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畑1・・・この畑は、ボランティアのおじさんがトラクターで耕してくれたり、寮生に栽培の仕方を教えてくれています。
 
トレーニングルーム・娯楽室・・・筋トレの道具もありますが、寮生はゲームに夢中になって遊んでいました。
 
畑2・・・こちらは、センター長自ら鍬を持って寮生と一緒に汗を流して耕してます。無農薬栽培です。
 
■代表者に訊く
若月 正勝さん
●新潟青少年自立援助センター代表
●団体の特徴
 当センターは昨年東京の福生市にあるYSC(青少年自立援助センター)の理事長である工藤定次さんとの出会いがあって、急展開で発足の運びとなりました。ご存知の通り、YSCは不登校やひきこもりの自立を支援するセンターとして長年の実績を有しています。設立にあたってはそのYSCから絶大なる支援をいただきました。現在でもYSCから様々な支援やアドバイスをもらって運営しています。
 YSCN(新潟青少年自立援助センター)の大きな特徴の一つはYSC同様に家庭訪問を行っていることです。地道に諦めずにじっくりと腰を落ち着けて、定期的に訪問する中でひきこもっている子供たちを外へ連れ出すチャンスをうかがいます。ひきこもりの青少年には不可欠な働きかけだと思います。
 文字通り青少年の自立を支援することが当センターの目的ですが、そのため、ここでは本人がやりたいと言ったことは基本的に何でもやらせています。例えば現在プロボクサー志望の子にはサンドバッグを与えて練習をさせています。漫画家志望の子には漫画を書く時間をたっぷり与えています。
 それから、寮生とは一対一で付き合い、また一対一の対応をしています。そのような関係を作るにはスタッフが泊り込んで寝食を共にすることが大切だと思います。
 私は元々スーパーの経営者で、この施設も元はスーパーの事務所兼配達センターです。寮生はここで肉加工や魚の加工、惣菜作りなどを現場の作業員から直接指導を受けながら作業体験ができるようになっています。このように生きた実社会を経験することを通じて、単に作業に慣れるだけではなく、人間関係の作り方なども学び自立を促しています。実社会体験の為に本人が望めば、アルバイトも積極的に勧めています。
●卒設の基準
 本人が社会に適応できると判断されたとき。
●年代別目標
 特別に設けていない。あくまで本人の社会的自立を目標としている。
●施設における自立の定義
 経済的に一人立ちすること。あるいはきちんと学業を続けられる力をつけること。
●在籍生の就職状況とその支援体制
 まだ施設を開設して日は浅いが、一人は専門学校に入学した。基本的には本人が就職先を探すが、センターも応援、アドバイス等を行っている。
●在籍生のアルバイトの可否・その状況と支援体制
 アルバイトは本人がやりたければ積極的に勧めている。
 自前のスーパー部門では1.見習い(報奨金なし)、2.手伝い1(報奨金250円)、3.手伝い2(報奨金500円→外で仕事ができるレベル)、の3段階に分けて作業に打ち込むように励ましている。
●作業(有償/無償)の有無・その内容と状況
 農作業を行っているがそちらには報奨金はない。
●教科学習の必要性とサポート体制
 教科学習は自主的にやりたくなった者はやり、現在3名が大検を希望しているので手続きを手伝っている。本格的に勉強したい者には近くの学習塾を勧めている。
●在籍生の心理的サポート体制
 2名の専属スタッフが24時間体制で共に生活をする中でケアに当たっている。
●外部医療機関との連携
 柏崎更生病院と連携を取っている。そして病院通いしていた子にも就業体験の場をとてYSCNを活用していただくこともしている。
●在籍生の保護者へのサポート体制
 必要に応じて保護者と電話での連絡を取り合っている。個別面接も適時行っている。
 
