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全国ひきこもり不登校援助団体レポート

 事業名 不登校・ひきこもり関係の諸施設の実態調査事業
 団体名 青少年自立援助センター 注目度注目度5


■代表者に訊く
河村 正人さん
●瀬棚フォルケホイスコーレ代表
●団体の特徴
 瀬棚フォルケホイスコーレは一人ひとりの個性を掘り起こし、その人の人格を育て上げるお手伝いをする場所です。1970年4月に瀬棚へ入植し、酪農を行う農場を建設すると同時に学校の準備をしていました。私は47歳のときにノルウェーのフォルケを訪問し、そこで人々がいきいきと学校で学んでいる光景を目の当たりにしました。またデンマークのフォルケでその教えに触れ、自分が解放された経験から、自分が入りたいと思える学校を作ろうと思っていたのです。いざ開校してみると不登校やひきこもりの子供たちが集まってきたということです。そのような子供たちが集まってきたことからも、日本社会の学校が如何に融通の効かない硬直したものであるかが分かります。
 現在もここに来る子供たちは不登校の子が多いのですが、瀬棚フォルケホイスコーレでは誰にでも門戸を開き、彼らの過去を問うことは一切ありません。牛の世話を中心とした酪農、歌や楽器を使った自己の解放、自然の中での仲間との共生、地域の方々との触れ合いを通じてやりたいことを見つけ、いきいきと生活が出来るように子供たちが育つことをお手伝いできればと思ってます。
【フォルケホイスコーレとは】
 フォルケホイスコーレとは語義的には「民衆の大学」を意味しています。「大学」といっても日本のような大きな総合大学(University)ではなく小さなカレッジ(College)をイメージしたほうが分かりやすい。創始者のグルントヴィ(ニコライ・F・S・グルントヴィ、1783−1872、デンマークの国民的詩人)はイギリスに遊学したときにヒントを得て作り出したそうです。当初は義務教育を終えた人々が高等教育を学ぶ場所として機能しましたが、現在では大学の教養学部程度、あるいは大人が教養として学ぶ内容となっています。デンマークに約100校、北欧全体で400校程度あり、各校50人から100人の定員が多い。フォルケホイスコーレは全寮制で、生活や食事をみんなでともにする共生が重視されます。特に3度の食事と3度のお茶の時間は重要で、この時には生きた言葉での対話がリラックスした形で可能になり、お互いに打ち解けていきます。その目的は、「生きた言葉」による「対話」と「共生」を通じて、判断力を身に付け、生き甲斐の持てる和気藹々とした空間を作り上げ、自分の生きるモチベーション、他者を考慮した自己表現の道を見出すこと。すなわち「生の自覚」こそがフォルケホイスコーレの目的です。
 
みんなが一緒に食事をしたり歌ったり語り合ったりする「森の家」。木製で中は窓が大きく、非常に明るい雰囲気になっている。森に囲まれているからか、夏は非常に涼しくクーラーなどはいらないという。
 
食後の合唱。初めは恥ずかしく声の出ない子も、時間が経つと大きな声で歌う。チームワークと自己表現を学ぶ。
 
スタッフと塾生、スタッフの家族との昼食風景。この日既に3人の塾生が帰宅していたが賑やかだった。
 
●卒設の基準
 本人が望む進路を見つけ、いきいきとここを飛び出して行けること。一人ひとり個性があり、対応が異なるのでしっかりと個々にあわせたサポートをしていきたい。
●年代別目標
 年代別に目標を定めることはなく、社会の中で一人の市民としての最低限の義務をきちんとまっとうすること。そのことを日々の生活の中で皆で語り合って考えています。
●施設における自立の定義
 支えあって共に生きることができるようになること。グルントヴィは「片隅に痛み、虐げられ、悲しんでいる人がいる限り世界に平和はありえない」と言っています。そういった目には見えないかもしれない、直接話すことはできないかもしれないが、どこかで痛み、悲しんでいる人々のことまで考え、自分にできることからやり、全体で支えあっていく気持ちが持てるということは非常に重要です。
●在籍生の就職状況とその支援体制
 やりたい仕事が見つかれば最大限のサポートをします。例えば、大工、音楽関係、演芸その他、サポートできる職業であれば、専門家に瀬棚フォルケホイスコーレに来ていただき、個人指導をしていただいています。
●在籍生のアルバイトの可否・その状況と支援体制
 個々の教育に差し支えない限り奨励しています。ただ、アルバイトをしたいと申し出る子は少ないです。生活を大切にしたいからだと言っています。自宅に帰宅する夏休みや冬休みにアルバイトに挑戦する子は結構います。
●作業(有償/無償)の有無・その内容と状況
 “生活欄”で書いたように(後出)、牛の世話を中心としながらも、その他に多種多様な作業を行っています。まずは一つひとつプロのレベルを要求します。それによって「農夫の勤勉」―時間通りに動くことや肉体的鍛錬、そして目的に向かい行動するときに直面する困難への耐性をつけることにつながっていくと考えています。
●教科学習の必要性とサポート体制
 大検受験、大学進学、資格検定を目指す子には、夜間、代表が個人的に指導しています。ただし、日中の作業は共同生活の一部ですので、全員参加を促しています。
●在籍生の心理的サポート体制
 共同生活の中でスタッフが何か変化に気付いたときにはゆっくりと対話をする時間を設けるようにしています。
●外部医療機関との連携
 妻(代表の奥さん)が看護婦なので、何かあれば勤務している病院の医師と相談ができます。
●在籍生の保護者へのサポート体制
 フォルケホイスコーレヘの入学は本人の意思が一番重要であるが、保護者に理解していただくために1年に1度はここを訪問していただいています。出来る限り保護者からの自立を促したいので、過当な連絡は減らし、かわりに何かあればすぐに連絡を取るという形を取っています。
 
