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3. 都市部における都市公共交通の展望
 上記の問題を解決するため、当局は今後10年の間にサンチアゴ都市交通新計画(PTUS)を作成する予定である。この計画は、共和国200周年となる2010年において、環境面で持続可能であり、交通需要を満たし、利便性、市民の生活の質の向上を実現するような、経済的、効率的かつ近代的な交通システムを整備するのに必要な取り組みを打ち出すことになる。
 
基準
 交通問題の適切な解決にあたっては、同様に重要な他の条件、すなわち、環境保全、安全性、有機的な都市開発との整合性、補完性を確保する必要がある。
 
都市交通政策
 交通計画は、プログラムや構想の指針となる以下の基本的考え方に基づいている。
 
公共交通を中心的な交通機関とするとともに、自家用車の利用を合理化する。
住宅と諸活動の地理的分布を合理化する。
交通システムに関する制度再編を行う。
市の問題や生活の質に関して、市民を中心とした政府以外の主体の参画を促進する。
 
目標
 交通計画の主な目標は、輸送における公共交通の割合(69%)を維持し、平均移動距離を短縮し、自動車以外の交通(徒歩、自転車)を促進することの他、私的交通の真のコストをその利用者に認識させることである。目標の達成にあたっては、交通の汚染物質排出量の削減や有機的な都市開発の促進という、補完的な目標も同時に考慮する必要がある。
 
サンチアゴ都市交通計画の(PTUS)
P0. 制度面
 PTUSには、短期的な実働部隊が必要なので、専門チームと適切な諸資源を有する計画管理部を設け、同計画で打ち出されている様々なプログラムの実施を担当させることにした。この計画管理部は、関連の州政府および国に報告を行い、州政府および国は、戦略的な広報活動を実施する。
 
P1. 公共交通の近代化・分類・統合
 市の公共交通システムの近代的・総合的・補完的な発展の指針とする。交通サービスの質に対する利用者の評価が低下している。したがって、公共交通需要の現行水準水準を維持・増加し、都市・社会・環境の視点だけでなく、事業者および利用者の視点からも持続可能な発展を可能にする規制を公共交通市場に導入することが目標となる。このプログラムには、いくつかの課題から構成される。それは、公共交通システムの物理的再編から利用者情報システムの改善にまでに及ぶ。その他にも、サービスの技術面での近代化、交通手段の多様化、様々な交通機関(地下鉄、近郊列車、自動車等)を物理面、運行面、税金面での統合、公共交通専用のインフラ、民間部門の近代化の促進、運転士の訓練などがある。
 
P2. 道路の投資及び維持私的交通の規制
 これは、自動車渋滞の管理と渋滞に伴うコストの検討を行う関連メカニズムのことで、具体的には、渋滞課金システムの導入、あるいは、輸送の必要な時間とエネルギーと合理的な活用の促進である。いずれにせよ、有料道路には有効性が証明されていない法的措置が必要であり、政府は、サンチアゴ首都圏の様々な地域と連携して取り組んでいる。
 
P3. 教育機関の配置
 教育機関が一部の限られた地域に集中するのを防ぐことが目的であり、教育機関を誘致したい地域が直接補助を行うなどして、教育機関が不足している地域に誘致する(例:国が土地に投資する)。
 
P4. 新商業サービス地区の促進
 
 新商業サービス地区の整備を促進することが目的であり、日常の活動のために、長い距離を移動しなくてもよいようにする。すでに活性化されているセクターの発展に直接補助を行うことを計画している。
 
P5. 住宅分布パターンの変化
 過去10年間は、郊外(周辺)のコミューンに住宅が集中したが、都市型施設が伴わず、深刻な交通問題を発生させた。したがって、このプログラムの目的は、最終的な費用は国が必ず負担するという考えのもとに、このような住宅分布パターンを部分的に是正することである。差別的補助により、中心に近いコミューン連合体に新築住宅の一部を誘致することである。
 
P6. 自動車以外の交通手段
 このプログラムは、市の交通システムの中に歩行者・自転車用の施設・しくみを整備するものである。サンチアゴ市内の一部地域(特に中心部の一部)を、歩行者用に転用したり、汚染がなく適切な設備を備えた安全区域を設けたりする。市のほぼ全域にわたる自転車道を整備する。自転車と地下鉄を組み合わせた移動を促進する方法も開発する。
 
P7. 当面の対策
 公害の危機的な被害を緩和することが目的である。3月から8月までは公共交通用の専用ネットワークを設定、8つの道路でゴムライナーによる分離を行い、2001年から2003年までの期間に公共交通の道路入札を実施する。
 
P8. 都市内貨物輸送規制
 主な目標は、市内の貨物輸送を規制することで、通常の物流に影響を与えずに外部不経済を抑制すること、貨物輸送の運行網を整備すること、貨物の保存・積替えセンターの整備を促進すること、さらには、基準、重量、騒音・排気ガス等の環境面や、上質素材の紛失等を点検するプログラムの再編である。
 
P9. 検査
 様々な関係者が遵守すべき基準や果たすべき義務を点検する仕組みを拡充すること。その方法は、オリエンテーションや新技術の導入による効率化である。告発の手順や当局との連絡を改善し、市民参加を効果的なものにする。
 
P10. 計画実施のための資金調達
 計画実施のために必要な投資(資金)の定量化、資金調達の仕組みの設計・実施、投資スケジュールの確定。公的機関と民間による投資資金融資。資金調達概要による、投資努力における一定の公正の保証。以上の手段を通じて、コンセッション制度(新規インフラ整備または既設インフラの維持)を利用した民間の参加、有料道路(あるいはゾーン)、燃料税、通行証等を分析する。本計画の実現に必要な国際投資額は年間で2億ドルである。
 
P11. 広報
 計画の教育・普及を検討する。
 
P12. その他のプログラム
 環境、セキュリティ、運営管理などのプログラムがある。
 運営管理については、運営管理に関する様々な計画指標を強調し、スペースの関係で添付されていない予定表に反映させる。2000年から2005年までに重要な目標を検討する。特に次の事項が強調されている。
 
公共交通輸送の入札
印のある地域における有料道路の導入
2つのバス専用道路の建設の完了
地下鉄の延伸工事と新線建設工事等の完了







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