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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1996/11/03 毎日新聞朝刊
[特集]憲法公布50年 社説再録/2 1946年〜1967年
 
◆憲法公布−−46.11.3
 けふ、昭和21年11月3日は日本国民にとって永く記念せらるべき日となった。平和な文化国家を目指す新日本の基盤たる新憲法はこの日を期して天下に公布せられ、6カ月後の来春5月から施行されることに確定したのである。・・・この革命的内容を有する新憲法の施行を前にして国民が真剣に考ふべきことは、国民がいかにすればこの新憲法の規定に適合し得るかの問題である。由来法律は如何(いか)に完璧(かんぺき)であっても、これが遵守(じゅんしゅ)されねばおよそ意味がない。世界の歴史は過去において実施せられなかった幾多の憲法や法律を残している。結局この画期的な民主憲法を生かすも殺すも8000万国民の責任なのである。……全国民はこの日を期して厳粛に過去の非違を反省し、新憲法に基づく新日本のあり方について深甚なる考慮を払ふべきである。
 
◆警察予備隊−−50.8.9
 警察予備隊はいよいよこの15日ごろ第1次の募集をするということであるが、その組織、機能は相当強力なものと予想されており、近ごろは、この警察予備隊は日本軍隊再建の萌芽(ほうが)となるのではないかという流説がしきりである。わが国は憲法第9条第2項で「陸海空軍その他の戦力」を保持しないことを誓ったのであるから、もし今回生まれる警察予備隊が軍隊と似たるものになるとすれば、似て非なる理由を十分に明らかにしておかなければならぬ。・・・わが国は、戦争を否定するがゆえに再軍備をも否定するのである。しかるに現実の上では、治安の維持は国際的視野にまで発展せざるを得ない情勢にあり、それに伴って、警察力は戦力にまで拡大されるおそれをも感じさせるというのが昨今の実情である。……わが国民が憲法と現実の間に徒(いたず)らにさまよう如(ごと)きは、どんな方角からみても看過できないことだといわなければならない。
 ◇メモ=警察予備隊
 占領軍の命令で50年8月10日、突然に警察予備隊が設置された。「警察力を補うため」とされたが、実質的には冷戦をにらんだ軍隊の復活に等しく国民を困惑させた。警察予備隊は52年10月に保安隊に改編され、54年7月、自衛隊となった。
 
◆破防法−−52.7.4
 破防法ぐらい論議の対象になった法案は近年めずらしい。世論がわいたことは普選法、治安維持法の制定当時に比すとも劣らないものがあった。労組の多数がストをもって数回抗議し、学界も言論界もほとんど反対した。たとえかかる立法の必要性を認めるものといえども、法の内容と運営について不満と不安を述べ、根本的な修正を要望する声がみなぎっていたのであるから、これを成立させることになった国会はもちろんのこと、今後この破防法の運営に当たる政府の責任は極めて重大である。・・・正直にいって、我々はかかる治安立法の制定を心から悲しむものである。・・・政府がなにが故に近年にない猛烈な反対が国民の間に起こったかについて十分反省し、今後の法の運用について、いささかも乱用のそしりを招くがごときことのないよう要望してやまない。
 ◇メモ=破防法
 内乱などの目的で教唆・扇動する団体を取り締まろうとする法律。思想の自由を侵す危険性が大きいとして反対運動が巻き起こった。しかし、52年5月の血のメーデー事件を一つのテコにして、同法は同7月国会を通過、成立した。現在、オウム真理教が審査対象になっている。
 
◆自衛隊発足−−54.6.3
 今国会の重要議題であった防衛2法案が、国会の再々延長で参議院を通過し、ここにMSA協定承認とこれに密接な関係にある防衛法案が成立した。・・・参議院は、2日の本会議で海外派兵禁止を決議した。この決議には与党である自由党もこれに参加し、ほとんど全会一致でなされたことを、我々は大いに注目する。MSA協定から直ちにわが国の海外派兵という事態が生まれないことは、政府の答弁をまつまでもない。保安隊が自衛隊と改まり、間接侵略から国家を守るとしたものが直接侵略に対処するものにかわっても、憲法のどこをさがしても海外派兵などありうべきものではないのである。それにもかかわらず、参議院が防衛2法案の議決についての付帯決議として、これを行ったことは、国会議員として海外派兵禁止の問題をいかに慎重に考えているかを物語るものである。
 
