日本財団 図書館


第3章 「グリーン経営推進チェックリスト」の概要と使い方
1 「グリーン経営推進チェックリスト」の体系
 バス事業者のみなさんがグリーン経営を進めるために取り組むべき活動には様々なものがあります。このチェックリストでは、すべての事業者にぜひとも取り組んでいただきたい項目として次の5項目を取り上げました。
 「1. 環境保全のための仕組み・体制の整備」の項目は、企業が環境保全の取組を一体となって進めるためには、まず、環境に関する方針を明確に示したうえで、責任者を決め、従業員教育を進めるなどの計画的な取組が必要であるとの観点から取り上げました。
 「2. エコドライブの実施」と「4. 自動車の点検・整備」は、今、運輸業界に期待されているCO2や自動車排出ガスの削減対策を進めるうえで効果的であり、かつ、不可欠な取組です。また、経営と環境対策の両立を図るという観点からも重要な取組です。
 「3. 低公害車の導入」は、CO2や大気汚染物質の排出削減などについて、大きな環境改善効果が得られます。国土交通省、環境省、経済産業省が定めた「低公害車開発普及アクションプラン」での取組、今後の排出ガスに関する規制動向を考慮し、バス事業者も率先して取り組むことが必要な項目として取り上げました。
 「5. 廃棄物の適正処理およびリサイクルの推進」は、車両の使用に伴う環境保全対策だけでなく、廃車や整備時の二次公害の防止や、資源の有効活用等もバス事業者にとって重要な取組として取り上げたものです。
 このチェックリストでは、以上のほか、事業者のみなさんに任意に取り組んでいただく事項の例として、「A. バスの利用促進」、「B. 営業所における環境保全」、「C. 社会とのコミュニケーション」を挙げています。これらの項目以外にも様々な項目があります。そうした取組についても、事業者のみなさんが、このチェックリストを参考にしつつ、その企業の実態に応じて任意に取り組むことが期待されます。
 
「グリーン経営推進チェックリスト」における評価項目の体系
評価項目
大項目 小項目(具体的取組内容)
1. 環境保全のための仕組み・体制の整備 環境方針
推進体制
従業員に対する環境教育
2. エコドライブの実施 燃費に関する定量的な目標の設定等
エコドライブのための実施体制
アイドリングストップの励行
推進手段等の整備
3. 低公害車の導入 低公害車等:導入目標の設定と取組
最新規制適合ディーゼル車:導入目標の設定と取組
燃料の管理
条例に定める運行規制対象車数の把握
4. 自動車の点検・整備 点検・整備のための実施体制
車両の状態に基づく適切な点検・整備
法定点検に加えて環境に配慮した独自の基準による点検・整備の実施
5. 廃棄物の適正処理およびリサイクルの推進 廃棄物の適正な管理
A. バスの利用促進  
B. 営業所における環境保全  
C. 社会とのコミュニケーション  
・・・  
 
2 「グリーン経営推進チェックリスト」の特徴
■取組内容に応じたレベルの設定(段階評価)
 事業者が環境保全の取組について評価する際には、社会からどの程度の取組を求められているかを考慮に入れて評価することが重要です。このチェックリストでは、各評価項目(小項目:具体的取組内容)についての取組の到達度をレベル1からレベル3という形で示しています。
 各チェックリストは、その内容により、レベルの低い取組から高い取組へ向けて3段階で構成されています。各項目の後ろに示した「レベル1〜3」は当財団が考えているレベルの目安です。
 このチェックリストではこうした段階評価の考え方を取り入れることにより、取組の現状の把握のほか、前回評価と比較した進捗状況の把握や他の事業者との比較が可能になります。また、チェックリストでは取組レベルの内容を3段階で示しているので、さらに高いレベルの取組を目指すためには次にどのような内容について取り組めばいいのかが分かるようになっています。
 各評価項目の3段階の評価尺度については、概ね次の基準により設定しています。
 
チェックリストにおけるレベル基準
(拡大画面:21KB)
 
3 チェックリストによる評価手順
(1)チェックリストに直接をつける
 チェックリストでは、各評価項目ごとに取組レベルの内容を低い方から高い方へ向かって3段階で示しています。各評価項目ごとに自社の取組の内容がどのレベルにあるのかをレベル1からレベル3に向かって判断していき、該当するレベルにチェック()をつけます。
 評価項目については基本的にバス事業の事業内容を考慮し設定していますが、事業内容によっては自社の事業活動に関係のない項目がある場合があります。その場合は「該当なし」として、チェックを行わなくて結構です。
(2)巻末の「チェック結果 集計・評価表」にチェック結果をもとに到達度を記入します
 チェックが終わりましたら、チェックリストに添付されている「チェック結果 集計・評価表」(以下、「集計表」という)にチェック結果を記入してください。
 評価項目(小項目)ごとに、チェックした取組内容のレベルに応じて到達度を記します(レベルは各項目の末尾に記されています)。レベル1に到達していれば1、レベル2に到達していれば2、レベル3に到達していれば3となります。なお、該当なしの項目については、集計表に「該当なし」の欄がありますので、そこに○をつけてください。
 取組レベルの評価の仕方ですが、低位のレベルの内容を満足してはじめて次のレベルに移ることができます。低位のレベルの内容を完全に満足しない状態で次のレベルの内容が多少満足されていたとしても、その次のレベルに到達しているとはみなしません。これはこのチェックリストが、企業が環境保全活動を継続的に実施していくために、体系的に取り組むことを重視しているためです。
 評価項目(小項目)の中には、以下の囲みのレベル2ように、同じレベルの取組項目が複数ある場合があります。これらについては、到達度1を項目数で割り、チェックのついた項目数だけ到達度を加えます。
(拡大画面:32KB)
 
 また、評価項目(小項目)の中には、以下の囲みのように、評価項目の下に具体的な取組が記されているものもあります(→以下)。これらについては、到達度1を項目数で割り、チェックのついた具体的取組数だけ到達度を加えます。
(拡大画面:33KB)
 
4 チェック結果のとりまとめと使い方
 チェックリストによるチェック結果は、自社の取組の現状把握や取組のより一層の改善を進めるために使用します。
 
(1)自社の環境保全活動への取組状況の把握
 チェックリストによりチェックした結果を、「グリーン経営推進チェックリストと記入の手引き」の巻末に添付した集計表を使って以下のように整理します。
 集計結果は、自社の取組内容や取組結果がどのランクにあるかなどを一覧で把握するのに有効です。
 例えば、次の「チェック結果のとりまとめイメージ」に示すように、到達度を記入し相互に線で結ぶことによって、全体としての到達度を把握することが可能になります。また、前年度の把握結果と比較し、到達度レベルを結んだ線が右に移動していれば、全体としての到達度が向上したことがわかります。
 
チェック結果のとりまとめイメージ
(拡大画面:92KB)
 
(2)取組の改善策の検討と継続的な取組の実施
 集計表の結果をもとに、自社の取組目標を達成したかどうか、前年に比べてレベルが向上したかどうかなどの観点から評価し、その結果をもとに取組内容の見直しを行い、環境保全活動の効果が上がるよう改善策を検討します。
 検討結果は新たな目標や取組内容の設定など次年度以降の行動計画の策定と計画に沿った取組につなげていきます。こうした一連の流れは「グリーン経営推進チェックリストを活用したグリーン経営の推進フロー」に記述してあります。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION