日本財団 図書館


 それからフィリピンの概略ですけれども、面積が30万平方キロということでありまして、もうちょっとしたら地図があるんですけれども、日本が37万平方キロということですので、そんなに大差はないと。緯度に関してはフィリピンが10度から15度くらいにありますので、ちょっと日本よりは暖かいということであります。
 
(拡大画面:31KB)
 
 島の数は7,100ぐらいということで、7,108とか7,106とか、よくわかりませんけれども言われています。日本が7,000弱あると思いますので、そういう意味では同じような島国であって、同じような太平洋の火山地震国であります。人口が約8,000万と言われて、2000年度に2000年センサス、国民の人口調査をやりましたので、正確な数値はあるんですが、具体的に言うと私自身もセンサスでカウントされていないというのもございまして、かなり信用できていないデータかもしれません。そういう意味で実際にはもうちょっといるのではないかなと。例えばマニラの首都圏は約900万人と言われていますけれども、一千二、三百万と言われているところもありますし、ちょっとその辺はよくわからないというのが実情です。
 人口比ですけれどもルソン島という大きな島がありまして、ここに5割ぐらい、ビサヤ島に2.5割、ミンダナオ島に2.5割というところになっております。
 
 言語は英語、それから現地語のタガログ語がありますけれども、それからビサヤに行けばビサヤンスとかほかの地域語もあります。
 宗教に関しましては、カソリックが約8割、要するにキリスト教系が約9割を占めているということで、イスラムはたった5%ぐらいにしか過ぎない。しかもミンダナオ島の西部に住んでいるということなんです。そこでミンダナオで大きな問題が起きていまして、フィリピン政府も非常に頭を悩ましているというのが昨今の状況です。
 
 
 今までのは前座なんですけれども、今日の本題に入りたいと思うんですが、フィリピンということで開発途上国と位置づけられるところなんですが、例えばこの写真ですけれども、これはマニラの地域のフォートボニファシオというところで新しく開発された地域です。このちょうど左側にマニラゴルフクラブというゴルフ場がありまして、ここはもともとゴルフ場だったところらしいんですけれども、今は更地になって、もう既にいろんなビルが背後のほうに立っていますが、今後も開発されていく。
 それからこちらのほうに大きなビルがありますけれども、これはマカティというエリアではなくてオルティガスというエリアで、この中にアジア開発銀行もあるわけですけれども、そういう意味でこれが開発途上国かと言われるような感じを受ける絵ということで紹介させていただいているんです。
 
 
 また一方で、フィリピン・ナショナル・レイルウエイという国鉄のところがございまして、皆さんごらんになっている方もおられるかもしれませんけれども、ちょうどこの上がEDSAの大通りでして、この下のところから撮った写真ですけれども、本来ですと、ここのところからここのところまで全部PNRが保持している土地なんですけれども、機関車が通行するのはここのエリアのみということで、ここにみんな住みついてしまうということであります。
 ちょっとここに見えますけれども、スケートということで手押し、あるいは電動のものもありますけれども、こういうのでここに住んでいる人たちは移動しているということであります。
 この方々が不法居住民かスクォッターかというと、またそれは難しい問題になっちゃうんです。といいますのは、もともとPNRというのは組織がおかしくなった。もうちょっと言えば労働問題が発端になるかもしれませんけれども、組織がおかしくなったり、予算がなくなったり、あるいは給料が払えなくなったりということで、そういう意味で非常に条件が悪くなりました。一方で、職を求めて地方から出てくる人たちがたくさんいたわけで、そういう意味でこの土地というのは、需給がちょうど合致したというような土地になっています。ちょうど首都圏の中ということで、非常に便利性も高いですので。それで目をつけたのがだれか知りませんけれども、この方々は大体1カ月あたり500ペソから1,000ペソぐらいのお金を払ってここに生活しているということで、だれがお金を取っているのか知りませんけれども、一説によるとPNRの元職員であるとか、あるいは警察官であるとか、あるいは何かよくわからない人とか、そういう方々がどうも取っているんじゃないかということですが、詳細は私もそこまでは聞きませんでしたけれども、このような状況になっております。
 
(拡大画面:106KB)
 
 
 
 それから、ちょっとこれはわかりにくい写真ですけれども、Urban Poorと書いてありますが、首都圏の中にいろんなこういうバラックといいますか、これは川の脇ですけれども、こういうところがあります。こういうところに船もありますけれども、みんな住んでいるんです。この方々はいろんなところから仕事をしたり物乞いをしたりしてやっているわけなんですけれども、これがマニラの中でも非常に大変な状況になってきているということです。
 
