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論文概要
平成14年春季講演論文概要
(1)超小型模型を用いた高速滑走艇の抵抗試験法
林田 滋(長崎総科大)、池田良穂、片山 徹、鈴木宏始(阪府大)
 
 本研究は、従来の概念に挑戦して、全長0.5m以下の超小型模型を用いた高速艇の抵抗試験法を開発することを最終目標として、その第一歩として実現可能性の調査を行った。超小型模型を含む相似模型に対し、姿勢拘束模型の流体力計測を行い、揚力、トリムモーメントおよび抵抗係数に及ぼす尺度影響を実験的に明らかにし、流体力データに尺度影響補正を施した航走姿勢シミュレーションを行った。その結果、スケールの違う船体の航走姿勢および抵抗を比較的精度良く推定でき、超小型模型を用いた抵抗試験法の可能性が検証された。
航走トリムの実験値とシミュレーション結果との比較
 
(2)魚型泳動運動による再層流化の数値計算(英文)
陳 作鋼(広大院)、土井康明(広大)
 
 魚のように波状に翼型が変形することによる推進を数値シミュレーションにより明らかにした。計算にはRANS式を用い、乱流モデルには改良Baldwin-Lomaxモデルを用いた。計算結果、波状変形することによりレイノルズ数が2×106では乱流境界層が層流化し、摩擦抵抗が剛体翼の場合よりも少なくなることを示した。
Distributions of local frictional. stress coefficient for undulating NACA0010 at Re=2×106
 
(3)多関節翼を用いた魚類型推進に関する研究
西尾 茂(神戸商船大)、中村 研(三井造船)
 
 多関節翼模型を用いて、体躯屈曲により推力を発生する魚類型推進に関する研究を行った。2次元ではあるが魚類型推進を忠実に再現し、基礎的な推進特性の検討を可能とする多関節翼模型を設計・製作した。これを用いて、流れの可視化、流体力計測、PIVによる流揚計測の結果から、遊泳運動の違いによる抵抗特性の推定と、これを用いた自航状態における発生推力の推定法の提案を行った。その結果、泳動運動の位相速度の違いによる推力発生量の違いと、自航速度の変化についての基礎データを得ることができた。
PIV計測により得られた多関節翼まわりの速度分布
 
(4)数値波動水槽における波浪環境再現装置の開発
宇野雄哉、朴 鍾千、宮田秀明(東大)
 
 CFD技術を用いて実海域波浪のシミュレーションを行うことを目的として、数値波動水槽における波浪環境再現装置の開発を行った。Navier-Stokes方程式を解く3次元数値波動水槽(NS-MAC NWT)を利用し、波のエネルギースペクトルの入力を可能にし、多方向不規則波の数値シミュレーションを可能にした。また、あわせて数値波動水槽の格子依存性の検証および、応用的な利用の一例として集中波(Bull's eye wave)の数値造波シミュレーションを行った。
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