◆砂川判決−−59.4.1
 この判決は米軍が日本に駐留することは憲法違反だという。その理由は米軍が駐留することが日本を戦争にまきこむ恐れがあるのであって、それは平和憲法の精神に反するというのである。我々も外国の軍隊がよその国に駐留することが、好ましいことだとは考えない。しかし現在のような険悪な国際情勢の下にあっては、外国の軍隊の駐留によって平和が維持されている場合も少なくない。これは法律解釈というよりも、世界平和を守るための手段についての認識の問題である。・・・判決はまた政策論で憲法が左右されることを戒めている。この点は我々も認めるのはやぶさかではない。・・・政府・与党は現実に即応するという「政策論」で、どんどん既成事実を積み上げて今日にいたっている。そういう現実と法律の間のギャップが次第に大きくなりつつあることは否定できないのであって、この判決はそのギャップを突いている。
 ◇メモ=砂川判決
 立川米軍基地拡張をめぐる裁判は、基地闘争の天王山といわれた。59年3月30日、東京地裁は米軍駐留は違憲と判決、政府に衝撃を与えた。しかし同12月16日、最高裁は安保条約は高度の政治性を有し、司法裁判所の審査になじまないと原判決を破棄した。
 
◆浅沼暗殺−−60.10.14
 こんどの事件は本質的にいって、言論による民主政治を否認する思想に通ずる。凶行は白昼公開の演説会場で、しかも発言中の政党首領に対して演じられたものである。言論の自由もなにもあったものではない。真向からそれを否認する行動である。・・・こんどのテロは突発的なようであるが、そのよって来る病根は深い。かつては政治犯や国事犯などといって、政治テロを特別扱いするきらいがあった。右翼の暴力が政治的に利用されやすいのは、こうした伝統によっているといえないだろうか。・・・さきごろの新安保闘争の騒ぎは大いに右翼をうるおしたといううわさだ。また政界の大物の周辺にも右翼がいろいろの形で、関係をもっていることはいまでは常識のようになっている。政局不安定、総選挙と、なにかあれば大きな金がうごき行動右翼を活発にしている実情のようだ。行動右翼は動けば金になるという。・・・行動右翼を撲滅するのは資金源を絶つのが第一である。
 
◆憲法調査会−−64.7.3
 保守、革新両陣営ともに、立場の相違こそあれ、現行憲法が終局的には、それぞれの政治的目標の達成にとって一つの障害を感じているのは明らかといえよう。このことは、現行憲法が、わが国の政治の秩序ある前進を確保するための一つの安全弁的意義を期待させるものともいえる。憲法は、政党その他の政治勢力の野望を満たすための道具に使われてはならない。・・・ただ一つ、ここで考えねばならぬのは、法と常識との関係ということである。近代社会にあっては、法が常識と断絶することは、生きた法の実現のために、致命的とされている。・・・もっとも、常識といっても、それ自体まことに不安定なものである。そこで、必要なのは憲法解釈、運用における信頼の確立ということである。そして、その重要役割を担うのが、最高裁判所である。
 ◇メモ=憲法調査会
 保守陣営に憲法改正論が高まり、内閣に憲法調査会が設置された。57年8月にスタートしたが、革新陣営はボイコットしたまま同調査会は64年7月報告書をまとめた。一方、革新的学者グループは調査会に対抗すべく「憲法問題研究会」を発足させ、護憲の立場から論陣をはった。
 
◆朝日訴訟−−67.5.25
 今回の最高裁の判決は、一般国民からみても、いちおう常識的なものと思われるが、しかし、朝日訴訟の意義なり、それが提起した問題は、きわめて重要といえるであろう。なぜなら、訴訟に敗れたとはいえ「健康で文化的な最低限度の生活」を守るべき生活保護基準が不当に低いことが、最高裁によって確認され、これによって、政府は、保護基準の引き上げに、さらに一段の努力をしなければならぬ、よりきびしい政治的、道義的義務を負わされたからである。……朝日訴訟の終末に当たって、健康で文化的な最低限度の生活とはなんであるかを、政府は改めて真剣に考える必要がある。そして、憲法の目ざす理想に向かって、生活保護制度はもちろん、社会保障、社会福祉のすべての分野にわたって、貧困への戦いを、さらに積極的に進めるよう強く望むものである。
 ◇メモ=朝日訴訟
 朝日茂さんが生活保護をめぐって訴えた裁判。東京地裁では勝訴したが、第2審で敗れ、最高裁は本人死亡をもって訴訟終了を宣した。憲法にいう「健康で文化的な最低限度の生活」の認定判断は政府にあるとしながらも、低い保護基準にも注意を喚起した。


 
 
 
 
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