 Rural Poorとありますけれども、田舎のほうに行ってもこういう掘っ立て小屋で着の身着のままの暮らしをしているといいますか、いわゆる貨幣経済に取り込めないような方々がたくさんおられるということであります。そういう意味で結局ODA(政府開発援助)というところに行き着いてしまうわけなんです。
 
(拡大画面:17KB)
 
 ODAと一口に言っても私自身も全部カバーしきれませんし、非常に話がでかいものですから、具体的な業務を通じてフィリピンの紹介といいますか、フィリピンにおける運輸関係のODA(政府開発援助)の概略でも紹介できればと思います。
 ここに松田ミッション1999年3月とありますけれども、やはりODA(政府開発援助)をやっていく、今のODA削減とかという前の話ですけれども、やっていく上においては国別にもっとプランをつくって援助していかなきゃだめじゃないかということで、国別援助計画というのができてきたわけなんです。この国別援助計画で何を国に対して特化して、何を重点的に扱ってやっていくかというところで、松田ミッションの報告によってこういう4課題が打ち出されてきたわけです。
 持続的経済発展。何をもって持続的経済発展というかといいますと、非常に幅が広いわけなんですが、インフラ整備であるとか、あるいは各種行政システム、あるいは政策、あるいは税等を含めまして、そういう改革であるとかいろんなところがあるかと思いますけれども、持続的経済発展。
 それから貧困緩和。これは、例えばアジ銀なんかでも一番のトッププライオリティに貧困緩和と置いていますけれども、世界的流れになっている。
 それから環境・防災。それから人材育成。こういうものを挙げまして、ある意味においては今までやってきた内容を全部網羅できるような形の打ち出しをしてきたわけです。
 例えば今、貧困緩和というのが非常に大きく叫ばれていますけれども、何をもって貧困緩和あるいは貧困撲滅とするかというのは非常に難しい問題でして、なかなかだれも回答は出せない。アジ銀ですらなかなか貧困緩和と言いつつも、じゃあ何をしよう、なかなか困っちゃうというのがございまして、結局のところ貧困緩和と言いつつも経済が発展して引っ張られていく形がないと、どうしても無理なんじゃないのかなというのは、私だけじゃなくて多分かなりの方の意見なんじゃないかと思うんですけれども、やはり在外においてもそういう意見はある程度多数を占めました。
 それから、はやりなんですけれども環境と。現在でも総合科学技術会議というのがございまして、そこでもITであるとか、ナノテクであるとか、あるいはバイオであるとか、いろいろ言われるわけなんですが、その中にも環境がある。環境は非常に重要なんですけれども、じゃあ環境というキーワードで一体何をするのかというのはちょっと具体的にイメージがつかないんです。
 人材育成は時間のかかる話なんですけれども、これはもうだんだんとやっていかざるを得ないということです。
 
(拡大画面:19KB)
 
 こういうのがありまして、現在はプログラムアプローチという方向に進もうとしています。これは今までのように個別マター、例えば道路をつくりましょうとか、港湾をつくりましょうとか、そういう話ではなくて、例えば簡単なところでいきますと、感染症を撲滅しましょうという大きなプログラムをつくりまして、そのプログラムに合致する我々が持っているツールの中で、例えば調査しましょうだとか、あるいは無償供与しましょう、あるいは技協をやりましょう、あるいは借款をやりましょうとか、そういう流れになってきています。従いまして、この持続的経済発展に関しても持続的経済発展の下に、例えば社会インフラ系整備というのがありまして、社会インフラ系整備の下に、例えば海上交通の安全であるとか、航空交通の安全であるとか、そういうものが入ってくるわけです。
 
