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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2001/09/17 毎日新聞朝刊
[クローズアップ2001]激震・米中枢テロ(その2止) 「法的根拠」探す日本
 
◇周辺事態法、適用も検討
 同時多発テロへの米国の報復準備が進む中、政府内では日本としてどんな貢献、支援が可能か検討作業が続いている。同時に、日本国内の米軍施設がテロの対象になった場合の対応策の議論も避けて通れなくなった。いずれも日本の安全保障政策の根幹にかかわる問題だが、130億ドルも拠出しながら「血も汗も流さない」と批判された湾岸戦争の二の舞いは何としても避けたいというのが政府・与党の基本方針だ。ただ、そうした焦りが拙速な法改正論議や安易な拡大解釈を生み出しやすくもなっている。【平田崇浩、上野央絵】
 
◇憲法解釈、変更難しく
■集団的自衛権
 報復攻撃の主体は、米軍単独と国連安保理決議を背景にした湾岸戦争型の多国籍軍の両方が考えられる。日本が関与する際は、その法的根拠が最大のネックになる。
 論点の一つは、日米安保条約によって同盟関係にある米国への攻撃を自国への攻撃とみなす「集団的自衛権」の行使という形をとった対米支援の是非だ。北大西洋条約機構(NATO)は既に、要請があれば集団的自衛権を発動して米国と共同で報復攻撃に参加する方針を表明している。
 しかし、もともと集団的自衛権を明文化しているNATOと日米安保条約は性格が異なる。日本政府は従来、集団的自衛権について、国連憲章51条などを根拠に「権利はあるが憲法9条によって行使できない」との解釈を示しており、外務省幹部も「集団的自衛権の行使はない」と話す。
 小泉純一郎首相は就任以来、憲法解釈の変更によって行使が可能かどうか研究してみる必要がある、と述べている。福田康夫官房長官も憲法解釈の変更について「与党の意見などを聞く」と含みを持たせた。しかし、自民党の山崎拓幹事長は集団的自衛権の行使を可能にするためには憲法改正が必要だと主張しており、解釈変更は政治的には困難だとみられている。
 
◇避けられぬ政治決断
■支援の可能性
 そこで自衛隊の対米支援の根拠に政府・与党内で浮上しているのが、日米防衛指針(ガイドライン)に基づく周辺事態法の拡大解釈だ。
 安倍晋三官房副長官は16日、フジテレビの番組で「周辺事態法での『周辺』は地理的概念ではないというのが政府の立場。戦闘地域と一線を画す場所であれば(武器・弾薬以外のものは)輸送できる。その概念にはまるかどうか議論していかなければならない」と述べ、慎重な言い回しながらも、米軍の報復攻撃の支援に周辺事態法の適用を検討する必要があるとの考えを明らかにした。
 同法は「わが国周辺の地域におけるわが国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」が起きた場合には、米軍に武器・弾薬を除く物資の補給や輸送、傷病者の治療、在日米軍施設の警備などの「後方地域支援」ができる、と定めている。多数の日本人も犠牲になった今回の同時テロに対する報復攻撃によって、在日米軍基地も攻撃対象になる可能性もあることなどから、拡大解釈で周辺事態と認定することもできる、という考え方だ。
 だが、98年5月の国会審議では当時の高野紀元・外務省北米局長が周辺事態の範囲について「概念的には極東と極東周辺を超えることはない」と答弁。99年1月にも小渕恵三首相(当時)が「周辺地域は日本の周辺地域と限定している」と発言しており、これらが常識的な判断になる。
 今回は米本土で発生したテロであり、かつ報復攻撃の場所がアフガニスタンとなると、周辺事態と認定するのは極めて困難。拡大解釈には野党の反発も予想される。
 一方、もし国連軍が創設されれば、すべての国連加盟国による平和の創出という「集団安全保障」機能が働くことになる。山崎幹事長も「国連活動になるかどうかが今後の協力の分岐点」(15日、テレビ東京の番組)と、国連軍を念頭に置いて貢献策を探る発言をしたが、現実には難しいとみられる。実際の支援には高度な政治決断が必要になっている。
 
◇拙速論議の恐れ
■国内テロ対策
 今回のようなテロは日本でも起きうるとして、防衛庁内部では、ハイジャックされた民間機が米軍基地などに突入しそうな場合にミサイルで撃墜することの是非が一時検討された。しかし、民間機への武力攻撃は事実上不可能として結論は出なかった。
 自衛隊出動の法的根拠は、日本が外国から武力攻撃を受けた場合の「防衛出動」と、大規模デモや暴動を想定した「治安出動」。同時多発テロを想定した包括的な法律はなく、「強いて言えば治安出動の領域」(防衛庁幹部)とされている。
 このため政府は、不審船や武装ゲリラの侵入を防ぐための船体射撃などを可能にする自衛隊法改正案などを27日からの臨時国会に提出する。
 一方、今回の事件を契機に国内の米軍施設を自衛隊が警備できるよう法改正すべきだとの議論も生まれた。現行法では自衛隊が自らの施設以外を警備する権限はなく、防衛庁はテロの発生直後、日米共同使用の5米軍基地に限り、日本の使用区域の警備強化という解釈で全体の警備を強化した。与党は、米軍基地の警備も可能にする自衛隊法改正案も臨時国会に提出する検討を始めた。しかし、政府内でも拙速を戒める声が出ている。
 
◇「物資輸送面で支援を」食糧、医薬品など想定−−麻生氏
 自民党の麻生太郎政調会長は16日、民放テレビの討論番組で、米国が同時多発テロへの報復攻撃に出た場合の日本の貢献策について「ロジスティックス(兵たん)が一番大事だ」と述べ、武器や弾薬を除き、食糧や医薬品、燃料などの物資輸送面で支援すべきだとの考えを強調した。
 麻生氏は、アフガニスタンへの軍事行動の際にはインド洋上の米軍基地が物資補給の要衝になると指摘。「そこまで確実に物資を輸送できる一番近い(米軍)基地は沖縄だ。(日本のように)大量の物資輸送ができる国はものすごく頼りになると思う」と述べた。
 
◇「戦争」ならば参加できない−−土井党首
 社民党の土井たか子党首は16日、党全国幹事長・選対責任者合同会議であいさつし、米国の同時多発テロについて「報復は新たな報復を呼ぶ。(米当局から)戦争という言葉が出るなら、わが国は参加も協力もできない」と強調。「国際協力による外交、平和的手段が大事だ」と外交努力による解決策を求めた。


 
 
 
 
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