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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1994/11/03 読売新聞朝刊
憲法改正試案のポイント
 
◇前文◇
◆目標、理念を簡素化
 前文の基本原理、国民主権主義と議会制民主主義、基本的人権の尊重、平和主義と国際協調主義は今後も定着、発展させていくべきである。しかし、その反面、前文の表現や、盛り込まれている内容には、さまざまな批判が存在する。
 したがってわれわれは前文を新たに書き改めた。これまでの基本原理を再確認する一方で、二十一世紀に向けた新しい憲法がめざすべき目標や理念、平和や国際協力への積極的な努力、わが国の歴史などにも言及しながら、文章を簡潔にするべきだと考えた。
 新しい前文は五つの項目から成り立っている。第一は、国民主権主義である。この国の主人公が国民であること、国民自らが国家の意思を決定するという主権在民の原則からも、冒頭に掲げるべきだろう。
 第二は、平和主義と国際協調主義を、現行憲法の前文の表現を圧縮して記述している。第三として「基本的人権の尊重」とともに「自由で活力ある社会」「福祉の増進」という三つの要素を盛り込んだ。
 さらに、わが国の民族の長い歴史と伝統を受け継ぎ、美しい国土や文化的遺産を守ること、文化、学術の向上を図ることを書き入れた。
 なお、憲法が国の最高法規であるという規定(第九十八条)と、公務員などに憲法の尊重擁護義務があるという規定(第九十九条)を一本化し、最後の第五項目に置いた。
 こうした簡素化によって、長さは従来の前文のほぼ半分に圧縮している。
 
〈第一章〉国民主権
◆基本原理を明確に
 現行憲法は、前文冒頭の文節で、「ここに主権が国民に存することを宣言」とし、さらに、これを「人類普遍の原理」とうたっている。第一章に「国民主権」を置くことにより、こうした現行憲法の基本原理を、条文上も明確にした。
 第一条では、その国民主権の原理を、簡潔に条文化した。また、現行前文は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と、代議制民主主義の原則を表す文章から始まっている。第二条では、この表現を生かしながら、国民主権の具体的態様としての代議制民主主義の原則を明記した。
 「及び憲法改正のための国民投票によって」としたのは、憲法改正の際における国民投票も、主権行使そのものであるとの考え方に立って加えたものである。
 国政における代議制民主主義の例外的態様であり、いわゆる政策国民投票は想定していない。
 第三条は、第一章に「国民主権」を置くこの憲法改正試案の構成上、現行憲法第三章「国民の権利及び義務」(基本的人権)の冒頭にある「日本国民要件」条項(現行第十条)を、そのまま移した。
 
〈第二章〉天皇
◆伝統的象徴性に着目
 現代の天皇、皇室は、長い歴史の中で、変わることのない皇統を維持してきた。その存在は、文化的、社会的であり、その伝統的な象徴性に着目すべきである。
 天皇条章の改正作業では、こうした観点のもとに、象徴天皇をさらに明確化することに重点をおいた。二十一世紀にむけた天皇、皇室のあり方については、親しみはあるが、ある種の威厳も持つ、との考え方に立っている。
 改正点は、〈1〉第一条の国民主権と、象徴天皇を分離した〈2〉「天皇の権能の限界」を明確にするため、同条項を「国事行為に対する内閣の助言と承認」の前に規定した〈3〉衆院の解散、国会の召集など、国政に関連があるとみなされる余地のある国事行為をさらに形式化した〈4〉対外関係に限定して、名目的な元首性をもたせた――である。
 その他は、現行八十八条と重複する現行八条(皇室の財産授受)の削除及び条文の若干の整理と他章の改正に関連した手直しである。
 現行第一条は、象徴天皇の地位を国民が認める形で、その国民主権を表現している。現行憲法に「国民主権」と「象徴天皇」が採用された画期的な意味合いが十分反映された文章になっていない。
 こうした点を整理するため、現行第一条のうち、普遍的原理である国民主権を第一章に、国民主権と調和して定着している象徴天皇を引き続き第二章に、それぞれ分離、独立させて置いた。
 現行第七条の天皇の国事行為はすべて形式的なものである。しかし、国会召集、衆院解散は、政治絡みになる要素も指摘されている。
 栄典の授与まで含め、これらを内閣の権限として改正(内閣の章参照)し、国事行為として、さらに明確に形式化した。
 天皇は、憲法上、元首ではない、という解釈が通説である。反面、最近では、実質的な権限の有無は、あまり元首の資格として重視されなくなっている。
 天皇は、象徴という公人として、儀礼的ではあるが「国を代表する」形で、対外的な国事行為を行っている。改正試案では、対外関係に限定して、名目的ではあるが、元首的性格がある一面を認めた。
 