 といいつつも、一昨年からODAの予算が1割ずつ削減されまして、昨今の新聞を見ていても、平成15年度においても多分1割削減されるであろうということが言われています。今までODA予算がずっと右肩上がりで増えてきたわけなんですけれども、もう今後こういう状況は多分ないのかなと感じています。
 固定経費の割合増大とありますけれども、一方でJICAであってもJBICであっても、あるいはその他関係機関であっても職員を抱えているわけですので、どうしても固定経費の割合が増えてしまう。これはもういたし方のないことだと思いますけれども、例えば昨年ですと10%、全体で減りましたと。というのがありましたが、例えば個々の項目、無償援助であるとか、技協あるいは開発調査であるとか、個々の項目をみますと、極端な話20%弱ぐらい減っているところもあるわけです。20%も一気に減ったらものすごい悪影響が出てくるわけなんですけれども、このような状況が今後も続いていくことが予想されるというわけです。
 それから財投資金を利用する。これは今までの財投、それが大蔵省のところからそのままくるというところではなくなって、JBICと言えども自分のところで財源を確保しなきゃいけなくなってくる。例えば出資金に関しても、もう出資金をしないという話らしいんですけれども、年間3,000億円ぐらい出資金が入っているわけなんですが、と言いつつもそのまま返ってこないわけですので、そういうのはどうするのかというのが当然出てくる問題じゃないかと思います。
 それから重債務国の扱い。これはフィリピンは関係ないとは思いますけれども、もしこのままの状況でフィリピンにお金を貸し続けると、例えば平成13年度でいいますと、トータル1,500億ぐらい出ているんじゃないでしょうか、コミットベースですが。ディスバースで例えば円借款で600とか700オーダーだと思いますけれども、年間。
 それで具体的に、今後このままの状況でいくと、仮にフィリピンが返せませんという状況になっていくと、これはまた困っちゃう話なものですから、そのあたりをちゃんと考えていかないといけない。
 それから従来のインフラ系、例えば道路をつくりましょうとか、いろいろインフラをつくりましょうとやってきたわけなんですが、どうもソーシャル系というか社会福祉系というか、こういうのが好きなんですね。それで、テレビうけもしますし、非常にうけるんです。ただし、このインパクトやいかにといったときにはだれも評価ができてないんです。今はもうインフラ整備であっても、組織であっても、何でも評価をちゃんとしなさい。それも総合評価をしなさいと言われています。じゃあこのソーシャル系を総合評価するとどうなるのかと。マンパワーとしては同じマンパワーを出していますので、そういう意味で今後このソーシャル系という、ちょっと私が勝手に名前をつけちゃいましたけれども、こういうこともどうなっていくのかなという感じがしています。
 
(拡大画面:19KB)
 
 それから特借というスキームがございました。これは私が1999年3月に着任いたしまして、6月ぐらいから具体的に、フィリピンでも案件を出しなさいということで動き出したスキームなんですけれども、超低利子、日本タイドということで、今現在はちょっと私はわかりませんけれども、本邦企業技術活用型ということで、多分こういうスキームはそのまま残っているんだと思うんですが、ご存じのように当初は鉄鋼支援といいますか、いわゆる日米の関係がございまして、鉄鋼支援をしなきゃいけないと。じゃあ、具体的に何をしたらいいのかというところで通産マターから来たわけですけれども、具体的な案件を探したときに鉄というのがなかったんです。それで結局何をしたかといいますと、円借款プロジェクトの先食いをしちゃったんです。結局社会インフラ系のプロジェクトに流れ出ていかざるを得なかった。こういう状況がございます。
 ただ、そうはいっても日本タイド、私自身も日本タイドを推す派ですので、そういう意味でそんなに悪いスキームじゃないということで、どんどん推し進めていったわけなんです。そういうことがありまして、例えば旧運輸関係では、ミンダナオにコンテナ・ターミナル、港湾施設をつくりましょうと。LRT1号線、これは軽量鉄道ですけれども、今ほとんどがノンエアコンで走っておりまして、エアコンをすると同時に車両も増やして、システム系も変えましょうと。それからイロイロ空港というのがあります。これはパナイ島というところですけれども、パナイ島の中心都市であるイロイロ、多分皆さんが食べているかもしれませんけれども、マンゴーはイロイロあたりから来るんじゃないかと思うんです。
 それから、スービックのコンテナ埠頭。それから防災船。防災船は一番新しいやつですけれども、こういうものが動きつつあるというところであります。
 これはフィリピンのイメージですが、皆さんのお手元には抜いた情報しかないと思います。全部はデータとして行ってないんじゃないかなと思いますけれども、これがフィリピンでして、ここにマニラがありますけれども、これがルソン島です。これがミンダナオです。これがビサヤ地区と言っていますけれども、ここにセブという細長い島があります。これがパラワンというところ。このあたりはスールー海といいます。覚えておられる方もおられると思いますけれども、クエルトプリンセッサとここに書いてありますが、ちょっと小さい字ですが、ここのすぐ脇のところにドスパルマスというリゾートがありまして、アブサヤフグループというこのあたりで活動している反政府グループがあるんですが、ここで人質をとってここの海域を、多分1回乗り継いだらしいんですけれども、ドーッとこちらに走ってきて、こちらに人質を連れてきた。いまだに、たしか全員が解放されていない状況だと思いますけれども、そういうところがあります。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION