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3 中型好気発酵処理装置による油分分解実験
(1)実験の方法
 VII−2の2(1)に示す好気発酵装置に必要条件〔1〕〜〔4〕を満たし、より大きな規模で安定した条件で微生物活動が行えると思われる中型好気発酵処理装置による油分分解実験を行った。使用した機材は、産業用生ゴミ処理装置(エコアップ製つちカエルT−25S)で、C重油0.6kgを杉樹皮製油吸着材(マット型15×15cm)8枚に吸着させたものを堆肥原料とともに投入し、サンプル全体で12kg(油分濃度50000ppm)とした。用いた堆肥原料や油の性状はVII−2の2で用いたものと同じである。
 装置は垂直軸から伸びる3本の攪拌バーを持ち、最下部のものからは空気が供給され好気活動を活性化させる構造になっている。回転頻度は1回転/分である。
 実験期間は、平成15年11月11日〜平成16年1月6日である。
 
(2)実験の結果および考察
 
写真−VII.2.4
産業用生ゴミ処理装置(エコアップ製つちカエルT−25S)
 
写真−VII.2.5 吸油後の杉樹皮製油吸着材(マット型15×15cm)
 
写真−VII.2.6 油吸着材投入後の槽内
 
 残留油分の推移を図−VII.2.2に示す。この実験は、C重油を杉樹皮製油吸着材に吸油させた後に分解槽に投入するいわば実用上で想定される形式に近いものである。このため、吸着材の形が残っている間は槽内の油分濃度が一定になり得ないため、開始直後の油分は測定していない(理論上は50000ppm)。従って、1週経過時の油分10000ppmを基準に考えることになるが、2〜8週はいずれも5000ppm以下のレベルに保たれており、油分濃度は減少している。また、生菌数については実験期間を通じて、高いレベルに保たれている。
 
図−VII.2.2 残留油分の推移
 
図−VII.2.3 生菌数の推移







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