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ロ. 公共公益施設利用者アンケート
 滝沢村の交通の現況把握の一環として、村内の公的施設を対象に、施設利用の行動とその日の一連の交通行動の実態調査を行った。
(注)この調査・分析は、横浜国立大学中村文彦助教授の指導のもとで、同大学院生に実施していただいたものである。
 平成15年2月25日、滝沢村役場と滝沢中央病院の施設利用者を現地においてランダムに抽出し、その日1日の交通行動(移動目的、場所、利用交通手段など)に関するインタビュー調査を実施した。その他、個人属性及び、利用頻度なども同時に調査した。
 現地調査の概要は下表の通りである。
 
表III−2−2 公的施設調査概要
調査年月日 2003年2月25日
天候 晴れ
調査場所 滝沢村役場 滝沢中央病院
調査人数 2名 2名
有効サンプル数 41票 37票
平均トリップ数 3.68 2.65
標準偏差 1.31 0.889
*雪等の天候による影響はなかったと考えられる。
 
 詳細は分析中であるが、今回の調査での基礎的な集計結果で特徴的なものを以下に挙げる。
 
○施設の利用者特性(性別、運転免許保持)
図III−2−10 年齢構成
 
図III−2−11 運転免許保持者の割合
・中央病院では、村役場と異なり、高齢者(65歳以上)の割合が59%と非常に高い。
・免許を保持していない人も多い。(図III−2−11)
・病院等の施設では、利用者の特性を正しく把握した上で、高齢者についてはモビリティ確保や、アクセシビリティ向上の為の施策を、施設立地、交通政策双方から検討する必要性があるといえる。
 
○施設利用者の交通特性
【トリップ数】
 図III−2−12に、対象者のその日1日のトリップ数の分布を示す。
図III−2−12 1人あたりのトリップ数の分布
・村役場の利用者は、1日3トリップまたは4トリップ行っている人が多い。
・対して、中央病院の利用者は、施設に行って帰るだけの2トリップの人が半分以上占める。
・各施設の利用者の特性が異なる為、これらのような違いが出てくると考えられる。
 
【利用交通手段】
 図III−2−13にトリップベースでの利用交通手段分担率を示す。
図III−2−13 トリップベースでの交通手段分担率
・村役場は、80%以上が自動車利用者であるのに対し、中央病院は50%弱である。これには、施設の利用者特性その他の要因が影響していると考えられる。
・中央病院では、高齢者用の送迎バスを運行しており、その利用者が多数いた。
・交通手段は多様な要因のもとに決定が行われるが、今後は、それらの決定要因の把握を行っていく。
 
【移動目的】
 図III−2−14、図III−2−15に移動目的ごとのトリップ総数を示す。
(拡大画面:25KB)
図III−2−14 目的別のトリップ数(滝沢村役場)
 
(拡大画面:23KB)
図III−2−15 目的別のトリップ数(滝沢中央病院)
・施設で調査を実施したため、図III−2−14、図III−2−15でそれぞれ、私用(役場)・通院トリップが多くなっている。また、帰宅トリップも同様である。
・それらのトリップ以外で特徴的なのは、業務・買物トリップ等である。また私用(銀行・郵便局)トリップも少なからず発生している。
・今後は、これらの行動の詳細について検討していく。
 
【施設利用頻度】
 図III−2−16に、利用者の施設の利用頻度分布を示す。
(拡大画面:101KB)
図III−2−16 施設利用頻度分布
・村役場は年に数回の利用者がほとんどであるが、中央病院の方は、月に数回の利用者がほとんどであり、施設の利用のされ方は異なっている。
 
 今後の分析では、自家用車利用のトリップについて、利用目的、利用距離をはじめとした利用条件をもとに分析し、自動車依存の特性を把握する一方、自動車を使わないトリップの特性も明らかにしていくこととしたい。
 さらに、以下の諸点についても可能な範囲で検討し、関係者の参考に供したい。
・公的施設と、村内の他施設との総合的な立地施策について検討する為に、公的施設利用とその前後の行動(トリップチェイン)との関連性を分析する。
・それらの現状の施設立地で起こる交通行動の把握をもとに、施設立地を変更したときのトリップの変化を分析する。
・自動車依存の少ない(移動距離の少ない)、施設立地代替案について考察する。
 
(5)平成15年度の事業計画
(1)村内交通課題の把握(平成15年2月〜8月)
 現状における交通課題について以下の調査をもとに抽出を行なう。
○公共交通機関の利用状況(平成15年2月〜平成15年4月:継続)
・路線ごと、時間ごとの利用者数調査(事業者の協力を仰ぐ。)
○交通施設改良状況及び目標の整理(平成15年4月、5月)
・道路整備プログラムの整理。
・改良済み路線(バス通行が可能な路線)のピックアップ
○地域別人口状況(平成15年6月、7月)
・地域ごとの住民基本台帳ベースによる人口の変遷(年齢別、男女別)
(2)現況交通に関するアンケート調査(平成15年2月〜6月)
 上記課題に対応した各種アンケート調査の実施を行なう。
○バス利用者アンケート(平成15年4月、5月)
・バス利用者に対する利用現況に関するアンケート調査
○公共公益施設利用者アンケート(平成15年3月、4月:継続)
・公共公益施設窓口調査(利用者への聞き取り調査)を行なう。
(3)将来交通体系ビジョンの作成(平成15年9月〜2月)
 調査及び作成内容は次の通りとする。
○現況交通における課題(平成15年9月)
・上記調査による整理。
○目的及び目標値設定(平成15年12月)
○課題解決施策の提起及び効果の検証(平成15年10月、11月)
○公共交通機関利用増進計画の作成(平成15年11月)
○将来交通体系ビジョンの作成(平成15年12月)
(4)説明会などの周知活動(平成16年1月)
 平成15年12月には、ビジョンを策定し懇談会、説明会を開催する。
 そこでの意見を踏まえ、フィードバックし、将来交通体系ビジョン最終案とする。







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