◆スタッフに訊く・・・1
福田 仕さん
●39歳 男性 正規スタッフ 勤続年数7年
●施設と関わるようになった理由
 以前は保父をしていました。高校時代に修学旅行でこの瀬棚町に来て、その繋がりで7年前に代表からここのお話をいただき、こちらに来ました。
●施設について
 共に生活をする中で、汗を流したり、考えたりしながら、自分の生き方を見直せる場所です。
●在籍生の変化に気づくとき
 体力と精神的な強さを身に付け、自己表現ができるようになったときですね。そして自分の家族や友達、過去を客観的に見て、次のステップを踏めるようになったりすると、変わったなと思います。
●在籍生との関わりで注意している点
 なるべくじっくり話を聞く機会を持ち、その子の求めていることを察知してあげることです。
●ここで働いて喜びを感じるとき
 元気になったときです。そして、卒塾後にここに顔を出してくれたときなんかは本当に嬉しいです。
●辛いと感じるとき
 先がハッキリしない状態で子供たちが途中退塾をしてしまうケースですね。こちらの努力不足から本人が合わないと感じてしまったときは辛いです。
●施設での自分のポジション(役割)
 事務関係、台所、週末の農業、学業プログラムなど、ほぼ全般に渡っています。
●施設の今後について
 こういう自然の中で子供たちがのびのびと生活をし、自分のやりたいことを見つけられるような場所がもっと増えてほしいと思います。
●代表・その他のスタッフについて
 代表はおおらかで包容力があります。青年のような希望を持って生活している様子が塾生にも良い影響を与えているのではないでしょうか。
 スタッフについては、大家族的(スタッフの家族も一緒に生活している)であるために、非常に温かい感じです。一緒に活動していく上でお互いが良い影響を与え合っています。また、スタッフとその家族の区別があまりなく、大きな一つの家族といった雰囲気です。
 
★在籍生に訊く・・・1
●女性
 
●入寮する以前の状態と入寮のきっかけ
 いろいろありましたが、瀬棚フォルケホイスコーレを紹介していただき、自分で来たいと思いました。
●入寮当時の施設の印象
 やっていけるか不安でした。でも、しばらく生活してみると、自然に囲まれた緑豊かなこの地は非常に居心地が良かったです。また、代表がすごく良い人で、信じることの出来る大人に出会えたと思いました。
●現在施設で行っていること(作業・通学・勉強など)
 牛や犬の世話は大好きなので、それらを含めた農場の手伝いをいろいろとやっています。また、みんなで行う音楽活動も好きです。
●施設で楽しいこと
 動物の世話やスタッフ同士の雑談、仲間との対話など共同生活全般が楽しいですね。自然に囲まれた雰囲気も好きですし、元々動物が好きだったことも、ここが楽しいと感じることに影響を与えていると思います。
●施設で辛いこと
 嫌いではないけど、肉体労働がきついと感じることはありますね。ただ、そのおかげで精神力がつきました。
●入寮後自分の中で変化したこと
 精神的に落ち着き、忍耐力がつきました。そして、物事を客観的に見ることができるようになりました。
●今の目標
 自分のやりたいことを自分で切り開いていく100%の自立が目標です。
●将来について
 自然の中で自給自足のできるような生活をしたいです。お金は多くの問題を起こす可能性を秘めています。過去にもいろいろ経験したし、見てきたので、お金を使わない自給自足の生活を将来にわたってやれたらなと思っています。
●現在の施設の印象
 すごい場所です。社会の見方や生きていく上での大切なことを、みんなで考えていけるところです。また、学校では教えてくれないことを、ただ教えてくれるのではなく、それについて考える機会を与えてくれます。
●他の在籍生との関係
 兄弟、姉妹関係というところです。性格的に多少合わなくても折り合いをつけていける雰囲気がここにはあります。人間関係については日々勉強です。
●親との関係
 以前より、少しずつ良い関係になりつつあります。
●代表・スタッフの方との関係
 代表は神様のような人です(笑)。理解力があり、包容力があります。ただ、あまりに素晴らしい人なので、普通の大人とやっていけなくなるかもしれませんね(笑)。
 スタッフの方々は仲間であり、家族であり、友達という感じです。
 