◆スタッフに訊く・・・1
上村 裕基さん
●24歳 男性 正規スタッフ 勤続年数1年
 
●施設と関わるようになった理由
 福祉に興味があってYSC(東京のNPO法人青少年自立援助センター)で研修をしていた時にYSCN設立の話があり、誘われてやってきました。
●施設について
 元々がスーパーの加工・配送センターだったので寮生の部屋は、2階の事務室からの転用で夏は暑かったりしますが、それ以外は不自由していません。
●在籍生の変化に気づくとき
 寮生が自分から発案することは少ないので自分がイベントを提案しますが、その提案に対して乗り良く反応したりするときや、生活している中で自分の地を出すようになったときですね。
●在籍生との関わりで注意しているしている点
 気をつけているのは、人前で言われたら傷つくようなことは言わないことです。それから農作業等で草刈機なども使うので事故を起こさないように注意しています。
●ここで働いて喜びを感じるとき
 寮生が徐々に明るくなっていって口数が増えてきたなと感じられたときが嬉しいです。
●辛いと感じるとき
 週日の休みもあり量的に辛いということはありませんが、「これでいいんだろうか」とか「これでベストなのだろうか」と自問自答することがよくある。
●施設での自分のポジション(役割)
 一言で言えば何でも屋です。イベントの考案や作業の指導など様々なことをやりますから。とにかく寮生に関することの一切に関わっています。
●施設の今後について
 今はセンター内での作業が多いが、もっと外との関わりを増やして地域の人との交流や触れ合いが増やせたらいいと思います。地域のフリーマーケットに行くなどして少しずつでも地域に入っていきたいと思います。
●代表・その他のスタッフについて
 スーパー部門の部長は今では寮生の微妙な変化なども見ていて、正にスタッフ同様です。ただ作業場での様子など横の連絡がいまいちなので改善していきたい。
 
★在籍生に訊く・・・1
佐藤 好冶さん
●20歳 男性 在籍年数8ヶ月
●入寮する以前の状態と入寮のきっかけ
 仕事をしないで夜中にゲームセンターに行き朝方帰ってくる。そして夕方に起きるという繰り返しでした。ぺースは遅かったのですが仕事先を探していました。パチンコ店や旅館のバイトもやりましたが長続きはしませんでした。親は「早く仕事を見つけて立ち直れ」とよく言っていました。高1の冬に中退し、その後仕事か高校かで親とぶつかりました。折れて高校転入もしましたが、中途半端でずっと親とケンカをしてました。それで投げやりになりました。
 若月さんに家庭訪問をしてもらっている間、父親との関係改善を期待していました。しかし、親が他の機関にも仲介を頼んだのがきっかけで若月さんの説得に応じました。
●入寮当時の施設の印象
 急な展開だったのでしばらくは頭の中で整理がつきませんでした。ゴタゴタしていた時期にかわいがっていた猫がどこかへ行ってしまって、見つからなかったのが悲しく、入寮して一週間はその猫のことだけを考えていました。
●現在施設で行っていること(作業・通学・勉強など)
 今まではスーパーでの惣菜、魚の加工と配達の体験をやりました。今では近くのゲームセンターで4〜8時間のアルバイトにチャレンジしています。
●施設で楽しいこと
 寮生の山本さんが面白おかしい話をしたり、そのような行動を取るのを見ているのが楽しい(笑)。
●施設で辛いこと
 人間関係の作り方や距離感のとり方が難しいです。経済的に苦しいのでもっと稼いで早く自立がしたい。
●入寮後自分の中で変化したこと
 多少は根性がついたと思う。
●今の目標
 当分は今のバイトを続けて経済的に早く自立したい。ボクサーになりたいのでいつかは東京のジムに通いたいです。
●将来について
 ボクシングで世界一になりたい。
●現在の施設の印象
 社会から見てあまり理解されていないと感じます。それで劣等感を感じます。バイトを探していた時にそれを強く感じました。
●他の在籍生との関係
 他の寮生とはあまり話をしません。お互いに微妙な部分があるので口数が少なくなってしまいます。相手はそっとしておいてほしいのかな、などと考えてしまいます。
●親との関係
 親とは話をしない状態が今も続いています。
●代表・スタッフの方との関係
 若月さんとは比較的話がしやすいです。他の人とはあまり合わないと感じます。
 
