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1994/03/31 読売新聞朝刊
憲法改正派が44% 2年連続で多数占める/読売新聞社世論調査
 
◆「国際貢献など対応」
 読売新聞社は十九、二十の両日、全国世論調査を実施し、憲法に関する国民の意識を探った。憲法が、戦後これまで果たしてきた役割を、国民の八割が評価。しかし同時に、今の憲法を「改正する方がよい」とする改正派は44%で、「改正しない方がよい」との非改正派40%を上回った。改正派は、昨年より6ポイント減ったが、二年続けて多数となった。
 改正の理由は、「国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから」が昨年より増え、六割を超えた。昨年調査時に比べ、国際貢献・憲法論議が沈静化している今回も、改正派が非改正派を上回ったことは、憲法改正論が着実に国民の間に広がっていることを示しているといえるだろう。
 本社は八一年から定期的に憲法に関する意識調査を実施。八一年は改正派28%、非改正派44%、八六年は23%、57%、九一年は33%、51%と、非改正派多数が続いた。
 昨年はカンボジアの国連平和維持活動(PKO)への自衛隊派遣などをめぐる活発な憲法論議を背景に、改正派50%、非改正派33%と初めて改正派が逆転、しかも五割を超えた。
 今回は、昨年に比べ改正派は減り、その分、非改正派が増えた。昨年七月の総選挙以来、憲法論議は下火になっており、それが国民の関心を薄めたと見られる。
 改正派は、男性、二十―四十歳代の戦後世代、高学歴者、サラリーマンなどで多く、非改正派は女性、六十歳以上の高齢者、自営業などに多い。
 「改正する方がよい」理由は、〈1〉国際貢献など新たな問題が生じている(62%)〈2〉憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱する〈3〉アメリカに押しつけられた憲法――など。
 「改正しない方がよい」理由は〈1〉すでに定着している(54%)〈2〉世界に誇る平和憲法〈3〉基本的人権、民主主義が保障されている――などの順。
 一方、戦後これまで憲法が果たしてきた役割を、全体として「評価する」は80%、「評価しない」は13%。戦後の五十年間に、憲法の規定で実現されていると思うものは、〈1〉「戦争を放棄し平和を守っている」「天皇が象徴として身近な存在になった」(各42%)〈3〉「基本的人権が守られている」(30%)など。


 
 
 
 
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