〈第三章〉安全保障
◆不戦の精神受け継ぐ
 現行憲法の「第二章・戦争の放棄」は、改正試案では、「第三章・安全保障」「第四章・国際協力」の二つの章となる。条数も、現行憲法では第九条だけだが、五条に増やした。国の安全にかかわる基本部分であるからだ。
 「第三章・安全保障」の、第一のポイントは、現行憲法の第九条第一項を、一部、表現を変えただけで、基本的には踏襲したこと。「侵略戦争」を否定するというパリ不戦条約(一九二八年)の精神を受け継ぐ意思を示すためだ。
 その一方で問題になっていた第九条第二項を廃止し、代わりに第十一条で、自衛のための組織の保持を明確にした。
 現行憲法では、第九条第二項の冒頭にある「前項の目的を達するため」が、侵略戦争か、あるいは、自衛戦争をも含む広く戦争全体の否定を指すのか、が必ずしも明確でなく、結果的に、自衛力の保持さえもが禁じられている、との解釈を生む原因となった。
 この点、改正試案は、自衛のための組織の保持を明文化。これにより、わが国が個別的、集団的両自衛権を保持していることが、より一層、明確になろう。
 改正試案第三章の特徴は、このように自衛権の存在を真正面から見据える一方で、いわゆる「歯止め」としてこれに厳しい規制、制限を加えていることだ。
 その第一は、第十条第二項の非人道的な無差別大量殺傷兵器の製造、保有、使用の禁止。世界的に見ても類似の規定は、フィリピンやコロンビアなどの憲法にある程度だ。
 第二は、第十一条第二項で、首相を頂点とする文民統制――いわゆる「シビリアン・コントロール」を明記したこと。
 現行憲法では、第六十六条第二項で、内閣総理大臣は「文民」であること、また、自衛隊法第七条で、内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮権を有すること――などを明示して、文民統制を確保してきたが、これを、憲法上でも明瞭(めいりょう)にした。
 そして、もう一つが、改正試案第十一条第三項の徴兵制の導入禁止だ。
 徴兵制については、現行憲法の下でも、第十三条の「個人の尊厳」や第十八条の「意に反する苦役の禁止」などにより、その導入は好ましくないというのが、学界などでも大勢と言える。改正試案では、軍事大国化への“歯止め”の一つとしての「徴兵制の復活阻止」を重視する立場からも、あえて、その明文化を図ることになった。
 
〈第四章〉国際協力
◆「人類の災禍」を除去
 「第四章・国際協力」は、現行憲法でも、その前文などに、その考え方がちりばめられていたとはいえ、冷戦終結という新たな世界情勢の展開の中で、日本として、自らの役割を果たすことへの新たな決意を示すために、創設した。
 まず、その理念を明記したのが第十二条。日本が今後、国として、国際協力に最善を尽くす覚悟であることを打ち出すとともに、その対象は、単に軍事的なものに限定されず、自然災害から環境破壊、経済的な欠乏、さらには、難民発生などにも直結しかねない地域的な無秩序に至るまでの、あらゆる「人類の災禍」の除去であることを、国の内外に宣言する。
 第十三条は、日本の国際協力の形として、基本的には「確立された国際的機構」による活動への協力――という枠内で実施されること、また、これらに対し、「必要」と判断した際には、公務員、場合によつては、自衛のための組織を提供する用意があることを打ち出した。
 「確立された国際的機構」とは、当面、国際連合が念頭にある。しかし、将来、国連が大きく形を変えるだけでなく、アジアにおける地域的な機構が創設されるなどの可能性もあり、情勢に対応しながら、国民の論議の中で、日本の役割が決められていくことを想定している。
 第十四条の「国際法規の遵守」は、現行憲法では、第九十八条に位置している。しかし、試案では、日本が今後、積極的に進めていく国際協力は、自らがその構成員でもある国際秩序の維持を目的とすることを強調するため、第四章に位置付けた。
 
