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6 実用散布高度性能試験(S−7)の評価
 実用散布高度性能試験(S−7)の結果から航空機用農薬散布装置Simplex 4900を自己攪拌型油分散剤散布装置として使用する際の性能を評価する。
(1)ノズル
イ. カタログ値
ノズルの種類 型式 スプレー角度(度) 流量(l/分)
フラットスプレーノズル TP6520−SS 65(@0.3MPa) 7.9(@0.3MPa)
 
ロ. 試験結果(S−7)
吐出圧(MPa) 吐出量
(l/min)
全散布幅(mm)
根元 先端 片舷 両舷
0.28 - 7.32 6,030 10,890
 
・吐出圧は最大圧である。
・吐出量は、平成15年2月27日付「散布試験(S−7)」の試験結果(散布高さ9m)の数値である。
・全散布幅は、実用散布高度性能試験の結果からフラットスプレーノズルを散布管の〔3〕・〔17〕(最適ノズル位置)の位置に取付けた場合の全散布幅を推測したものである。
 
ハ. 試験条件(S−7)
〔1〕S−7液温:9℃
〔2〕散布高さ9m、タンク高さ5.4m
 
(2)散布管の散布量(計算値)
 
ノズルの個数 散布量(l/分) 散布時間(秒) 備考
2個(片舷分) 14.64 2,049(約34分) @最大圧(0.28MPa)
4個(両舷分) 29.28 1,025(約17分) @最大圧(0.28MPa)
 
・散布量(l/分)は「7.32(l/min)×ノズル個数」で算出した。
・散布時間は「タンク容量(500l)」を散布量で除して算出した。
 
(3)散布速度(1ノット=1,852m/h=1,852/3,600m/s=0.5144m/s)
 
〔1〕
1ノット
0.5144m/s
〔2〕
2ノット
1.0288m/s
〔3〕
5ノット
2.572m/s
〔4〕
10ノット
5.144m/s
〔5〕
20ノット
10.288m/s
〔6〕
30ノット
15.432m/s
〔7〕
40ノット
20.576m/s
 
(4)分散剤に対する流出油量
S−7型 油:分散剤=100:4、 100:4=X:500、 X=12,500l
 
(5)試験結果の評価方法
 
番号 項目 意味 備考
(1) 散布速度(ノット) ヘリコプターの散布速度  
(2) 散布時間(S) 分散剤タンクに積載した容量500lを散布量により散布するに要した時間  
(3) 散布距離(m) 散布速度×散布時間  
(4) 散布面積(m2 散布巾(10.89m)×散布距離  
(5) 散布量(l/s) 両舷の散布量  
(6) 流出油量(kl) 油:分散剤=100:4, 100:4=X:500 X=12,500l=12.5kl  
(7) 油層厚(mm) 流出油量を散布面積で除して求めた厚さ  
(8) 散布回数(回) 拡散面積を散布面積で除した回数。 拡散面積は、1.0km2と仮定 (1.0km2=(103m)2=106m2=1,000,000m2  
 
(参考:「油層厚(mm)の目安」)
・大規模な流出源付近(10.0mm)
・航空機から見える濃暗褐色か黒色の油膜(1.0mm)
・航空機から容易に見える淡褐色か黒色の油膜(0.1mm)
・航空機からかろうじて識別できる黄ばんだ褐色(0.01mm)
・標示A(油膜の色が黒ずんで見える状態)(2.0μm=0.002mm)
・標示B(油膜がくすんだ褐色を呈する状態)(1.0μm=0.001mm)
 
(6)試験結果の評価
 
(S−7)
(1)
散布速度
(ノット)
(2)
散布時間
(s)
(3)
散布距離
(m)
(4)
散布面積
(m2
(5)
散布量
(l/分)
(6)
流出油量
(kl)
(7)
油層厚
(mm)
(8)
散布回数
(回)
1
(0.5144m/s)
1,025 527 5,739 29.28 12.5 2.18 174
2
(1.0288m/s)
1,025 1,055 11,489 29.28 12.5 1.09 87
5
(2.572m/s)
1,025 2,636 28,706 29.28 12.5 0.435 35
10
(5.144m/s)
1,025 5,273 57,423 29.28 12.5 0.218 17
20
(10.288m/s)
1,025 10,545 114,835 29.28 12.5 0.109 9
30
(15.432m/s)
1,025 15,818 172,258 29.28 12.5 0.0726 6
40
(20.576m/s)
1,025 21,090 229,670 29.28 12.5 0.0544 4
(注)散布条件
・フラットスプレーノズル(TP6520−SS)×4個使用
・散布高さ9m
 
(7)油分散剤散布装置として使用する際の性能
イ. ノズル個数、配置について
 高さ9mの実験結果から、フラットスプレーノズル4個を散布管の〔3〕・〔17〕(最適ノズル位置)に配置すれば、有効な散布巾が得られることが判った。
 
ロ. 散布巾について
 今回の試験は、散布高さを9m(現実的な散布高さ)としたが、実機による散布の場合、ダウンウォッシュ等の影響により、散布巾は更に広がるものと思われる。
 
ハ. 流出油に対する散布について
〔1〕航空機から見える濃暗褐色か黒色の油膜(1.0mm)の場合
 散布速度2ノットで1,025秒(約17分)散布すると、約11,500m2に拡がった12.5klの流出油を処理できる。
〔2〕航空機から容易に見える淡褐色か黒色の油膜(0.1mm)の場合
 散布速度20ノットで1,025秒(約17分)散布すると、約11.5万m2に拡がった12.5klの流出油を処理できる。







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