けて、自民党参院議員が用意した質問ペーパーがある。
 「宗教団体のもつ政治的な影響力について、どこまでが憲法上許されるか、の観点から議論したい」
 質問のあとに、「お説のとおり」など「想定される答え」がある。「答弁が明確でなかった場合」の再質問もついている。
 まるで議事録のような想定問答。実は、この議員が作ったものではない。外部の専門家に頼んだという。
 質問の「外注」は珍しくない。それに参院だけではない。衆院も同様だ。委員会の前日になると、各省庁の担当者が議員のもとに「質問とり」に走る。そこでどんな答弁をするかを打ち合わせることもある。
 質問さえ官僚や専門家に頼む背景には、議員の勉強不足もあるが、陳情処理や資金集めの方にエネルギーを使い果たし、質問づくりまで手が回らないという実情もある。
 「言論の府」としての国会をどう再生させるか。
 憲法四二条は、「国会は衆議院及び参議院の両院で構成する」とあるだけで、両院がそれぞれどんな役割を果たすのかは書いていない。参院の独自の役割を明確にさせることが必要だし、見識ある人物を参院に送り込むには、選挙のやり方も改め、候補者推薦制や間接選挙を導入すべきだという提案もある。
 ところが、そうなると、両院議員の「直接公選」を定めた憲法四三条に抵触するため、実現は困難だとして議論は進まない。国会が本来の機能を取り戻すための改革が、憲法がネックになって動かないという皮肉な現実に、これ以上、目をつぶってよいのだろうか。 (政治部 浅海伸夫)
 
〈二院制の意義〉
 憲法制定時の衆院委員会の付帯決議(一九四六年) 参院は衆院と均しく、選挙せられたる議員をもって組織すとの原則は認むるも、これがために衆院と重複するが如き機関となり終ることは、その存在意義を没却するものである。政府は、この点に留意し、参院の構成は、知識経験ある者が議員となるに容易なるよう考慮すべきである。


 
 
 
 
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