〈第五章〉国民の権利及び義務
◆プライバシーを明記
 試案十五―十七条(現行十一―十三条)の一部変更は、いずれもマッカーサー草案直訳調の表現を改めたもので、権利内容に変更はない。
 試案第十八条(法の下の平等)で、栄誉、勲章に関連して、経済的特権を条件付きで例外的に認めたのは、現実に、文化勲章受章者は、文化功労者年金という形で経済的特権を受けていることから、その実態を追認したものである。
 「その他の経済的利益」とは、たとえば一時金などを想定している。
 試案第十九条(人格権)は、新たに創設した条項である。
 人格権には、〈1〉肉体的側面(生命、身体、自由など)〈2〉精神的側面(名誉、プライバシーなど)〈3〉経済的側面(信用、営業など)があるとされる。
 生命、身体、自由等は「個人の尊厳」ほかの条項でも言及されていることから、第一項は、精神的側面としての名誉、経済的側面としての信用を例示したうえで、多様な権利内容を「その他人格」として保障する形しとた。
 第二項では、いわゆるプライバシーの権利保障を明記した。これは、第一項の精神的側面を補完した形である。これに伴い、現行第二十一条第二項から「通信の秘密」部分を移して、第三項とした。
 試案第二十一条(現行第二十条)の信教の自由に関する変更は、条文上の混乱を整理し、また、現行八十九条から私学助成を禁じる部分を削除してここに移したものである。
 言論・出版の自由と、集会・結社の自由を分けたのは、権利の性質に違いがあるとの、比較憲法上の通説に従った。
 試案第二十八条、「環境権」条項も新設である。
 現行憲法下における環境権については、第二十五条の生存権の一環をなすとする説、第十三条の幸福追求権と第二十五条との複合説などがあるが、憲法上の権利明記により、立法政策、法運用にも影響が生じることになろう。
 また、現行第二十二条(居住、移転、職業選択の自由等)は「居住、移転」が人身の自由に分類されるのに対し、「職業選択の自由」は経済的自由に分類されるのが一般的である。そこで、この条文から「職業選択の自由」を分離し、「営業の自由」を加えて、現行二十九条(財産権)の前に、独立条文(試案第三十二条)として置いた。
 刑事人権保障諸条項のうち、「権限を有する司法官憲」は検察官を含むと解されかねないため「裁判官」と変えた。その他の条項の変更部分は、翻訳調表現を改めたものである。
 現行憲法は、第十三条に個人の尊厳、十四条に法の下の平等がうたわれたあと、公務員規定等をはさんで、再び個人の尊厳関連条項が並ぶ形になっている。そうした構成上の不自然さを解消するため、現行第十五―十七条は、一括して本章末尾に移した。
 また、日本語の「公務員」は「官僚」的語感が強いので「国会議員、地方公共団体の長及びその議会の議員その他の」を加える形をとった。
 