★在籍生に訊く・・・2
●23歳 男性 在籍年数2ヶ月
 
●入寮する以前の状態と入寮のきっかけ
 中一の頃から不登校になりました。通信制の高校に入ったが途中で退学しました。それ以来、家にいたり外でぶらぶらしたりしていました。親はもう諦めている感じでした。「こういう状態はいつまで続くのだろう。どうしたらアルバイトができるのだろう」とは考えましたがきっかけがつかめませんでした。テレビでYSCNのことを知って、まずは弟が通い始め、自分も見に行って3回目で入寮しました。
●入寮当時の施設の印象
 初めは若月さんが厳しいと感じた。1週間生活して何かできそうだと感じ、ここでやっていこうと思いました。
●現在施設で行っていること(作業・通学・勉強など)
 スーパーの惣菜部門で働いています。
●施設で楽しいこと
 楽しいことは別にないです。
●施設で辛いこと
 寮生活なので自由な時間があまりない。時間があるときは町で遊んでいます。
●入寮後自分の中で変化したこと
 前は人と話すのが苦手でしたが、だんだん人と話ができるようになってきた。それから作業を通して我慢強くなったと思う。
●今の目標
 外へ出て(ここから通いで)働きたいです。
●将来について
 やりたい仕事はまだありませんが、とにかく自立したいと思います。
●現在の施設の印象
 生活にはもう慣れました。ここには規則とかがあまりなくて自由なのがいいです。畑の手伝いはあまりやりたくない。
●他の在籍生との関係
 軽く言葉を交わす寮生が少しいますが、話したことのない寮生もいます。
●親との関係
 以前、父は自分に無関心だったが、寮に入ってから心配してくれていることが分かった。今では父と電話で話すようにしています。
●代表・スタッフの方との関係
 スタッフの植村さんやスーパー部門の村山さんとは毎日話している。上村さんは兄のようで村山さんはお母さんのような感じです。
※センター長談:弟が最初に通いで来るようになって兄の存在を知った。ll年もひきこもりがちなので入寮を勧めた。入ってきたときは顔に表情がなく心配したが今では少し笑うようになった。作業は一日も休まずに続けている。バイトをしたいと言っているが今の段階ではまだ無理だと思う。
 
▼団体詳細
団体名称●NPO法人 新潟青少年自立援助センター(ニイガタセイショウネンジリツエンジョセンター)
代表者名●若月 正勝(ワカツキ マサカツ)
所在地●〒949−3732 新潟県柏崎市北条2095−1(カシワザキシキタジョウ)
電話番号●0257−31−5010 FAX●0257−31−5011
URL●http://www.ab.aeonnet.ne.jp/%7Eyscn/ E−MAIL●yscn@aeonnet.ne.jp
設立年度●2001年 在籍生平均在籍年数●半年
入寮生数●男・・・8人 女・・・―人(平均年齢・・・22歳) 入寮定員●男・・・12人 女・・・―人
通所生数●男・・・7人 女・・・4人(平均年齢・・・24歳) 通所定員●男・・・10人 女・・・5人
年齢制限●無し 性別制限●無し 相談業務●有り(5,000円) 家庭訪問●有り(10,000円/1回)
親の会●無し 会報発行●有り(年6回)
特記事項●NPO法人青少年自立援助センター(東京)を手本として1年前に開設。/通所として女性は受け入れているが、入寮は男性のみ。
スタッフ状況●日中・・・スタッフ2名と就労支援の場であるスーパーの食品部門の責任者がいる。夜間・・・スタッフ2名が宿直。
スタッフ●正規・・・男2人・女―人/ボランティア・・・男1人・女―人/その他・・・男2人・女2人
 
▼通所費・入寮費
通所生●入会費・・・30,000円/週1回10,000円・週2回20,000円・週3回30,000円・週4回以上40,000円
入寮生●入寮費・・・250,000円/月額負担金・・・150,000円(内訳、生活指導・・・50,000円/部屋代・・・35,000円/食費・・・45,000円、光熱費/10,000円、消耗品/10,000円)/設備費(年)100,000円。
※月々のお小遣いは別途。
 
▼生活
日課スケジュール●[午前]7:40・・・この時間までに朝食/8:00・・・作業開始(農作業・スーパー加工場(青果、魚、肉、惣菜))[午後]12:00・・・昼食/1:00・・・諸活動。季節に応じ、生活に応じ、寮生のやりたいことに応じて日替わりでメニューを作る。イベント的なものとしてはカラオケ、温泉などみんなが元気を出せるようなもの。/6:00・・・夕食。その後自由時間。/11:00・・・消灯(相部屋の場合)。
週末・休日●スーパーの関係などで休日は月曜日となる。休日は基本的にすべて自由に行動できる。一日がかりのイベントを開催(登山、スキー、日帰り旅行など)することもあるが原則自由参加。
食事●3食きちんと食べるように指導している。朝・昼食は決まった時間に食べ、夕食は消灯までに食べる。
清掃●個人の部屋は個人で清掃する。共同場所は当番制となっている。
年間スケジュール●季節に合わせて月に一回イベントを行っている。







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