▼団体詳細
団体名称●瀬棚フォルケホイスコーレ(セタナフォルケホイスコーレ)
代表者名●河村 正人(力ワムラ マサト)
所在地●〒049−4827 北海道瀬棚郡瀬棚町共和925(セタナマチキョウワ)
電話番号●01378−7−2064 FAX●01378−7−2064 URL●無し E−MAIL●無し
設立年度●1990年 在籍生平均在籍年数●1年
入寮生数●男・・・4人 女・・・3人(平均年齢・・・20歳) 入寮定員●男女合わせて6名(2003年)。
通所生数●男・・・―人 女・・・―人(平均年齢・・・―歳) 通所定員●男・・・―人 女・・・―人
年齢制限●有り(15歳以上、義務教育修了者) 性別制限●無し 相談業務●無し 家庭訪問●無し 親の会●無し 会報発行●有り(年2回)
特記事項●入寮生定員は年度により異なる(2003年度は男女合わせて6名)。
スタッフ状況●日中・・・各作業にスタッフが対応。夜間・・・共同生活のため24時間体制。スタッフは週に一日休みを取る。
スタッフ●正規・・・男2人・女2人/ボランティア・・・男1人・女2人/その他・・・男―人・女―人
 
▼通所費・入寮費
通所生●―
入寮生●月額負担金・・・90,000円(一年分(10ヶ月分)を前納。夏休み、冬休みは帰宅のため10ヶ月で計算する)。お小遣いは個入負担。
 
▼生活
日課スケジュール●[午前]6:00・・・牛の世話/8:00・・・朝食/9:30・・・月、木は朝のミーティング、火、水、木は作業(牛舎関係、環境整備、畑作業援農など)。[午後]12:00・・・昼食/1:30・・・作業/4:00・・・お茶、おやつ/4:30・・・夕方の作業:牛の世話、掃除、食事作り/8:00・・・月:ハンドベル・火:町のコーラスグループ活動・金:リコーダーアンサンブル・土:名画の夕べ(その週の担当者が映画を選択する)/10:30・・・各自の部屋に戻る。就寝は各自に任せる
週末・休日●土、日曜日は休みだが、牛の世話は当番制となる。援農の依頼があれば手伝う。リクエストがあれば海や温泉、その他のレクリエーション活動を行う。
食事●食事は朝、昼、晩と当番制で、スタッフかボランティアが最低一人サポートに入る。援農などによって地域との繋がりが強く、近隣の方々からいただいた新鮮な食材をベースに食事を作る。
清掃●金曜日の午前中は掃除の日として共同場所をみんなで清掃する時間を設けている。その他にも毎日の掃除場所を当番制で清掃する。個人の部屋は個人で清掃する。
年間スケジュール●1月・・・スキー、クロスカントリースキー/2月・・・雪上運動会・雪合戦/3月・・・卒塾式・フェアウェルパーティー(町民招待)/4月・・・入塾式・町内ハイキング(町内挨拶)・アースデイ(ゴミ拾い)/5月・・・沢下り・山菜取り/6月・・・牧草収穫・ハイキング/7月・・・牧草収穫・カヌー教室・キャンプ/8月・・・夏休み(生徒全員帰宅)/9月・・・援農(トウモロコシ、かぼちゃなど)・ハイキング/10月・・・スクールトリップ(修学旅行)・運動会/11月・・・町の文化祭・クリスマスキャラバンの準備/12月・・・クリスマスキャラバン(保育園、老人ホーム、教会など)・クリスマス・冬休み(生徒全員帰宅)







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更新日: 2022年8月13日

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