〈第六章〉国会
◆二院制の味生かす
 二院制を維持する場合、その持ち味をどう生かすか、が最大の焦点になる。
 現行憲法が規定する衆参両院の役割、権限、そして現行の選挙制度の枠組みの中では、参院が独自色を発揮し、参院に期待される衆院の補完、均衡、抑制の責任を十分に果たすことは困難だろう。
 いまだに参院改革論が叫ばれ、その一方で参院無用論が有識者の間に根強いことがそれを証明している。
 つまり、役割の分担、権能の違いを大胆に衆参両院の間で割り振らない限り、参院は存在する理由を失ってしまうのではないか。
 この疑問への回答が、改正試案に盛り込まれた条約と人事案件の参院先議および議決の優位である。
 現憲法は、基本的に衆院優位の原則が確立されている。予算案の審議・議決、首相の指名、条約や法律案の議決の際の衆院の優越を見れば明らかである。
 これでは、いつまでたっても参院は、「第二院」として衆院審議の後追いから脱却できまい。
 党派性を超えた客観的、大局的、長期的観点からの判断が求められる条約や人事案件は、思い切って参院に審議・議決の優越権を与える。そうすれば参院もその役割と責任の重要性を認識し、権威を高めることができるはずである。
 もう一点、新設される憲法裁判所の長官と裁判官の指名権を参院に与えたのも同様に、参院に司法への監視機能を付与することによって、参院の強化と活性化を図る狙いからである。
 現状の参院の実態から想定すると、はたして参院が新しい責務にふさわしい能力と見識を有する立法府の一翼であるかどうか疑問が残るのも確かだ。
 しかし、参院選挙制度の抜本的改革を前提にすれば、参院を活性化し、その結果として二院制の長所を引き出すことは可能である。
 日本の政治の質を高めるためにも、参院改革は不可欠なのだ。
 
〈第七章〉内閣
◆首相に強い権限を付与
 首相が内閣の代表であることについては、現行憲法でも「首長たる内閣総理大臣」と規定しているが、代表性をより強調するため、「内閣を代表し、国務大臣を統率する」との一項を設けた。
 さらに、行政各部に対する首相の統括権・指揮監督権を明確にするため、「行政各部を統括する」との一条を新たに立てた。これらはいずれも、首相のリーダーシップ強化策の一環だ。
 衆院の解散は、内閣不信任決議案可決などの場合にしかできない(六十九条解散説)との主張があり、違憲訴訟が起こされたこともあった。
 しかし、内閣に解散権があることは事実上も憲法解釈上も明白になっており、「内閣は、衆議院を解散することができる」と明文化した。
 内閣による解散権の乱用の防止措置を講ずべきだとの考えもあるが、解散制度の妙味や政治のダイナミズムを生かす立場から、乱用防止規定は入れなかった。
 現行憲法は、首相が死亡した場合など「欠けたとき」に「内閣は、総辞職をしなければならない」と定めているだけで、新たな首相が選ばれるまでどうするのかの規定がない。
 このため、あらかじめ臨時代理を指定し、首相の欠けたときには臨時代理が首相の職務を行うことを明記した。
 内閣に法律案提出権や国会召集権があることについても、首相の職務や内閣の職務に関する規定の中で明確にした。
 このほか、国民が直接首相を選ぶ首相公選制の是非、戦争や内乱、大規模災害など緊急事態への対応、さらには政党に関する規定を憲法に盛り込むかどうかなども検討した。
 しかし、現時点での盛り込みには問題点が多く、引き続き検討を重ねることとした。
 
〈第八章〉司法
◆一般事件も処理速く
 憲法裁判所は、通常裁判所である最高裁や下級裁判所の系列とは独立している。だが、ともに司法権を構成し、憲法裁判所が司法を代表する機関となる。下級裁判所の組織は法律で定め、高裁、地裁、家裁、簡裁の現行通りとする。
 憲法裁判所は、法令について、違憲立法審査権を行使して、合違憲の解釈を確定させることがてきる、一審かつ終審の裁判所だ。「条約」も審査される。
 憲法裁判所は、抽象的審査、具体的審査、異議申し立ての三つの審査を行う。
 憲法裁判所の違憲判決は、訴訟の当事者だけでなく、すべての国などの機関を拘束する。原則として将来に向かって効力がある。しかし、刑事事件の有罪確定者を救済するなど、効力を過去にさかのぼらせる必要がある場合は、法律で特別に認めることは可能だ。
 憲法裁判所は、長官を含む九人の裁判官で構成。すべて参議院の指名で決まる。長官は天皇が、他の八人は内閣が、任命する。任期は八年で再任がなく、定年(法律事項)は七十歳。
 裁判官の選任のシステムは法律で定めるが、一例として、参議院議長のもとに有識者で組織する「憲法裁判所裁判官専任委員会」を置き、候補者を法務委員会に推薦。同委員会で審議したうえ、参議院本会議で三分の二の特別多数で指名する方式が考えられる。
 新たな最高裁と下級裁判所は、憲法問題以外について一般の民事・刑事事件を審理し、最高裁が三審制の頂点に立つ上告裁判所となる。
 最高裁の裁判官の数は、法律で定めるが、現行より増員して三十人とし、一般の民事・刑事事件の迅速処理を図る。長官は、参議院の同意で内閣が指名し、天皇が任命。他の裁判官は、内閣が任命する。任期は五年で、再任できる。定年(法律事項)は六十五歳。
 三十人は、五人で構成する六つの小法廷に所属し、民事と刑事の二部に分かれる。判例を変更する時は、各部の共同部で審理する。
 下級裁判所の裁判官の任期・定年などは、現行通りとする。
 裁判の公開をめぐっては、非公開にできる要件として、「私生活の利益を害するおそれ」を加えた。家庭事件などプライバシーが絡む訴訟への配慮である。
 このほか、現行の裁判官の独立と身分保障の規定を合体。規則制定権、特別裁判所の禁止の規定で、表現の手直しなどをした。
 
〈第九章〉財政
◆教育への支出に配慮
 現行憲法第八十三条(財政処理の基本原則)について、主語を明確にし、健全財政の維持・運営についての精神規定を新たに盛り込んだ。また、従来から問題にされてきた第八十九条(公の財産の支出又は利用の制限)は、とりわけ私学に対する公金支出の禁止規定があまりにも現実から懸け離れているため、大幅に改正した。
 すべての国民は教育を受ける権利を保障されているが、これは私学の存在を抜きには実現できない。このため、改正試案では、該当部分を削除した。
 ただ、前段の宗教に対する公金支出の禁止に関しては、「政教分離」の立場からそのまま残した。
 その上で、改正条文を改正試案第二十一条(現行憲法第二十条・信教の自由)に移した。
 このほか、予算は原則として一会計年度ごとに成立するものだが、防衛関係の艦艇建造費などのように数年間にわたって継続的に予算を執行しなければならないケースもある。財政法第十四条で継続費の規定があるが、改正試案では、これを明文化した。
 
〈第十章〉地方自治
◆自治権尊重はっきり
 民主社会に生きる市民としての自覚と公共精神を養うには、地方自治の章は地味ながら重要である。
 戦前は地方自治という欧米的発想がもともとなかった。それだけに「吏員の選挙」や地方自治特別法など実態にそぐわない規制が現行憲法に盛り込まれている。骨格を生かしつつ基本理念をさらに発展させるため、一部を削除、修正した。
 まず意味が不明、解釈が分かれると批判されてきた「地方自治の本旨」を「自治権の尊重」と改めた。本旨とは指導原理をうたっていると理解できるがあまりに抽象的であり、具体的な事例をとらえて法律が自治の本旨を冒しているかどうかの判断基準となりえない不満があった。
 それを自治権とすることで、国家が自治体に認めるべき自治領域のすべてを指すことを明確にした。これにより地域のきめ細かい仕事について、住民と自治体のより高い自覚と責任が期待できる。
 条例制定権については、中央省庁がむやみにクレームをつけないよう条文に柔軟性を持たせた。
 
〈第十一章〉改正
◆ハードルをやや低く
 改正を極端に困難にすれば、憲法の現実の社会情勢にそぐわなくなる。最高法規である以上、改正は、通常の法律の改正手続きより厳しくなければならないが、試案では、今後の時代の変化に対応できるよう、改正のハードルをやや低くした。
 まず、各議院の在籍議員の三分の二以上の出席で、出席議員の三分の二以上の賛成があれば、改正案は可決、成立するとした。その場合、国民投票は行われない。国民投票が行われるのは、賛成が三分の二には満たなかったが過半数は得たときに限定した。
 国民の選んだ代表である議員の三分の二の多数の賛成が得られれば、国民のコンセンサスが成ったと見るのが妥当だろう。外国でも同じ考えに立つ例が多い。
 現行憲法では、各議院の「総議員」が定数か、現に在籍する議員か不明確だが、試案では在籍議員と明記し、混乱を避けた。
 なお、国民投票の実施方法は、法律で定める。


 
 
 
 
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